住宅ローンは転職前に申し込むべき?転職の影響や注意点を徹底解説

転職直後の住宅ローン

「家を買う」という決断をした際に、利用するのが住宅ローン。転職を機に購入を検討する方も多いのではないでしょうか。しかし転職後は住宅ローンが組みにくいといわれるように、転職は住宅ローンの審査に大きく影響します。

そこでこの記事では、転職が住宅ローンに与える影響や転職前に住宅ローンを申し込むメリット・デメリットなどを解説します

予備知識がない状態で、住宅ローン申し込み前後に転職をすると、最悪融資を受けられなくなってしまいます。そのようなことにならないよう、ぜひ本記事を参考に転職と住宅ローンの関係性を理解しましょう。

この記事からわかること
  • 住宅ローンの審査には、勤続年数が影響する
  • 融資実行までは転職をしないのが鉄則
  • 転職後は1年以上経過してから、申し込むのがよい

1. 転職直後は住宅ローンが組みにくいといわれる理由

転職直後のローン組みにくい理由

転職後は住宅ローンが組みにくいと聞いたことがある方も少なくないはず。そういわれるのには理由があります。まずは転職と住宅ローンの関係を理解しましょう。

1-1. 勤続年数が審査に影響する

住宅ローンの審査には、勤続年数が影響します。国土交通省の「令和元年度 民間住宅ローン実態に関する調査 結果報告書」によると、95.6%の金融機関で、融資を行う際に勤続年数を考慮しています。転職直後は勤続年数が短くなってしまうので、審査要件に合わず融資が通らないこともあります。

なぜ勤続年数を見るかというと、ローンが滞りなく安定して返済可能かを判断するためです。他にも完済時の年齢が80歳未満かどうか、健康状態、年収などが審査項目では重要です。これらの審査項目は、継続的返済が可能かを判断する重要な要素となっています。

1-2. 転職理由や収入によっては問題がない場合もある

一般的に転職直後は審査が通りづらいといわれていますが、キャリアアップによる収入増加が目的の場合は、転職後でも審査に通過する場合もあります。ヘッドハンティングや、資格や経験を活かした同業種への転職は収入が増えることも多いでしょう。その場合は、審査にプラスの影響を与える可能性もあります。

ただし「転職後」という点では審査に通りづらいことは変わらないので、注意しましょう。

転職後にローンを申し込むときは、職務経歴書や年収見込み証明書などを提出するよう求められます。そこで明確な転職理由の説明や年収が増える見込みであることを証明し、有利に働くよう説明しましょう。

2. 転職前に住宅ローンを組むメリット・デメリット

転職前に住宅ローンを組むメリットデメリット

次に転職前に住宅ローンを組むメリット・デメリットを解説します。よく理解したう上で、自分にとって転職前と後どちらに住宅ローンを申し込むのがよいか判断しましょう。

2-1. 転職前に住宅ローンを組むメリット

まずは転職前に住宅ローンを組むメリットを紹介します。

融資を受けやすい

勤続年数が見られるという点から、転職前に住宅ローンを申し込めば融資は受けやすくなります。一般的に勤続年数は「1年以上」あるかどうかを審査されることが多いです。そのため現職での勤続年数が1年未満でなければ、審査は通りやすいでしょう

また転職後に年収が下がる場合も、転職前に申し込んでおいた方がよい例です。年収も審査の際に見られるので、現職の年収の方が高いなら転職前に申し込むのがおすすめです。

独立・起業予定の方も退職前がおすすめ
会社を辞めて独立・起業したい方も、収入の予測が不安定になることから退職前にローンを申し込んでおいた方が審査に通る確率は高いといえます。

おすすめの住宅ローンを知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

2-2. 転職前に住宅ローンを組むデメリット

次に転職前に住宅ローンを組むデメリットを紹介します。ここではデメリットを2つ紹介します。

転職後に起こりうるリスクが想定しづらい

転職前に住宅ローンを組めたとしても、転職後に起こりうるリスクを想定するのは難しいです。元々年収は変わらない想定だったとしても会社都合で年収が減少したり、転職先が自分に合わず早々に退職してしまう可能性もあります

