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マンションアナリスト。11年間で5,000枚のマンション・チラシを“読破”したマンション・チラシ研究家。一級建築士。

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マン点流!不都合な真実を解説(先着順と抽選の違い)



マンションチラシを”観測”していると、「〇月〇日登録受付開始、〇月△日抽選」という「抽選」物件だけではなく、抽選なしで先着順に受け付けている「先着順」物件も散見される。

また、「抽選」と「先着順」が混在したチラシも見かけるときがある。

「抽選」と「先着順」では、何がどう違うのか?
あなたの知らない、売主にとって不都合な真実を解説しよう。
(C)Chris Winters photo by Chris Winters(CC BY-SA 2.0)

【もくじ】
そもそも「先着順」物件とは
「先着順」と「抽選」が混在したチラシ
最高抽選倍率1倍の怪
抽選に向けた事前調整は必要悪か?
厳正な抽選は担保されているか?
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そもそも「先着順」とは

先着順は次の2つのタイプに大別できる。

ひとつは、抽選なしで最初から先着順で受け付けている物件。
販売サイドにとっては、抽選前の事前調整の手間や、抽選そのものの手間が省けるなどのメリットがある。

購入者サイドにとっては、気に入った住戸があった場合、その場で即決することができるのがメリットのひとつ。
※詳しくは、「先着順物件のメリット」ご参照。

先着順のもう一つのタイプは、第1期分や第2期分として抽選を経て発売された住戸の売れ残りが先着順として販売されるケース。

ローン審査が通らなかったことによるキャンセル住戸は別として、売れ残り住戸の場合には福がないので注意を要する。

「先着順」と「抽選」が混在したチラシ

抽選登録受付前の「予告広告」で、「先着順」住戸と「抽選」住戸が混在している場合がある。
なぜ、ひとつのチラシで、「先着順」住戸と「抽選」住戸の販売を混在させているのか?

理由のひとつとして考えられるのはこういうことだ。
予告広告でモデルルームに集客した潜在顧客に、本来はまだ販売対象となっていない住戸を「先着順」に差し替えて販売してしまうためである。

未販売住戸を先着順住戸と差し替え販売することで、結果的に全ての住戸をいつでも販売することができる。

実際に、筆者による覆面電話取材で、このような実態が観測されている(先着順住戸と予告住戸の混在チラシは新たな販促ワザ)。

最高抽選倍率1倍の怪

「予告広告」でモデルルームに集客しておいて、「即日完売」できる戸数の見通しが得られた段階で「本広告」を出して受付・抽選に走る。

このとっても巧妙に仕組まれた”販促ワザ”を、一般の多くの人は知らない。

だから抽選倍率「平均1倍、最高1倍」なんていうヘンな物件が存在するのである(次図)。
平均1倍、最高1倍1戸で「即日完売」?首都圏新築マンション市場動向」より

連続即日完売なのに最高倍率1倍が観測された湾岸のタワマンの事例もある(「連続即日完売」の実態は、最高倍率1倍)。

抽選に向けた事前調整は必要悪か?

業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第5条により、「本広告を行い取引を開始するまでは、契約又は予約の申込みに一切応じない」ことや「申込みの順位の確保に関する措置を講じない」ことが規定されている。

だから、抽選前の事前調整はルール違反なのである。

でも、事前調整をしないと、人気・不人気住戸が混在する大規模な新築マンションでは不人気住戸が売れ残ってしまう。
売れ残って困るのは、売り主だけでなく、既購入者も同じだ。

だからといって、「抽選に向けた事前調整は必要悪だ」と言えるのだろうか。

たとえ不人気住戸であっても、価格水準を低く設定すれば、それなりに希望する人は増えるだろうから、売れ残りリスクは減る。

でもそれでは、売り主の利益が最大化できない。
だから売主は事前調整して、不人気物件をなんとか売りさばこうとする。

この場合、消費者は、本来であれば、売れ残って値下げ販売されたであろう不人気物件を高値でつかまされていることになる。

つまり、事前調整された”抽選”により、売り主利益が最大化される一方で、購入者は不利益を被っているのである。
だから、「抽選に向けた事前調整は必要悪だ」とは、決して言えないのである。

厳正な抽選は担保されているか?

抽選になったからには、売主としては、現在住んでいるマンションを転売できることが購入条件の人だとか、ローン審査が通るかどうかわからない人よりも、確実に購入してくれる優良顧客に当選してほしいはずだ。

優良顧客に当選させるべく、クジを操作をすることは可能なのか?

希望住戸のかち合った数に応じてサクラを準備することで、優良顧客の当選確率を高めることは論理的には可能だ。

たとえば、ひとつしかない最上階の角住戸をA・Bの二人が希望していたとしよう。
どうしても優良顧客Aに当選させたい場合、サクラが3人いれば、5人で1つの住戸を争うことになるので、その当選確率は5分の1だ。
サクラが当選した場合には、優良顧客Aに譲ればいいのだから、Aの実質的な当選確率は5分の4と高くなる。

抽選会場でこのようなサクラ作戦が展開されているのか否か、真偽のほどは定かではないが。

消費者にできることといえば、抽選前に売主が行う人気住戸の調整時に、自分の望んでいる住戸を強く訴えることだ。

ゆめゆめ第二希望など申告してはならない。あわせて自分に購買意欲と購買能力があることを主張することも忘れずに。

あわせて読みたい

― 新築マンション登録受付・抽選、事前調整の舞台裏
マンションチラシの「完売御礼」にまつわる話


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