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高層マンションって大変なの?
2012/11/13 19:16 日本経済新聞
■巨大な「街」を地震が襲う 超高層マンションの死角
東京都中央区勝どきにある国内最大級の58階建てマンション、ザ・トーキョー・タワーズ。10月21日、居住者向けの防災説明会が開かれた。
「大地震が起きたらエレベーターも電気も止まる。最悪1カ月の籠城生活を覚悟してほしい」。管理組合で防災を担当する本瀬正和さん(61)は住人にこう訴えた。
■階段で物資運搬
説明会では大震災時にマンションがどのような状況に陥るかをスライドを使いながら説明した。現実を直視してもらおうと、都や中央区の被害想定をもとにタワーズの想定死者数も公表した。
東日本大震災を受けて、管理組合を中心に防災マニュアルを見直している。今回の説明会はその一環だ。「知らないことばかりだった」と参加した70歳の女性は話す。
2008年に完成したこのマンション2棟には約8000人が暮らす。耐震性は十分だが、周囲は海で囲まれ、2棟のタワーにはそれぞれ階段が2カ所ずつしかない。
エレベーターが止まったら重傷者をどう運び出せばよいのか。橋が崩れて孤立したらどうなるのか。建物内に備蓄できる食料と水は約1日分。仮に物資が届いても大量の食料を階段で運ぶのは「極めて困難だ」と本瀬さんは漏らす。
管理組合の島田誠也理事長(75)らは行政機関に防災対策について相談し、ショックを受けた。地元の消防署に支援を求めたら「難しい」と言われた。近隣の小学校は収容能力が限られるため、中央区には「なるべく建物内にとどまるように」と頼まれた。
「自助と住民同士の共助しか手はない」と島田さん。できることからやろうと、家庭用電気給湯器「エコキュート」に貯蔵されている水を非常時に飲む方法を説明したDVDを年内に全戸に配布する。東京海洋大が所有する船の電源から非常時に電力を供給してもらえるよう、同大と交渉している。フロアごとの交流会も始めた。
ザ・トーキョー・タワーズのようなマンションはもはや、ひとつの「街」なのだろう。全国の1719の市町村のなかで人口が約1400番目に多い「行政機能を持たない街」(島田さん)にほかならない。
超高層マンションが集積し、この5年程度で人口が1万人増えた地区がある。武蔵小杉駅(川崎市)周辺だ。
■新旧住民が交流
10月27日、駅周辺はハロウィーンの衣装を着た子供らで埋め尽くされた。約5000人が参加した祭りを開いたのは、特定非営利活動法人(NPO法人)の小杉駅周辺エリアマネジメントだ。
駅周辺のマンションに入居する新住民と、昔から暮らしていた住民の計19人の役員で構成。ザ・コスギタワー(49階)など6棟のマンション管理組合が会員で、年会費3600円を戸数分、支払う仕組みだ。
設立は07年4月。新住民との交流を深めようと街の有志が呼びかけた。ごみ拾いや清掃活動から始まった取り組みは、祭りの開催に発展し、最近は防災や防犯対策へと範囲を広げている。
駅周辺では今もマンション建設工事の音が響く。「5、6年後には超高層だけで現在の約4300戸から8000戸近くになる」(川崎市)。超高層マンションに住む人は2万人を超えそうだ。NPOの専務理事の塚本りりさん(46)は「子どもたちが故郷と呼べる街にしたい」と話す。
超高層マンションがそびえる街の将来を決めるのは地域や住民の結束力だろう。ただ、ひとつのコミュニティーをつくるにはあまりにも大きい。