また転職先の状況が明確に分からない状態でローンを組むと、返済計画が立てにくくなるのもデメリットです。収入が減ってしまう可能性もあるため、毎月の返済額を減らしたり返済期間を延長する必要性が出てくるかもしれません。その場合総返済額が増えてしまうことも考えられます。

転職後は見通しが立ちにくい
転職前に転職後のことを想定してローンを組んでも、想定通りにならないケースもあります。転職先で数年働いてから住宅ローンを申し込むことも1つの選択肢として考慮しましょう。

融資実行日まで転職できない

住宅ローンは仮審査、本審査、ローンの契約、融資実行という流れで行い、最短でも1ヶ月程度必要です。融資実行日までは転職はするべきではないので、転職を急いでいる場合にはデメリットとなるでしょう。

住宅ローンの融資審査は、申し込み時に記入された情報をもとに判断します。そのため本審査が終わってから融資実行までに転職をしてしまうと、情報が変わってしまうため審査結果は無効となってしまいます。

転職したことを金融機関に黙っていたとしても、融資実行日に再度健康保険証から転職・退職していないかを調べられます。申告内容と異なれば契約は白紙となり、他の金融機関を探しても勤続年数が短いことから最悪全て断られる可能性が高いです。

本審査から融資実行までは記載した情報が変わることのないよう、転職は控えるのが賢明です。転職は焦らずに、タイミングを待ちましょう。

3. ローン返済中に転職するときの注意点

ローン返済中の転職の注意点

では住宅ローンを申し込みローン返済中に転職をする場合は、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。ここでは注意点を3つ紹介します。

3-1. 金融機関へ報告する

まずは勤務先が変わったことを、金融機関へ報告しなければなりません。融資が実行されていれば報告義務はないのではと思われる方もいるようですが、住宅ローンの契約約款に、届出事項に変更があった場合に所定の手続きや届出が必要なことが明記されています。同様の記載がないか、一度ご自分の契約約款を確認してみましょう。

融資がすでに実行されていれば、転職したことで融資が見直しになることはないので安心してください。ただし以下で説明するように、転職したことで住宅ローンの返済計画の見直しや更なる対応が必要になる場合もあります。

3-2. 収入が減少する場合

転職によって収入が減少すれば、月々の返済が難しくなる場合もあります。その際はまず金融機関へ事情を説明し、対処方法を検討しましょう。ここではおもな対処方法を2つ紹介します。

繰上げ返済をする

繰上げ返済とは、毎月の支払額とは別でまとまった金額を返済すること。手元資金があれば、繰上げ返済を行うことで毎月の返済額を減らせます。返済は元本に充てられるので、その分の利息がなくなり総返済額を減らすことが可能です

繰上げ返済には、月々の返済額を減らす「返済額軽減型」返済期間を短くする「期間短縮型」の2種類があります。たとえば元利均等返済、借入金額3,000万円、ボーナス返済なし、借入期間30年、金利2.5%で、借入から3年後に300万円繰上げ返済したときのシミュレーションは下記の通りです。

区分繰上げ返済なしの場合返済額軽減型期間短縮型
毎月返済額118,536円105,794円(-12,742円)118,536円
残りの返済期間27年27年23年(-4年)
返済総額42,673,100円41,544,479円(-1,128,621円)40,080,870円(-2,592,230円)

収入が減るのであれば、前者を選ぶことで月々の返済による負担が減り、生活費も確保しやすくなるでしょう。ただし後者の方が利息が減る分、総返済額は大きく変化します。どちらがよいかは家庭の状況に合わせて判断しましょう。

