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マンション管理に関する、いろんな相談や悩みごとについて、
マンション管理士、建築士、税理士、弁護士、理事経験者、管理会社勤務者等の
皆さんで答えていきませんか。
[スレ作成日時]2014-09-05 11:58:01
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[スレ作成日時]2014-09-05 11:58:01
マンションの床下配水管について
管理組合に修繕義務があるとされた事例
(東京簡判 平19・12・10 HP下級裁主要判決情報)
マンションの10階の住戸の床下配水管に亀 裂が生じたために、そのマンションの8階お よび9階の住戸に水漏れ被害が発生した際 に、マンション管理組合が床下配水管は専有 部分であり共用部分にあたらないとして修繕 を行わないため、10階の住戸所有者が修理を 行い、同管理組合に費用請求した事案におい て、当該マンションの管理規約、使用細則の 定義から床下配水管は共用部分に該当し、そ の修繕義務は管理組合が負担するものとされ た事例(東京簡易裁判所 平成19年12月10日 判決 ホームページ下級裁主要判決情報)
1 事案の概要
Xは、Aマンション1002号室の所有者であ り、居住していた。
平成16年9月に同マンション8階の802号 室及び9階の902号室に水漏れが発生したが、 この水漏れについては、1002号室の床下配水 管(以下「本件配水管」という。)につき、 床下約5cmの部分に亀裂が生じたことが原 因であることが判明した。
Xは、本件配水管が共用部分に存在するものとしてマンション管理組合であるYに修繕を依頼したが、Yは、本件配水管は専有部分に該当するとして修繕を行わなかった。XはやむなくYに代わって本件配水管の修 繕を業者に発注し、平成16年11月に業者にそ の費用を支払った。
XはYに対し、修繕費用19万8500円及び年 5%の割合による遅延損害金の支払いを求めて提訴した。 。
2 判決の要旨
裁判所は次のように判示して、Xの請求を 認容した。
盧 専有部分の定義
Aマンションの管理規約、使用細則によれ ば「天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分 を専有部分とする。」と定められている。
盪水漏れの原因
本件配水管は、Aマンションの902号室の 天井と1002号室の床下との間の空間に存在 し、床下から約5cmのところに亀裂が入っ ていたことが水漏れの原因と認められる。 蘯 争点に関する判断
Aマンションの管理規約、使用細則では天井までが専有部分とされるが、天井裏は専用
部分とは解されない。また、床は専有部分とされるが、床下は専有部分とは解されない。
本件配水管の亀裂があった部分は、902号 室の天井裏であり、かつ1002号室の床下の空 間であると認められることから、902号室及 び1002号室のいずれの専有部分でもなかった と解される。
本件マンションの管理規約、使用細則にお いて「対象物件のうち共用部分の範囲は、専 有部分を除く部分とする。」「敷地及び共用部 分等の管理については、管理組合が責任と負 担においてこれを行うものとする。」と定められていることからすると、本件配水管の亀裂した部分は共用部分であり、その修繕義務はYが負担するものと認められる。
よって、YはXに対し、19万8500円及び年 5%の割合による金員を支払え。
3 まとめ
通常、マンションの管理責任区分については、まず、管理規約、使用細則により専有部分の定義付けがなされている。この専有部分については区分所有者が、その余の共用部分についてはマンション管理組合が管理責任を負うものと区分されるケースが多い。 が、実務においては、修繕を要する部分について専有部分・共用部分のいずれに該当するか見解が分かれることも多い。
本件は、当該マンションの管理規約・使用細則に基づき、天井と天井裏、床と床下を区分し、天井裏から床下までを共用部分と認めたという判例である。
専有部分・共用部分の区分について同様の定義付けをしているマンションは多く、もしも、そこで同種の事案が発生した場合の解決に参考になると思われる事例である。
本件のような紛争を未然に防ぐために、マンションの管理規約、使用細則の専有部分・共用部分の定義について、例示を含めてより詳細かつ具体的に記載することが望ましいといえよう。
本件については、以下の2つが参考判例といえる。
●天井裏の排水管について、その共同性から 共用部分とした判例(東京地判 平成8年11 月26日 判例タイムズ954号151頁)
●天井裏の排水管の枝管について、これを上 の階の部屋から点検、修理することが不可能 であることなどを理由に、区分所有者全員の 共有部分にあたるとした判例(最高裁判 平成12年3月21日 判例タイムズ臨時増刊1065 号56頁)