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「夢の郊外庭付き戸建ての末路」
郊外に庭付きの戸建を買ったのは、結婚して3年目の春だった。都心の狭いマンション暮らしに疲れていた私と妻は、週末に不動産サイトを眺めては「庭でBBQができる家なんか最高だねー」と意見一致。憧れだった、緑に囲まれた暮らし。
子供が走り回る庭、休日に友達を呼んでワイワイやる未来。頭金をかき集め、少し背伸びして郊外の新築戸建を買った。
引っ越した当初は楽しかった。庭でBBQをしたのは、結局3回だけ。1回目はお互いの両親を呼び自宅披露がてら、2回目は友達を呼んで、3回目は二人で何となく。炭を熾すのが面倒で、網を洗うのが億劫で、「また今度ね」が口癖になった。
庭は広さこそあったけど、手入れの知識なんて俺にも妻にもなかった。芝生のつもりだった地面は、夏が来る頃には雑草だらけ。膝丈まで伸びた緑が、風に揺れるたびになぜか苛立ちを覚えた。
結婚生活も、庭と似たようなものだった。最初は新鮮だったけど、次第に放置気味に。妻は「庭をなんとかして」と言い、俺は「仕事で疲れてる」と返す。
喧嘩が増え、会話が減り、気づけば離婚届にサインをしていた。家は俺が引き取ることになった。いや、引き取らされた、と言うべきか。妻は「こんな不便な家、二度と住みたくない」と吐き捨てて出て行った。
離婚後、一人で暮らすには家は広すぎた。庭はさらに荒れ、雑草は腰まで伸びて、近所からの視線が痛い。売ろうと思った。いや、売らなきゃと思った。
ローンが残ってるし、独り身で維持する余裕もない。不動産屋に相談したら、「この状態じゃ厳しいですね」と言われた。中古市場は競争が激しいらしい。庭の手入れがされてない、室内はまだまだ綺麗ではあるものの、駅から遠い。値下げしても買い手がつかない。査定額は購入時の半分以下だった。
何度か内覧に来た人はいたけど、みんな庭を見てため息をつく。「ポテンシャルはあるんですけどねえ、手間が…」と遠回しに断られる。俺だってそう思う。
この家に夢を見ていた頃の俺は、もういない。BBQの残骸みたいな焦げた網が物置に転がってるのを見ると、笑えてくる。憧れって、こんなに簡単に雑草に埋もれるものなのか。
今はただ、売れる日を待ってる。いや、待つしかできない。庭はボーボーで、家は少し劣化しかけ、俺の人生も似たようなもんだ。
時々思う。あの時、都心のマンションを出なけりゃ、妻と別れずに済んだのかなって。でも、そんな「もしも」は雑草みたいに伸びて、心を覆うだけ。
変な夢や憧れは持たない方が良いですよ。
人口減少時代都心部、その町の中心部にマンション購入しとけ、その方が潰しも効くし資産価値もある程度は維持されるんじゃなかろうかと...。
長々とありがとうございました。
[スレ作成日時]2025-03-13 13:15:19