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第159回 あえて交通便の悪いマンションを買うという発想



このブログは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論を展開しております。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

今日の記事は、共働きの世帯にとっては無価値かもしれません。専業主婦の妻で小さなお子さんのいる子育て世帯のために「戦略的なマイホーム選択法」として一考に値するかどうか、そんなお話しです。

 

バス便マンションをトコトン安く買い、一方では資産形成のための次の作戦を考えるというものです。

 

●無理なくマイホームを確保するには

高くなったマンション。都心のマンションには手が出ない。かといって、郊外は値下がりが怖い。仕事で遅くなったとき、あまりにも遠いのも困る。

 

中間地も結構高い。都心よりは安いので買えないこともないが、面積に不満が残る。中古マンションも探したが、適当な物件が見つからない。

 

そこで、職場からの直線距離で遠くないエリアのエアポケットを探してみた。駅からも近いとは言えないが、環境は良い。築年数も20年ほど経っている。

(世田谷区内のバス便マンションをイメージしながらお読みください)

そのせいで、予算も下回り、余裕で購入できる。現地を確認し、内見もしてみたが問題はないようだ。修繕履歴を見ても、日常の管理状態も良いらしいと分かった。

 

さんざん迷い、探しつかれた最後の策として「答えはこれだ」とひらめいた。あとは、これを買った場合のリスク、何か問題点が隠れていないか。それを専門家に相談するだけだと思った。

 

以上のお便りを下さったQさんのお許しを得て、本稿に相談の経緯を記すことにしました。

 

●筆者の持論にすべて反する考え方だが・・・

筆者は、日ごろ「安い物件を探そうとしてはいけない」と主張しています。安いマンションは大抵立地が悪く、リセール価値が低いものです。高いマンションは立地が良い代わりに同予算では狭くなります。しかし、2LDKでも10年は住める(第104回 https://www.e-mansion.co.jp/blog/archives/8847/)のだから、どうしても狭いと感じたら買い替えればいい。立地の良いマンションなら売却がしやすいので次の予算も立てやすい。

 

このように言い続けて来ました。今も基本は何も変わりません。この持論の背景には「発想の転換」という要素が隠れています。つまり、いきなり3LDKを望まず、10年後に売却をする前提とすれば「良い立地に無理なく良いマンションが買える」というものです。「70平米 3LDK」という希望を「60平米 2LDK」に転換してしまえば良い解答が得られるのです。

 

この「発想の転換思想」を持ち出して、筆者はQさんとともに、Qさんの方針が正しいかどうかの検証を行いました。

 

●リセールバリューの期待値をどこまで下げられるか

立地が悪いので高いリセールバリューは望めないが、どこまでが許容範囲かを試算してみました。購入しようとしているマンションは築15年の70㎡5000万円でした。

 

転勤のない職場なので、長く住んでいられそうだとQさんは言うので、15年後の売却を想定し、15年後のローンの残債を計算しました。固定金利1.2%で計算すると35年返済の場合、38%も減ると出ました。

 

毎月の返済額は、頭金なしの5000万円の借り入れで約145,000円です。管理費と修繕積立金、及び固定資産税の月割り額の合計が約55,000円として、合計負担額は20万円/月としました。

 

Qさんにとって、毎月20万円なら問題ないとのことでした。同じ広さなら賃貸マンションでも20万円はするとのことでした。

 

これを15年後に売却するとして、ローンは38%減って3100万円しかありません。とすると、仮に仲介手数料差し引き4100万円で売れたとすれば1000万円のキャッシュが残ることになります。購入時に仲介手数料と諸費用で別途250万円払ったので、その250万円が1000万円に殖えて返って来たようなものです。言い換えれば、15年の間に1000万円もの利殖ができたことになります。

 

しかし、売値が3100万円にしかならなかったら、つまり38%も下がったら手許に残るキャッシュはゼロです。この場合は、賃貸マンションと変わらないことになります。

 

4100万円で売れるという仮定は、5000万円の買い値から見れば、18%の値下がりです。それで済むのか、もっと下がるのか、カギはその点に尽きます。

 

最悪は38%ダウンの3100万円のリセールを覚悟すればいいのです。少なくとも70㎡3LDKのマイホームを持ち、誰に気兼ねもせず15年間快適に暮らして来たとするなら、金銭に換算できない満足を得られるのです。であれば、3100万円で売れたらいい・・・Qさんは、こんな気分になって来ました。

 

●もっと低い金額だったら?

