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第108回 なってしまった億ション



読者の皆さんは「億ション」と聞いて、どのようなイメージをお持ちになっているでしょうか?今日は、「億ションらしくない億ション」のお話しをしようと思います。

 

●高くなっても売れる不思議

 

価格が上がった昨今、そのために購買力が追い着かず、昨年初頭から新築マンションの販売は低調が続いています。それでも、都心のマンションの中には好調なものも散見されます。

 

価格が上がっても、もともと予算に余裕のある買い手さんも多いのです。都心は坪単価で言えば、ほぼ@400万円を超えることになってしまい、70㎡なら8000万円~9000万円が当たり前のように値付けされています。それでも普通(?)のサラリーマン世帯が届いてしまう状況にあります。

 

パワーカップル世帯の年収が高いこと、住宅ローンの金利競争が0.5%を切るようなレートを生み出したことと相まって購買力が伸びた買い手さんも多いのですね。その結果、1億円を少し超えるマンションを買えてしまう人も随分増えている印象を持ちます。

 

全般的に見れば、「横ばいになりつつあるものの、価格は今年も前年度比で5%前後は上昇の見込み」の中、1億円前後の住戸が医師や会社経営者などの特別な階級でなく、一般サラリーマンによって買われて行くという事実に驚く人も少なくないのではないでしょうか?ご自分が一番驚いているのかもしれません。

 

新築の供給は大幅に減っていますし、1億円前後の住戸の数はさほど多くないのも一方の事実です。そのうち、1億円を超える住戸を買う人は8000~9000の住戸に比べれば少ないのです。しかし、筆者に届く「マンション評価」のご依頼の中には、バラつきはあるのですが、毎月5~10件の億ション検討者が見られるようになっています。

 

物件によっては、「プレミアムフロア」と称して億未満の住戸と差別化を図っているものもありますが、筆者の評では「これが本当に億ションなの?」と驚かされる物件も目立っています。

 

 

●これが億ションか?

 

「これでも億ションか」と訝しく思う具体例を見て行きましょう。高級物件を目指すなら、細部に渡って買い手から追及・指摘されるような欠点は90%以上取り去るものですが、そうでもない億ションの誕生に首をかしげざるを得ません。その実態を少し覗いてみます。

 

1)共用部の仕上げ材

エントランスの床材を天然石張りにするのは常識のようなものです。タイル張りなどはあり得ないのです。外壁の仕上げ材も、タイル張りの部分もあるが下層部を中心に天然石張りでなければなりません。

 

2)エレベーター

エレベーター品質は、どのくらいの等級があるのでしょうか?筆者も正確なことは知りませんが、シティホテルをいくつかはしごしてみると分かります。デザインもグレード感も様々です。

マンションでは億住戸が混在する高級と見られる物件の中に、ときどきがっかりさせられるものがあります。パンフレットには掲載されないので、完成してからの話です。

 

3)ラウンジやホール

大型マンションなら、ロビーも広くて豪華に作ったりしますが、規模が小さいと、どうしても貧相になってしまいます。それをカバーするのは、壁や床、天井まで高級な仕上げ材を用いて豪華に、かつ品よく作りこむことですが、残念ながら億ションらしくない「普通」の仕上げ・デザインでお茶を濁している物件も少なくありません。

 

4)バルコニーの軒裏

前面道路を歩く人が豪華そうなマンションを見るとき、ロビーの奥に目をやるか、中が見えない場合は上を見上げたりします。上を見るとバルコニーの下(軒裏)が目に入る形状のマンションがあります。

 

軒裏は、たいていリシンという塗装材の吹き付けであったりします。高級マンションは、見えてしまうのだから裏ではないと考えるもので、見て美しく高級感のある材料で化粧するのです。

 

5)内部仕上げ

室内の仕上げとは、壁・床・建具の表面材のことですが、それぞれピンからキリまで種類は無数にあります。

高級マンションなのに、普通レベル、悪くはないが、億ションなのだから、シートフローリングはないだろうと思うと、実際はシートフローリングの物件も現実にありました。

シートフローリングの良さは分かるけれど、それでは億ションらしくないのでは?

