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マン点

マンションアナリスト。11年間で5,000枚のマンション・チラシを“読破”したマンション・チラシ研究家。一級建築士。

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マン点流!不都合な真実を解説(住む場所と健康リスク)



住む場所や階の違いによって、健康被害に与えるリスクが異なるのか?

国内ではそのような調査報告書や研究論文はあまり見かけない。行政にも研究者にもそのような調査・研究を行うインセンティブが働らかないからなのであろうか。

でも、海外に目を向けると、健康被害に係る研究論文はけっこう存在するようだ。

以下2件、どちらもカナダでの調査。
幹線道路の近くに住むと認知症のリスクが高まる
高層階に住むほど生存率(救命率)が低下する!?


幹線道路の近くに住むと認知症のリスクが高まる

カナダで実施された200万人近くの大規模調査。幹線道路の近くに住むと認知症のリスクが高まる結果が出たという。

幹線道路沿いに居住で認知症リスク高まる=調査

カナダで実施された大規模調査で、幹線道路の近くに住むと認知症のリスクが高まるとの結果が出た。研究結果は英医学誌「ランセット」に掲載された。
主要な道路から50メートル以内に住む人が認知症を発症したケースで、その約1割は、交通量の多さが原因になっていると、研究は示唆している。
(中略)
研究は、カナダのオンタリオ州で2001年から12年にかけ、200万人近くのデータを使用した。
期間中に認知症の診断を受けた24万3611人のデータを調べたところ、幹線道路から300メートル以上離れた場所に住んでいる人に比べて、101~200メートルでは発症リスクが2%高まり、50~100メートルは4%上昇した。50メートル以内では、リスクは7%高かった。
分析の結果、幹線道路から50メートル以内に住む人の認知症の7~11%が、交通量の多さに関係しているとみられるという。(以下略)

(BBC日本語版ニュース 2017年1月5日)

記事には、幹線道路から住居が何メートル離れているかで、発症リスクがどれほど高くなるのか具体的な数字も掲載されているので、可視化してみた(次図)。

認知症の発症リスク
50m以内になると認知症の発症リスクが跳ね上がる。

50m以内で認知症の発生リスクが7%高くなるというこの調査結果を知れば、年配者は幹線道路沿いのマンションを避けるのではないか。

研究論文の執筆者の1人であるホン・チェン博士は「(道路の近くに住むことと認知症との)関連を理解するにはさらに研究が必要で、特に大気汚染物質や騒音といった交通のさまざまな側面による影響を調べる必要がある」と述べている。

いずれにせよ、ここは君子危うきに近寄らずが正解ではないか。

高層階に住むほど生存率(救命率)が低下する!?

2件目は、高層階に住んでいる人ほど生存率(救命率)が低下するというショッキングな話。

トロント市のヨーク地区救急サービスの隊員チームが、カナダ医師会誌「CMAJ」(電子版)の2016年1月18日号に発表した論文だ。

憧れの超豪華マンション住民 高層階に住むほど「命の危険」高い

(前略)心肺停止が起こった時、自動体外式除細動器(AED)などで心臓に電気ショックを与え、正常な律動を回復させる「除細動」を早く行なうほど生存率が高まる。

1分以内なら90%以上は助かるが、1分遅れるごとに生存率は7~10%ずつ下がる。

脳障害を残さずに助けるには、3分以内に気道を確保、胸骨圧迫などの心肺蘇生を行ない、5分以内に救急措置の専門医に渡すことができるかがカギといわれる。

研究チームは、2007~2012年に管轄内のマンションで心肺停止を起こした約8000人を対象に生存率を調べた。退院まで生存していた人はたった3.8%であった。

1~2階に住む約6000人の生存率は4.2%だったのに対し、3階以上の約2000人の生存率は2.6%。16階以上では1%未満、25階以上ではゼロだった。(後略)

(ライブドアニュース 2016年1月30日)

記事には、「16階以上」と「25階以上」の生存率は明記されているが、人数が明記されていない。

ネットで探してみると、米国科学振興協会(AAAS)が運営しているニュースサイトEurekAlertに掲載された記事「Living in high-rise buildings associated with lower survival rates from cardiac arrest」のなかに、具体的な数値を確認することができた。

「16階以上」に住む人で心肺停止を起こした216人のうち生存者は2名(0.9%)、「25階以上」に住む人で心肺停止を起こした30人のうち生存者ゼロ

念のためグラフ化してみた。

生存率
16階以上の生存率が0.9%、25階以上では生存率0%というのはたしかに衝撃的だ。

でも、上階ほどサンプル数が少ない。特に「25階以上」のサンプル数が30人というのは少なくないか?

そもそも上層階に住んでいるのは金持ち(≒年寄り)が多い。上層階ほど生存率が低いのは年齢の影響ではないのか?

とか、統計学的にどの程度有意なのか若干疑問が残るところではある。

ただ、上層階ほど救命措置に時間を要するから生存率(救命率)が低いというのは定性的には理解できる。

AEDを短時間でアクセスできる場所に設置することに加え(1階ロビーだけでいいのか?)、講習会を開催して誰でも使いこなせるようにしておくことが重要だ。


あと、今回は割愛したが、「高層階に住むと流産しやすい」という調査データ。こちらはカナダとは関係なく、日本人医師による調査。
調査手法にやや疑問なところもあるが、関心のある方は、「コワーい高層マンションの話」をご参照。

マン点流!不都合な真実を解説シリーズ

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おまけ

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  1. 興味深い記事ありがとうございます。
    流産のほうはまだ、痴ほう症と違って科学的なデータにはなっていませんね。
    理由は 、
    10階以上=価格が高いため、金銭的に余裕のある共働きや高齢者が住む率が高いためです

    これらは、流産経験率が上がるケースに完全に当てはまります。

    Ⅰ、女性が高齢
    1)単純に人生経験が長い
    (過去に妊娠流産の機会も多い)
    2)高齢出産では流産リスクが高い

    Ⅱ、フルタイムで働く女性
    働く女性は四人に一人は流産経験するというデータも
    (上記データの10階以上の場合よりより高確率)

    著者は産婦人科は専門外なのでしょう。
    ただし、高層階が身体になんらか影響するというのには、賛成です。
    ただし、一番体に悪いのは高層に限らず、どこに住んでも満足できずにすぐイライラしてしまうようなストレス状態でしょうね。

  2. 非常に興味深い記事ありがとうございます。
    最近ちょっと無理した金額で、目の前に幹線道路、10メートル先に高速と線路のある中古マンションを購入しましたが、たしかに騒音と空気、気にする方な気にしそうです。

    間取りと便利さがかなり気に入っているものの、健康被害の面を考えるとあまり長く住まないほうがいいのかもしれないですね。

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