造成工事とは?工事の流れや注意点、依頼するポイントを徹底解説

造成工事は、住宅を建設するにあたり欠かせない作業の一つです。でも、実際に造成工事を依頼する際に、どんな点に注意すればよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では造成工事とはどのようなものか、工事内容や流れ、費用や期間などについて詳しく解説します。業者の選び方や費用を抑える方法など、あらかじめ知っておくべき情報をわかりやすくまとめました。

本記事から、基本的な造成工事の知識を身につけて、造成工事の依頼に役立てるようにしてください。

この記事からわかること
  • 造成工事は土地を住宅地用に整えるもの
  • 費用を抑えるために重要なのは、工事業者を直接探すこと
  • 造成工事は自治体の許可がないと行えない

1. 造成工事とは

造成工事とは

造成工事とは、山や森林、田畑などそのままでは宅地に向かない土地を、住宅建設に向け整えるための工事のことです。「宅地造成」とも呼びます。

たとえば、もとは大きな田んぼが広がっていた土地を埋め立てて、大きな分譲用の土地に仕立て、そこに分譲住宅を建設して販売するといった一連の流れを指します。

造成工事は田んぼや森林といった、別の用途で利用されていた土地を宅地に変更することが多いため、土砂崩れや地震、地盤沈下などの災害が起きないよう宅地造成等規制法にもとづき作業していきます。

宅地とは
住宅地用の土地、建物内の敷地である土地のことを指します。

2. 造成工事が必要な土地は3種類

造成工事が必要な土地

造成工事は、土地がそのままでは宅地として利用できない場合に行われます。宅地として利用できない造成工事が必要な土地には、以下の3つがあります。

  • 変形している土地
  • 高低差がある土地
  • 地盤が弱い土地

2-1. 変形している土地

土地によっては、変形していたり五角形になっていたりと、住宅を建てるには不向きな地形になっている場合があります。

このようなケースだと、造成工事によって宅地として利用しやすい四角形に整える必要があります。

2-2. 高低差がある土地

高低差がある土地は、造成工事によって平らにならします。盛り土や斜面など、高低差が激しい土地はそのままでは家を建てられません。高い部分を切り崩したり、低い部分には土を流し込んだりして平らにならし、家を建てられるように整形します。

2-3. 地盤が弱い土地

地盤が弱い土地の補強も造成工事の役割です。腐葉土が多い田畑のように、地面の土が柔らかくふかふかとしている土地は、家を建てたときに耐久性に欠けてしまいます。

また、家が建ち長期間経過すると家の重みで徐々に地盤沈下が起こり、家が傾く原因になります。そこで、造成工事によって柔らかすぎる土を取り除き、逆にしっかりと硬さのある土を流し込み、圧力をかけて固めたり土砂を敷きつめたりすることで地盤を強固にします。

3. 造成工事を専門業者に依頼するポイント

造成工事を専門業者に依頼するポイント

造成工事はいくつか制限があり、勝手に自分で行うと法律に反してしまう可能性があるため、専門業者に依頼する必要があります。次のポイントを覚えておきましょう。

3-1. 造成工事を行う業者

造成工事の依頼先には次のような複数の候補があり、土地の広さや造成工事の規模によって依頼先を使い分けるのが一般的です。

  • 小規模~中規模の土地:解体業者や外構業者
  • 大規模な土地:建築会社や土木業者

造成工事は、個人が重機を搬入したり、工事が得意な知人の力を借りたりして作業することはできません。また、対応していない業者への依頼も不可能です。

造成工事は一歩間違えば災害に関わる危険性もあることから、専門知識や法律に対する知見が必要な作業です。そのため、造成工事を手がける特別な業者に依頼するようにしましょう。