トイレや洗面所の床材も同様で、CFシートはないわなあ!!そう感じたことが何度もありました。

 

6)設備

室内の設備・仕様が良いのは億ションでは当たり前です。大事なことは、億ションらしさです。

別の機会に整理してご紹介しようと思っていますが、室内の吸排気設備ひとつでも、室内の温度を一定に保つものもあれば、室内の暖気が外に逃げてしまい、外の冷気が入ってきてしまうのもあるのです。

 

7)間取り

億ションは、100㎡でも2寝室しか設けないといったゆとりのレイアウトにするのが普通です。同様に、キッチンも洗面所も広くて作業がしやすい寸法に設計するものです。何もかも理想通りには行かないでしょうが、そんな配慮が全く感じられない億ションもあるから驚きます。

窓の大きさ・サッシの高さなどに目をやると、普通のマンションの中に、ずっとリッチな気分に浸れる間取りも多いので、「なんだこれは?」と叫びそうな間取りの億ションもあるのです。

 

8)住戸玄関

筆者は「玄関は顔である」と思うのです。アルコーブを設けるなどは当たり前ですが、億ションの場合はドアを開けて中を覗いた瞬間に三和土(たたき)の部分、靴を脱いだところ(ホール)、その先の廊下まで、どんな雰囲気を漂わせているかが高級マンションほど大事だと考えています。

 

日本の狭いマンションでは限界があるのは理解しています。以前、間取りづくりに携わったときの苦労を自ら味わった経験者だからです。

 

しかし、バランス感覚を大事にしつつも、エントランスには気を使うべきです。ホールの幅とその先の廊下が同じ幅しかない「寸胴タイプ」の間取りは普通に作られていますが、億ションではワイドな玄関ホールがまずあって、その先で胴がくびれて廊下となる形が望ましいのです。

 

9)天井高・天井飾り

最近は普通のマンションでもリビングの天井高は2500ミリが標準です。億ションは2600ミリがギリギリの妥協範囲と言って過言ではないのです。2500ミリの天井高の億ション、失望以外の何物でもありません。

 

天井面は、梁の関係や排気ダクトのルートなどから、ある程度デコボコするのは仕方ないのですが、天井が低いマンションでは、ところどころで圧迫感が強く迫って来ます。このような億ションは、もはや論外というほかありません。

 

10)洗濯機置き場

洗濯機置き場の周囲は、どうしても雑然としがちです。生活感が最も出やすい場所と言えるかもしれません。しかし、例外がないくらいに洗面所に同居しています。入浴のときに脱いだ下着を洗濯機の中に放り込むには、その場所が最も効率的でいいのでしょう。

 

しかし、洗面所は化粧したり身づくろいしたりもする(その習慣のないご家庭もありましょうが)、「お洒落空間」でもあります。訪問者が化粧直しに洗面所を使いたいと言うかもしれません。そのときに備えて洗濯機とその周囲の雑然さは隠しておいた方がいいはずです。

 

億ションでも洗濯機置き場が洗面所に隔離せずに置く設計(ドアなし)が見られるのです。

 

11)トイレ

化粧直しをしたい客が来たら、トイレを使ってもらえばいい、そこには鏡も設けてあるし、化粧バッグを置いたりするカウンターもあるから洗面所はこれでいいなどと主張するプランナーもありますが、そのトイレが億ションらしいしつらえ、特に全体の広さとカウンターとボウルの大きさ、壁紙の上品さなどを感じるようになっているでしょうか?

