『マンションは管理を買え』って言うけれど…

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管理を買え??

もともとアメブロで書いていたときには、かなりヘビーな管理組合理事長向けの実務的な記事ばっかり書いていました。さて、スムログで何を書こうかなぁと思ってきましたが、まずは何回か、素朴に私が疑問に思ってることでも。

よく『マンションは管理を買え』と言われますが、私自身はこのセリフを自分のブログに書いたことはないと思います。「管理」が何を示しているのか明確ではないし、「管理って買えるの?」って素朴な疑問があるからで、はるぶー当人はこの言葉が嫌いだからです。

管理を買えの「管理」って?

管理を買えの管理が「管理会社」の初期設定という意味? でも管理会社って通常1年契約で、ほかの会社に変更するって決定は、総会で参加者の過半数の賛成を集めるだけでできてしまうわけで、少なくとも区分所有法や、標準管理規約に準拠している規約を持ったマンションでは、「全戸の3/4の賛成が必要な重要なこと」扱いではありません。

新築マンションのモデルルームに訪問すると、特にオープン直後には管理費や修繕積立金の数字もでてないことが多いです。でていても、管理委託契約書に相当するような詳細なその使い道が販売時に明確化されているという例はみたことがありません。
管理費や修繕積立金が妥当かどうかを判定するには、もう1つの組合の重要な収入である駐車場の使用料金の行先がどんな割合で、どちらに入っているかを知らないとその妥当性を判定することはできないのですが、ここマンションコミュニティの掲示板で見ていても、そんな疑問や売主とのやりとりが出てくるのは、私自身が書き込んだ例を除いてはみたことがない。多分誰も気にしていないわけです。

まだ立ち上がってもいない状態で青田買いで買う新築マンションで、管理の良し悪しがお金さえだせば選べるなんてことは多分ないんじゃないかな。

管理って主体は、管理組合で、何かを変えていくことができるのは理事会が提案して総会を通してしかありえません。管理を買えの管理が、「管理組合の良し悪し」と言う意味なら中古仲介でしか成り立たない概念になるわけですが、中古物件の仲介でも、「ここは管理状態が違うからお値段も違います!」というセリフも実は最低でも築20-30年は経過したマンションでないと私は聞いたことはない。

せめて中古の仲介でくらいは、マンションの管理状態の良し悪しで、値段が違ってくるようになってほしいかなぁとは思いながら日々管理組合をやっているのですが。

よい管理って「買える」ものなの?

「管理が買える」ものなら、お金さえ余分に払えばあとは全く関与しなくてもよい管理が手に入って、あとは何もしなくて寝ていてもOKという「管理を売ってくれる」会社がどこかには存在しないといけないことになる。

私はRJC48という約200人が加入する理事長の会の代表をしていて、いろいろなマンションの理事長さんとおつきあいしてきました。10万戸以上といった受託戸数を誇る大手の管理会社はその全てとどこかの理事長さんがおつきあいがあるんですが、実際にオフ会で集まってみると皆さんからもうちょっとなんとかならんか…とか愚痴を聞かされるほうで、「うちの管理会社は任せておけば安心です!」といいきった方には過去に一人も会ったことはない。任せて放置でOKという管理会社はおそらく国内に存在しないかな。

『管理を買え』にはお金さえ払えば後は自分はその管理を良くすることには関与しなくても構わないのだという甘えが感じられて、私は嫌いです。

管理って、殆どを自分でやる自主管理とかでなくて、基本は管理会社にお任せしてって方式で進めるのが普通です。首都圏の新築マンションでローンを組む人の世帯年収平均は800万円くらい。全国平均の2倍近くリッチなわけで、その年収を維持するためにばりばり働いている間に、廊下のお掃除とかは黙ってても綺麗に進めておいて欲しいというのがマンション購入者の本音で、これは決して間違いではない。

殆どのマンション購入者は、自分でせっせとマンション内のお掃除をするようなことを望んでいるわけではないでしょう。時給4000円くらいの人が時給1000円の管理員さんに働いて貰って楽をしましょうというのが、マンション管理の本質だとは思うわけです。うちは500戸ほどのマンションですが、管理費から年にのべ40000時間近くを管理員、警備員、清掃員など毎日マンションにいる人の雇用に充てています。自分たちでやったら1戸年80時間。これは住人が自分でやるような仕事ではありえない。

なにか決まったことをその通りに実施するという「守り」に管理会社は強い一方で、現状になんらかの問題があって、マンションのルールを変えないといけなかったり、多くのマンションの抱える修繕積立金の積立不足などの財政問題を改善したりといった変革を扱う「攻め」ができるのは、管理組合だけです。

それを取り仕切る理事会が主として「何かを変えていく」仕事をするわけですが、多分うちの組合で23人いる役員が年間に会議や書類作成などで現状費やしている時間は年間に2000時間といったところでしょうか。これは決して0にすることはできません。

100年に1回しか理事が回ってこないようなマンションでも、住民の誰かが最小限の仕事をして、管理状態を維持・改善することは必須です。マンションを買ってしまうと、強制的に管理組合に加入するわけで、組合のすることに対しては責任が生じてきます。殆どのマンションでは役員って輪番で必ずそのうち回ってきますしね。

マンションの管理に問題があるとしたら、当然管理組合が悪いに決まっていて、無論理事会にも責任はあるでしょうけど、1戸分の責任がその苦情なり不満なりを言っている人にもあるわけです。 管理費はちゃんと払っているんだから、あとはちゃんとやっておいてくれという発言を誘発するだけ、『マンションは管理を買え』ってセリフは罪深いんではないかなぁと私は思うわけで、自分じゃ決して使わないわけです。

「マンションは管理を自分たちで作るもの」

未来は自分で
 『マンションの未来は自分たちが作るのだ!』 ですよねぇ。

これは立候補して理事をやれという意味ではなくて、管理組合の仕組みといったものに理解があって、ちょっとだけでもなにかできないかな・・・といつもアンテナを立てているという意味も含んでるつもりです。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

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