3-2. 造成工事の費用は業者や内容により異なる

造成工事は、土地によって作業内容がまったく異なるため、かかる費用は状況によってかなり差があります。

たとえば、ほとんど平坦な土地と、草木が生い茂る傾斜の激しい土地では、面積が同じでも作業の難易度が違います。作業の難易度が高いほど費用が高額です。一般的に、傾斜の激しい土地を盛り土してならしたり、流し込んだ土が土砂崩れをおこさないよう土止を行ったりする場合、費用が大幅に上がる傾向にあります。

仲介手数料がかかることがある
ハウスメーカーや建設業者に依頼して造成工事業者を手配した場合、仲介手数料がかかることもあるため、依頼する際には見積もりをもらって内訳を確認するようにしましょう。

3-3. 造成工事にかかる期間は1週間~2ヶ月

造成工事は費用と同様、工事期間も規模や作業内容に応じてかなりばらつきが出ます。簡単なものなら1週間、大規模なものなら1~2ヶ月ほどかかるのが一般的です。梅雨や台風など、季節や天候次第では工事が遅延する可能性もあります。

また、作業開始までの期間にも注意が必要で、立地によっては工事することを都道府県知事に届け出る必要があります。土地の性質によっては工事が難しく、入念に下準備や調査をする場合もあるため、通常は数日~数週間ですが、長くなるとすべてを済ませるのに半年、1年かかるケースもあります。そのため、施工の相談は早めにしましょう。

4. 造成工事の流れ

造成工事の流れ

では、具体的に造成工事は具体的にどのような流れで進むのか、順を追って内容を確認してみましょう。まずは地鎮祭(※)を行ったのち、次の手順で進められます。

地鎮祭とは
工事の前に土地神に対して土地の利用を報告し、安全祈願する伝統行事のことを言います。

4-1. 地盤調査

工事の方針を決めるため、地盤の状態を調査します。地盤調査によって、その土地が宅地に向いているかがわかります。向いていない場合はどのような処理をすれば宅地として利用できるかも合わせて検討する必要があるでしょう。

4-2. 地ならし・伐採

森林のように土地によっては草木が生い茂っていたり、岩や石が邪魔をしていたりと工事がしにくい場合があるため、障害物を撤去していきます。撤去方法は対象物に応じて、手作業の場合もあれば重機で一気に除去作業する場合もあります。

また、草木の伐採・除草後に大切なのがその後の防草処理です。せっかく処理した土地にまた草が生えては意味がないため、防草シートをかぶせて丁寧に処理をします。

4-3. 土盛・切土

傾斜のある土地や、周辺の土地より低い土地、あるいは高い土地については高さを揃えます。低い土地に土を盛って高さを上げるのが「土盛(盛り土)」、逆に高さのある土地の土を切り崩して平らにするのが「切土」です。

土盛や切土を施したあと、土が周辺に流れていかないように土をせき止める工程をここで追加する場合もあります。

4-4. 地盤の改良

最初の地盤調査の結果、土地によっては地質がよくなく、宅地にするほど地盤の強度がない場合もあります。そのようなときは地盤改良を行います。地盤改良の方法としては、たとえば土にセメントを混ぜたり、特殊な機械を用いて地盤を押し固めていく方法があります

4-5. 地盤固め・仕上げ

土地を平らにならしたら、その土地に仕上げを施します。重機でしっかりと押し固めるだけでなく、砂利を敷いたりコンクリートを流し込んだりなどして舗装することもこの段階です。また、周囲に斜面や崖が残っている場合、崩壊しないように擁壁という補強のための壁を設置したりすることも。

ここまで進めると、造成工事はほぼ完了です。

4-6. 残土の処分

施工した業者は、最後に残土の処分を行います。特に傾斜のある土地をならした場合は、高い土地を切り崩すときに大量の土が出ます。土は一般的なゴミとは処分方法が異なるため、専用の処分先で処分するのが特徴です。