筆者が見る限り、とても億ションレベルにはなっていないのです。

 

●結果億ション・なってしまった億ション

この言葉は、「建物は中級だが、地価の暴騰によって価格だけが高級マンションの代名詞・億ションと同じ1億円を超えている物件を揶揄した言葉」でした。不動産インフレを象徴する言葉でもありました。

 

今、再び都内各地で販売中のマンションの中に「なってしまった億ション」が登場しています。一部の住戸に留まっているので、バブル期のような極端さはないものの、原価(土地と建築費)の上昇によって「なってしまった億円台の住戸」が増えています。

 

先述の例示を含めて億ションの現状をまとめると、次のように言い換えられます。

 

➀ 室内の設備・仕様は標準を超える上級ではあるが、最上級とまでは言えない。

 

② 共用部も上級ではあるが、最上級でもない

 

③ 全体が億ションではなく、上階の「プレミアム」住戸などに限定されている(例外的に中層階にも誕生してしまったものも見られる)

 

④ 億ションが建つイメージの街でもないが、駅前立地であるケースが多い

 

 

●高級な億ションの条件

 

これに対し、そもそもの高級マンションというイメージを壊さない億ションとは、どのようなものでしょうか?整理してみましょう。

 

➀ 社会的に特別な階層(富裕層に分類される少数の階層)が、ステイタスシンボルとして好む邸宅地(ブランド地)に立地する。

 

② 特別な仕様で造られた外観や共用部を持つ(5つ星の高級ホテル並みの仕上げ材やインテリア、オブジェなどで飾られている。内廊下の絨毯ひとつ取っても品質にこだわりが見られる。エレベーターの仕様も上級)

 

③ 戸数の割にエレベーターの数が多く、駐車場は全て地下自走式かタワーリフト式になっている、ドアボーイやバトラーが滞在し、高額な管理費が設定されている。

 

④ 水回り部分も含めて全体的に天井が高く、リビングルームは飾り天井が施され、いかにもシャンデリアが似合う。トイレや洗面室の床はCFシートなどではなく、悪くともタイル貼り、多くは天然石仕上げになっている。壁の仕上げも高級感と上品さのあるデザインにこだわっている。設備もハイグレード、建具は高級な天然木材、ドアハンドルの材質・デザインも一級品を採用など、書ききれないが、本物志向に徹した専有部分となっている。無論、広さもゆったりと作られている。

 

 

このように、本物の億ションとは、建物が高級というだけではなく、そこに高級住宅地や邸宅街といった立地条件の特別な価値が加わって成立するものです。

 

そのような特別な億ションにも、「なってしまった」という意味を加えるならば、今の時期は1億円が2億円になってしまったということになるのでしょう。

 

●なってしまった億ションを買うと

「届くから、買えるから」の理由で高値の「なってしまった億ション」を買ってしまうと、将来はどのようなことになるのでしょうか?

 

物件固有の条件によって異なるので、ここで総体的な予想を述べるのは難しいのですが、多くの場合で悲観的にならざるを得ません。

 

実際の価値以上の値段が付いてしまうことをバブル現象と定義するなら、「なってしまった億ション」は、将にバブル物件なのです。バブルは必ず調整されるときが来ます。つまり、一旦は必ず値下がりしてしまうのです。

 

その先は、また値上がりのサイクルがやって来ますが、その局面で元の価格に戻るかどうかが問題です。

 

マンション価格は、上昇期と安定期と下落期とが循環するものですが、それが何年くらいの周期で起こるかを予想するのは難しいのですが、先の上昇期には築年数の経過もあるので、結局は元に戻らない(値下がりした)ままということもあり得るのです。

 

その意味で、「届くから・買えるから」に甘んじることなく、実質価値をよく確かめて購入することが大事だとお伝えしたいのです。

 

今日の話は「なってしまった億ション」を題材にしてはいますが、基本はどのようなマンションにも当てはまるのです。 どれも旧相場より高値で買わざるを得ない時期にあるのは仕方ないとして、バブル部分が剥がれ落ちて大きく価値が下落してしまうことのないよう、物件選択に当たっては、その価値をよく吟味することが重要です。

 

・・・・・・・本日はここまでです。ご購読ありがとうございました。

 

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