第117回 「リセールで価格を決め手にする物件を買わないために」

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★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツ―をご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください☆・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています

 

新築マンションが売れないとき、マンション業者は最後の手段として「値引き販売」を断行します。と言っても、大っぴらにはできないので水面下で実行します。関心客に口頭でささやく形を取るのです。

中には「商談ルームとして使用した住戸につき300万円プライスダウン」と堂々と広告に謳うものもあります。大義名分があればいいのです。「モデルルーム特別販売」も同様です。

 

眺望や採光、住戸プランが良くないなど、何らかの問題があって売れ残っていても、価格を下げると売れて行きます。カギはその割合です。100万円と聞くと「なんだ、それっぽっちか」と感じる人も、300万円と聞くと食指が動くものです。1億円のマンションで300万円では全く関心を示さないでしょうし、逆効果という場合もありますが、一般マンションでは効果がある場合が多いものです。

 

マンションづくりは、いろいろな障害があるもので、住戸のプランニングにおいては、その位置と間取りに苦労を強いられます。向きや隣接建物との関係による位置取り(配置)が困難で、否応なく売りにくい住戸、売りにくい間取りができてしまうのです。

 

その売りにくい住戸をいかに魅力ある住戸に変換するか、ここがデベロッパーの企画・設計担当者の腕のみせどころです。筆者は若い頃それが楽しみでした。

 

しかし、いくら考えてもこれ以上は無理ということも少なくありませんでした。また、折角のアイディアもコストの壁に跳ね返されたこともありました。

 

そんな場合どうしたかというと、最後は値段の調整です。全体の利益を落とさないようにしつつ、売りにくい住戸を魅力的な安値に落とすのです。結局、最も売りにくい住戸が真っ先に売れ、角部屋でルーフテラス付きなどの条件がすこぶる良い住戸が高くなり過ぎてしばらく売れないといったこともありました。

 

こうした経験から、最後は値段だなあという思いを強く抱くに至りました。

 

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さて、これを個人宅、すなわち中古マンションの売却に当てはめて考えてみましょう

 

「このマンションを買おうと思いますが、何年か先に売る必要が出て来ると考えています。売れますか」というお尋ねは多いのです。

 

筆者はもちろん「売れます。問題は価格です」と答えます。どんな条件の良くないマンションでも、その場所は人里離れた山の中でない限り売ることはできるはずです。人口が減ることで、マンション需要も減るかもしれません。そのような心配がある立地条件なら、買い手より売り手が多いので需給バランスが崩れて価格は安くなるでしょう。

 

マクロの視点での立地条件が一番大事な要素になります。郊外よりは都心、各駅停車よりは急行停車駅といったふうに。

 

しかし、マクロの意味で優位にある立地条件を選べない人もあります。勤務先の関係が主な理由です。そんなときは、ミクロの視点での良い立地を選ぶようにしなければなりません。

 

例えば、駅から徒歩10分の物件と5分の物件があったら、5分の方を選ぶべきですし、仮に5分と7分の比較では環境にはっきりとした差があれば7分を選んでもいいかもしれません。

 

価格の安さに惹かれて1階住戸を選ぶか5階を選ぶべきか迷ったときは、1階が5階住戸に比べて本当に魅力的な住戸であるかをよく吟味しなければなりません。

 

価格の安さだけに目を奪われた場合、それが大きな損失につながることもあります。分かりやすく説明すると、1000円の品が中古になると500円に下がり、1500円で買った品は逆に2000円に上がるといったことが不動産売買では起こるからです。

 

価格だけでなく、「差別化」というキーワードでみたとき、その住戸に魅力がたっぷりあるかどうか、そこが大事です。

 

北向きだが眺望がすばらしい住戸だ、窓が狭いのは難点だが間取りに特別な工夫が施されて魅力がある、1階だが専用庭が広く、かつ庭先に離れがついている、庭の先は通行人からも覗かれない垣根がある、キッチンに大型の床下収納がある、和室に掘りごたつがある等。

 

特徴が明確で、見学にやって来た買い手が「ちょっとした感動を覚える」ものであれば、売りやすいことは間違いありませんが、反対に何の取柄もない「つまらない住戸」や「魅力に乏しい立地」、「建物全体としても格別な特徴がない」ものであるとき、その物件は中々売れないということになるかもしれないのです。

 

そのようなときも、最後は価格を下げれば必ず売れますが、オーナーの大部分が安値では売りたくないはずです。しかし、現実は価格を最後の決め手にせざるを得ないマンションをかってしまう人が多いのです。

「価格の安さを決め手にするしかない物件」を買わないようにするには、どのような点に留意したらいいのでしょうか?