返済期間を延長する

もし繰上げ返済をする手元資金がなければ、返済期間を延長するのも対処方法の一つです。返済期間を延長すれば、毎月の負担額を減らすことが可能です。

どの金融機関でも返済条件の変更を相談する窓口を設けていることが多いです。そこで返済期間の延長ができないか相談してみるとよいでしょう。しかし返済期間を延長するには、決められた年収の範囲内であることや月収が規定水準以下であることなどの条件を満たしている必要があります。条件が合わなければ延長ができない可能性もあるので注意しましょう。

延長の検討は慎重に
返済期間を延長することで、利息の負担が増え総返済額は増加してしまいます。そのため延長するかどうかは慎重に検討しましょう。

3-3. 住宅ローン減税を受けている場合

住宅ローン減税を受けている場合、転職をしたことで何か影響があるのではと心配に思う方もいるかもしれません。転職をしても、減税には影響はないので安心してください。転職先での最初の年末調整で以下2つの書類を提出することで、引き続き還付金を受け取れます

  • 金融機関から交付される「住宅ローンの残高証明書」
  • 「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」

もし、再就職するまでに期間が空き、無職期に年末を迎えるなら自分で確定申告をする必要があります。その際は上記の書類に加えて、退職時に交付された以下の書類を持ち、管轄の税務署で申請しましょう。

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票

4. 転職後に住宅ローンを申し込む際の注意点

転職後に住宅ローンを申し込むときの注意点

実際に転職後に住宅ローンを申し込む場合、提出書類や申し込み時期に注意が必要です。ここでは、その注意すべき点をいくつか紹介します。

4-1. 借入可能額が下がる可能性がある

同業種への転職ではない場合、年収は転職前より下がることがほとんどでしょう。年収が下がることで住宅ローンの借入可能額は下がる可能性があるので注意が必要です。

この際審査基準となるのが、総返済負担率です。これは年収に占める総借入金額の割合のことを指し、多くの金融機関では30〜35%を上限目安としています。年収が増えれば同じ金額を借入するときに総返済負担率は下がり、年収が下がれば負担率は上がるので上限に達してしまうかもしれません。

この総返済負担率は住宅ローン以外の借入金額も含めて計算されます。年収が下がってしまうなら、希望とする借入金額が通りそうかを事前に試算しておくとよいでしょう。

4-2. 転職歴や年収見込み書を提出する必要がある

転職後に住宅ローンを申し込む場合、申込書に転職歴を記載しましょう。また以下の書類のうち、いずれかを提出します。

  • 年収見込み証明書
  • 年収記載の雇用契約書または採用通知書
  • 給与明細書

転職後は勤続年数が短いことから、審査に通りづらい場合があります。ただキャリアアップのための同業種への転職や年収の増加が見込める場合は、転職が有利に働く可能性もあるため、職務履歴書には詳細を記載して、しっかりアピールするのがポイントです

必要書類は金融機関によって異なる場合があるので、必ず金融機関に確認するようにしてください。

4-3. 転職後1〜3年以上経ってから申し込む

国土交通省の「令和元年度 民間住宅ローン実態に関する調査 結果報告書」によると、回答のあった金融機関1,190のうち、融資審査時に勤続年数が「1年以上」あるかを見る金融機関数は701機関「3年以上」かを見る金融機関は234機関あります。

そのため、転職後1年以上経っていれば、基本的に勤続年数が問題視されることはありません。また3年以上経ってから申し込むと、さらに審査通過率が高くなるので、しっかり覚えておきましょう。

5. まとめ

住宅ローン申し込みの前後で転職を検討されている場合、転職前に申し込んだ方が審査は通りやすいでしょう。ただし転職後の返済計画やリスクを想定しづらいデメリットもあります。また契約から融資実行までの間に転職をすると、融資が無効になってしまうので十分に注意してください。

この記事の内容を参考に、ぜひ自分にとってベストな転職時期を判断しましょう。

※この記事は2021年8月6日に調査・ライティングをした記事です。
※本記事の価格はすべて税込で表記しております。

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