まれに、悪徳業者が土を不法投棄した結果、山間部で大量の土が崩落したり、土壌汚染が起きたりする問題も発生しているため業者は慎重に選びましょう。

5. 造成工事の費用を抑えるポイント

造成工事の費用を抑えるポイント

造成工事は費用がかかるため、少しでも抑えたいと考える方も多いはず。そこで、ここでは費用を安く抑えるためのポイントを解説します。

5-1. 固定資産税が安くなる時期に合わせる

造成工事は、年内に住宅が建つようスケジュールを調整しましょう。毎年、1月1日時点で住宅が建っている土地は固定資産税が優遇されます。そのため、1月1日までに住宅が建つように作業するのが重要です。

たとえば、2月に購入した土地なら年末まで10ヶ月あるため、造成工事も住宅建設も余裕のあるスケジュールで進められます。しかし、10月に土地を購入してしまうと、1月1日時点で家が建つ見込みはほとんどないので購入した翌年は固定資産税が多くかかります。

住宅建設を始めるタイミング
購入から建設まで年単位で間を空けるようなことはできるだけ避け、造成工事の後すぐ住宅建設を開始するのがおすすめです。

5-2. 業者を直接探す

少しでも安く造成工事を依頼したいなら、仲介手数料を節約しましょう。ハウスメーカーや不動産会社などを通して依頼すると、ハウスメーカーや不動産会社が紹介した業者が担当するため工事費に仲介手数料が加算されます。仲介手数料は工事費の2割に及ぶため、大規模な土地ほど負担が大きいです。

逆にいえば、造成工事を対応する業者に直接依頼するだけで工事費が約2割引になります。ハウスメーカーや不動産会社の仲介を受けることで安全な業者を紹介してもらえるというメリットもありますが、金銭面を重視するのであればできるだけ自力で業者を探すのがおすすめです。

5-3. 相見積もりをする

業者によって造成工事の価格は変わるため、必ず相見積もりをするのが工事費を安く抑えるポイントです。ただし、数社比べて一番安いというだけで業者を選ぶのは避けた方がよいでしょう。造成工事は住宅を建てる土台に関わるため、万一悪徳業者にあたってしまった場合手抜き工事が後々まで響く可能性もあります。

そこでおすすめなのは、5~6社の業者から見積もりを取り比較することで、価格の相場を理解しておくことです。そうすることで、業者の対応満足度、コストパフォーマンスなどから総合的に判断できるようになり、自分にあった専門業者を選びやすくなります。

6. 造成工事で覚えておきたい2つの法律

造成工事で覚えておきたい2つの法律

造成工事を依頼するにあたり、覚えておきたいのが関連する2つの法律です。造成工事に許可がいるかどうかには、次の法律が関係しています。

6-1. 都市計画法

都市計画法は、あらかじめ想定した理想の都市の姿をもとに開発や整備を進めるための法律です。都市計画法がない場合、その土地に住む住民が勝手に住宅を建設したり、土地を農地にすることで必要な施設が建設できないなど、防災上問題が出る可能性があります。

そこで都市計画法では一部の土地の利用方法を定め、たとえば農地を宅地に転用するといった行為を規制することで、都市が計画的に発展できるようにしています。このため、もし造成工事によって農地を宅地にしたいというような場合は、都市計画法に基づいて許可をとった上で施工する必要があります。

6-2. 宅地造成等規制法

宅地造成等規制法は、市街地やこれから市街地になる予定のエリアにおいて崖の崩落や土砂の流出といった災害が起きないよう、工事する内容や場所を規制するための法律です。宅地造成等規制法では後述する宅地造成工事規制区域を工事する際、都道府県知事の許可が必要となります。

許可さえ取れば宅地造成工事規制区域内に住宅を建設することは問題ありません。しかし、通常の土地よりも手間のかかる造成工事を行うことから、造成工事の費用がかさみやすいというリスクもあります。

「宅地造成工事規制区域」とは

宅地造成工事規制区域とは、崖崩れや土砂の流出など災害が起きる可能性がある危険なエリアとして指定されている土地のことです。この区域における造成工事では、災害が起きないように土砂を受け止める擁壁を設置したり、あるいはその場の状況に応じて必要な措置を講じたりしなければなりません。