 

買い手もいつかは立場代わって売り手になるのです。そのとき、下げずに売れるもの、言い換えれば、見学者が引きも切らない状態になり、強気で希望価格を押し通せるものを持ちたいものです。

 

特徴があるマンション、つまり差別化が明確な物件を選ぶのは、簡単なことではありませんが、必ず意識したい視点と筆者は考えます。建物価値としては平凡でも、駅に近い(徒歩3~4分)なら、それが大きな差別化になるはずです。

 

駅から徒歩7分なら、近くも遠くもないですが、高層階の住戸で遠くまで見通せる眺望があれば、その選択は良いでしょう。見学者がちょっとした感動を味わうからです。感動したとき、買い手は購買に傾きます。

 

駅から徒歩10分ならどうでしょうか?その弱点を補うもの、例えば隣地が公園や森であるとか、オーシャンビューが圧巻といった駅に近い物件では味わえない環境の良さや眺望価値が群を抜いているということなら、その選択は問題ないということもあります。

 

駅に近く、かつ環境も良いとう得難い立地なら文句ないと言えるでしょうか?その駅がカギを握ります。普通は駅に近いと環境は悪いものです。両立している物件は、多分ビッグな駅でなく、ローカル色の残る駅であることが多いのです。「駅力」という概念ではレベルが低く、その駅のマンションは多くが駅に近くて環境が良かったりします。ゆえに、差別化されているとは言えないのです。

 

ところが、「駅力」が高いとは言えない街で高級・高額マンションの取引が行われる所があります。東京都心の地下鉄沿線の駅は、どこで降りても駅の周辺には何もないものです。しかし、学校区が良い、昔からの邸宅地だった、アドレスがか格好いいなどのブランドが補ってくれる街です。

 

中には、エアポケットのような立地もないことはないですが、都心の中の都心にあるとか、ビジネスの中心駅に絶対距離で近いなら、建物条件の差で選べばいい場合があります。

 

・・・・・将来の売却を念頭に置いて検討するときのキーワードは「差別化」「感動」の2語です。

 

「希少価値」という観点ではダメですか?という質問をいただいたこともありました。

これは危険なキーワードです。なぜなら、マンション開発が年々難しくなっているため、久しく供給がないエリアというケースが増えているからです。

 

新築マンションでは、しばしば「◎◎地区ではX年ぶり」とか「◎◎エリアで一種低層専用住居地域のマンションは0.5%の希少価値」といった類の広告コピーを見かけますが、そうだとしても建物が平凡でトータル価値は半減という物件もあります。

 

その街に累積してきた中古のすべてと比較しても「ダイヤモンドの輝き」を放つのかという問いかけをしてみると、そうでもない物件が多いのが実態で、それを希少価値と言って良いかは甚だ疑問です。

 

新築志向の強い人が多いせいか、特定の地域にスポットライトを当てると、久々の新規物件は、高くても売れてしまうことがあります。少なくとも、発売当初のプレミアム住戸(角部屋・最上階など)は抽選になったりします。しかし、普通の部屋や条件の劣る部屋はなかなか買い手がつかないのです。

 

新築ということを除けば、ありきたりの物件だからです。中古も含めれば、そのエリアでは珍しいものでも何でもない住戸を買ったら、将来価値はきっと期待外れになるでしょう。

 

「えっ、そうですか?中古も結構高いのではありませんか」と不思議そうにする人があります。しかし、それは今だからです。新築相場の急騰した2015年~2017年に売った人は、確かに高く売れました。しかし、それが買い値をいくら上回ったかは別の話です。

 

10年前の2007年も相場が高いときでした。そのとき買った物件は昨年確かに高く売れました。しかし、高いと言っても、実は買い値と変わらなかったのです。損をしなかっただけで、儲けたわけでもないというわけです。

 

今年買えば売るときは良くて買い値、悪ければ値下がりすると見なければならないものが多いことでしょう。どのくらい損を被るのか、今買って大丈夫なのか、しばらく賃貸マンション住まいを続けた方がよくないか、しかし、来年4月に子供が小学校に上がるタイミングで引っ越ししたい。一体全体、どうしたらいいのでしょう。そんなふうな悩みを筆者は、2900人からお聞きして来ました。

 

マンション選びは中々難しいものです。だからこそ、買い手は迷走しますし、混乱をきたしてしまう人も少なくないのです。インターネットには様々な情報が溢れています。玉石混交のハウツーも氾濫しています。悪意としか思えない意見も流れているようです。

 

ますます迷い、悩みます。早く楽になりたいという本音も聞こえて来ます。

 

筆者の役割は、ある意味で「交通整理」かもしれません。お考えを整理し、優先順位をつけ、検討物件の優劣を判定します。優劣とは、資産価値の観点からになるのですが、面談でのご相談では、ご家庭の事情やライフプランとの関連もお聞きしながらの助言や提言となります。忙しい方のためには、物件探しのお手伝いをさせて頂くことすらあります。

 

もつれた糸をほぐすことに筆者は役に立っていると自己分析をしています。

なんであるにせよ、リセールのときに損が出るか出ないか、このマンションを買って大丈夫かどうか、価格で勝負などとならないような価値あるマンションかどうか、儲けなくてもいいが損失が大きくなければいいが、このマンションはどうか、これらのお悩みにズバリお答えすることで世間様のお役に立てれば本望です。

 

・・・・・・本日はここまでです。ご購読ありがとうございました。

 

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