交通便の悪い不人気マンションは、もっと安くなることはないでしょうか?Qさんは不安な気持ちもまだ残っていました。

 

3100万円でも売れないのは、市況が悪いときです。そのときは、売るタイミングを例えば5年延ばしましょう。20年後は残債が52%減っています。金額で2440万円です。そのとき3440万円で売れたら、1000万円残ります。

 

20年経過ということは築35年ですよ。売れますか?Qさんはなお心配そうでした。

 

購入予定の物件は駅から遠いので、新築時はともかく中古なら十分に値下がりしているはずです。それを購入するのです。高値掴みをするわけではないのです。少しでもリスクを減らしたければ価格交渉をもっと頑張りましょう。

 

古くなっても、維持管理を適切に行えば、35年経てもまだ余命はたっぷりありますよ。現在の築35年マンションは古い部類ですが、20年後の35年マンションは新しい部類です

 

年数が経過するとともに一定の率で値下がりカーブを描くわけではないのです。今後の15年~20年の間に相場は小さな上下動を繰り返すはずですが、大きなトレンドとしては右肩上がりです。

 

こうした説明を様々なデータを用いて筆者は説明した結果、Qさんは自信を得たかのようでした。

 

●売りにくい時期に売らなければならない事情が起きたら?

15年後に3100万円でも売れないときは、5年延ばしましょうと言いましたが、賃貸する策もあります。不便なマンションですが、貸すことができそうです。古くなったので家賃は下がりますが、下がってもこのマンションなら18万円で貸すことはできると思いますよ。

Qさんは、納得して自分の選択に満足げでもありました。

*********************

Qさんの選択は面白い。買い手の事情によっては、あり得る。中途半端な物件を買うより良いかもしれない。筆者はそう感じました。

本来、15年先、20年先のリセールを考えたら立地の良い所が言いに決まっているのですが、Qさんは2LDKは嫌なのです。しかし、3LDKを買うという選択肢には無理があるのです。であれば、リセール価値、すなわち経済的な損得は期待でせず、かわりに自然や穏やかな環境のマンションライフ楽しむことで金銭に代えられないものを探そう。財産作りは、別の方法を探せばいい。これが答えでした。

 

●資産形成という作戦その2

しかし、筆者の話を聞いているうちに欲が出て来たか、購入予定のマンションが5000万円で買って6000万円にならないものかと漏らし始めたのです。

そこで筆者はこう言いました。

二兎を追うものは一兎をも得ず」です。本来、マンションを買うのは、二兎を得ることだったのですが、そのためには立地厳選が条件です。ところが、Qさんの場合は予算的に好立地で70㎡以上のマンションを買うのは無理があるわけです。もっと古いマンションではあったかもしれませんが、築40年などの物件は問題が多過ぎるのでリスクが高いと言えます。

多分そう思っての発想転換であったはずです。

そこで、筆者は次のように続けました。ご自宅からの利益は求めず「損がなければいい」と割り切りましょう。そして、利殖の手段は別途考えましょう

 

利殖の手段は何がいいのか、選択肢は投資信託やJリートなど多数あるかもしれませんが、もっとも堅実なのはマンション投資です。といっても、ワンルームだけはダメです。少なくとも単身者が自分で住むために買ってくれる可能性が高い面積の40平米以上、DINKSも住める2LDK50平米以上が狙いです。

 

これを立地の良い物件に定めて購入し、賃貸するのです。ローンを第三者に払ってもらっているうちに20年経ったとしましょう。残債は52%も減っています。金利が多少高いとしても50%近く減ります。その時点で買い値の20%ダウンになっても残債との差額30%が儲けです。

タイミングがよければ、元値で売れて、ローン残債を引いたら手許に半分のキャッシュが残るという可能性も大いにあります。

税金とか賃貸管理のことなど研究しなければならないことはいくつかありますが、購入先に引っ越して落ち着いたら改めて相談しましょう。

 

こうしてQさんとのご相談はとりあえず終了したのです。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。(http://www.syuppanservice.com

 

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