宅地造成工事規制区域として指定される区域は、宅地造成等規制法によると次のように定められています。

(1) 切土で、高さが2mを超える崖(30度以上の斜面)を生ずる工事
(2) 盛土で、高さが1mを超える崖を生ずる工事
(3) 切土と盛土を同時に行う時、盛土は1m以下でも切土と合わせて高さが2mを超える崖を生ずる工事
(4) 切土、盛土で生じる崖の高さに関係なく、宅地造成面積が500㎡を超える工事

一引用元:国土交通省ウェブサイト「宅地造成等規制法の概要

7. 造成工事を行うときの注意点

造成工事の注意点

最後に、造成工事の際に決して忘れてはいけない注意点を紹介します。トラブルを未然に防ぐためにも、次の点をチェックしておきましょう。

7-1. 近隣住民へ工事の説明や挨拶をする

造成工事の前に、近隣住民へはあらかじめ挨拶を済ませておくのが大切です。造成工事は重機も使用する大がかりなものになるため、工事の騒音や粉塵飛散のリスクがどうしてもでてきます。挨拶や説明を行わないままだと、近隣住民から訴訟に発展する可能性もあるため必ず了解を得ておきましょう

工事の1週間前くらいまでに、在宅率の高い休日の日中を狙って挨拶するのがおすすめです。不在の場合はいったんお知らせをポストに投函し、後日あらためて挨拶しましょう。

7-2. 信頼できる業者を選ぶ

業者の中には、まれに産業廃棄物を不法投棄する悪徳業者や、手抜き工事する業者もいるため、しっかりとした優良業者を探すのが求められます。信頼できる業者を選ぶポイントとしては、次の点を意識しておきましょう。

  • 造成工事に関する多数の実績がある
  • 見積もりが細かく丁寧に出される
  • 電話口や実際に会ったときの対応がよい
  • 産業廃棄物処理に関するマニフェストについて説明がある

マニフェストとは、産業廃棄物処理の際に発行される伝票のことで、産業廃棄物を適切に処理したことを示します。不法投棄する業者は当然、このマニフェストを発行できません。あらかじめマニフェストについて問い合わせをしておくことで、その業者が適切に産業廃棄物を処理する優良な業者かどうか判断できます。

土地活用に応じた相談先について知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。

7-3. つなぎ融資を利用する

造成工事の費用支払いには住宅ローンを利用できないため、つなぎ融資の存在を覚えておきましょう。住宅ローンは家を担保にする都合上、家が完成してから契約開始されるため、造成工事時点では融資を得られません。

そこで、造成工事の費用を支払えない場合に、文字通り住宅ローンの融資開始までの「つなぎ」として融資を受けられるのがつなぎ融資です。つなぎ融資は住宅ローンを契約したのと同じ金融機関で契約します。一時的に融資を受けた額を、住宅完成後に住宅ローンを使い一括返済する仕組みです。

8.まとめ

造成工事は農地や森林といった、住宅地向けでない土地を宅地用として整えるためのもので、造成工事に対応した業者のみが作業できます。造成工事は住宅を建設する上で一般的な工事の一つですが、中には宅地造成工事規制区域に指定されていて、事前に許可を得ないと工事できないケースもあるため注意が必要です。

地盤調査の期間を含めると工事完了まで長期間かかる可能性もあるため、造成工事やその後の住宅建設は計画的、かつ早めに依頼しましょう。造成工事が完了し1月1日時点で住居が完成していれば、固定資産税が優遇されるメリットもあります。

造成工事は業者選びも重要です。廃棄物を適切に処理してくれる、実績が豊富で対応が丁寧な業者を選びましょう。

※この記事は2021年8月6日に調査・ライティングをした記事です。
※本記事の価格はすべて税込で表記しております。

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