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「マンションの間取りや価格を言いたい放題!」管理人。利害関係のない第三者的な視点から間取りや価格等について毎日記事を更新し、扱った部屋数は5年弱で4,000室超。 不動産業界の人間ではないものの、自己居住用及び投資用としてのマンション購入件数は10室を超えるプチ投資家という顔を持ち、猫とマンションをこよなく愛する人。

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ちょっと得するマンション選び(第18回)周辺供給事例による歪み①



かなりご無沙汰してしまいましたが、今回はちょっと得するマンション選び第18回です。

前回までは3回に渡り間取りによる歪みについて述べてきましたが、今回からはちょっと趣向を変えて「過去の周辺供給事例による歪み」について述べていこうと思います。

間取りによる歪み①中住戸と角住戸の比較
間取りによる歪み②数字で見る有効面積
間取りによる歪み③柱の食い込み

本題に入る前にまずは恒例となった1枚の写真をお届けします。
※画像に意味はありません。画像がないと寂しいので掲載しております。

先日、名作マンション訪問でも掲載したガラスウォールのセントラルパークタワーラ・トゥール新宿の1枚です。
この角度からだと「奥行のない薄っぺらい建物」のように見えたのがちょっと面白かったので載せてしまいました(笑)

名作マンション訪問【中野坂上+西新宿界隈】

さて、今回は事例から入った方が分かりやすそうなのでかの有名な富久クロスをダシにしてみます。
富久クロスは、価格低迷期ということもありましたが、山手線内最高層となる大規模再開発案件ということも勘案すると平均坪単価約325万円は安すぎたという印象をお持ちの方は少なくないでしょう。

単純にコスト面との兼ね合いで実現した価格ということは否定しませんし、間取りが素晴らしすぎた(これは嫌味です(笑))がゆえの価格設定という側面があったのも事実でしょうが(また、再開発案件のため公から補助金なども出ますね)、当然ながらコストのベースとなる土地の仕入れ時(当物件の場合、等価交換契約設定当初)にもっと高く売れることが予想できていればコスト、売値双方共に上昇していたことも考えられるわけで、この物件のある種の「ミスプライス」の根底には別の理由が隠れていると思うのです。
そして、その理由・視点こそが今回及び今回以降の主眼と言うことになります。

では、その主眼とは何か、ズバリ「周辺の過去分譲事例の影響」です。

富久クロスの界隈では2001年というマンションが安い時期に分譲されたローレルコート新宿タワー(平均坪単価256万円)ぐらいしか近い事例がなかったことが富久クロスの価格設定を非常に難しいものとしたことは想像に難くないでしょう。

ローレルコート新宿タワーは217戸というタワマンとしては小ぶりな物件ですし、32階という階建も富久クロスと比べるとかなり低くスケール感やランドマーク感で劣るのは言うまでもありませんが、同じタワマンとして参考に資する有益な情報の1つにはなります。

ただ、参考材料の1つになるとは言ってもそのローレルコートの分譲時から10年程度経過した時点において「富久クロスがいくらでなら売れるだろうか???」ということを見積もるのは経験豊富なデベロッパーであっても容易ではなく、その安かった時代のローレルコートの分譲事例を大きく上回るような水準で見積もることは非常に大きなリスクが伴うと考えるのは自然なことです。

さらに言うと、大規模タワー、まして地権者のいる再開発案件というのは分譲開始までは数年単位、長いものだと10年以上もの期間がかかるのが普通なので、そういう意味でも保守的に見積もる必要があるでしょうし、通常の物件以上に厳しい見積りが要求されるのは当然のことなのです。

むろん中古市場の取引価格もデベロッパーの価格見積り大きな影響を与えるものですが、こういった周囲の分譲事例が少なく、かつ、似た属性の物件もないケースでは、中古市場にも参考になるような物件(数字)は少なく、いくら良いパフォーマンスを持っているとは言えそのパフォーマンスを定量的に価格に反映させるのが難しい状況が発生するということです。

この富久クロスの例では、エリア内であまりに突出したパフォーマンスを持ち合わせていたがために、周辺類似供給事例の少なさが消極的な価格設定となって表れたやや特殊な事例とも言えるのですが、より一般的な物件においても以下のようなケースにおいては価格の歪みが発生しやすいというのが今回の私の視点となります。


① 近年、周辺で新築分譲マンションがあまり供給されていない
② 立地、階建、スケールなどのいずれかに特長がある反面、ネガティブ要因(ウェブで叩かれやすいもの)もありそれらを定量的に価格に盛り込むのが難解


まず、①についてですが、近年周辺で分譲マンションがあまり供給されていないということは相応に需要が溜まっていることに他ならず、そこそこ強気な価格設定でも売れるだろうと考えるのが自然なのですが、実際そのようになることは私の経験上もほとんどありません。
特に不動産価格高騰期において、近年の供給事例が少ないエリアで分譲するとエリア内過去最高水準のお値段になってしまうことも少なくなく、「いくら何でも高過ぎる!」と言ったような風評被害が現代のネット社会では広まってしまう恐れもあるので、デベロッパーはそういったリスクを負いたがらない傾向にあると思います。

当初の予定価格をかなり強めに出して徐々に下げていくのが定番となっているデベロッパーも少なくないのですが、逆に予定価格を迅速に調整することこそがデベロッパーがそのようなリスクを恐れていることを表しているとも言え、周辺供給事例等との兼ね合いで悪目立ちするのは絶対に避けたいというのがデベロッパーの基本的なスタンスと言って良いでしょうね(スミフさんには当てはまりませんが…)。

また、①により価格の歪みが発生しやすい理由はもう1点あります。
これは、「地縁のある方以外の購入がメインとなるエリアの大規模物件」において顕著な傾向として出てきます。

地縁のある方がメインターゲットとなり、そのような方だけで完売が見込めるようなスケールしかない物件であれば、久々の新築供給というのはデベロッパーにとって大きな後押しとなるものですが、例えばもともと多くの方が住んでいたわけではない湾岸エリアに大規模物件を供給するケースなど、地縁のない他エリアが本命だった方の需要を引っ張ってくる必要がある物件の場合には価格は相場水準よりも控えめなものとなるのが通例なんですね。

よりシンプルに言うと、いくらそのエリアの供給が久々であったとしてもそのエリアに拘る人が少なければ、多かれ少なかれ価格で勝負せざるを得ないということです。

今回は過去の新築分譲事例による歪みとして、まず近年の周辺分譲事例が不足している場合に言及しました。ちょっと長くなってしまったので、②の点については次回に持ち越します。

こちらもどーぞ。

間取りだけでなく、価格の傾向や価格の歪みを記述し、累計2,200棟4,800室超。
毎日読んだらいつのまにかマンションが大好きになる本ブログ(笑)
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