第86回「ひと頃の半分に減ってしまった新築マンション」その意味は?

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新築マンションの需給バランスはすっかり狂ってしまったようです。欲しい人の数だけ供給がないという数のバランスのことです。

嫁一人に婿5人のような状態になっていると言えばお分かりいただけるでしょうか?

1:5ほど極端ではないものの、需給ギャップは大きいと見ています。

 

年間の新築マンション需要は、首都圏全体で50,000戸くらいはあると見られますが、発売戸数は2008年以降の9年間に限ると40,000戸程度しかありません。(43,733戸・36,376戸・44,535戸・44,499戸・45,602戸・56,478戸・44,913戸・40,449戸・35,772戸:平均43,595戸)

 

つまり年平均7000戸の供給不足が続いているのです。

 

10年以前、2000年以降2007年までの8年間を見ると、平均82,706戸でした。

(95,635戸・89,256戸・88,516戸・83,183戸・85,429戸・84,148戸・74,463戸・61,021戸)

 

8年間にわたり、毎年80,000戸もの供給ができた裏には、言うまでもなく需要があったからです。そのころの団塊世代は50歳以上なので、これを除外するとして、団塊2世は20代後半から30代半ばに差し掛かっていたので、大きなボリュームになりつつあったのですが、それだけでは80,000戸の説明がつかないのです。

 

毎年80,000戸の供給を支えたのは何であったかを解明するには、1980年代後半まで遡ってみなければなりません。数字は割愛しますが、バブル経済が華やかだった頃、マンション用地は「土地ころがし」の流行によって狂騰し、マンション業者がマンション適地を取得することはできなかったのです。

 

売り地に採算に乗るものはなく、供給はしたくてもできなかった時代が長く続きました。

当時、高値のマンションも初めのうちは買わないと一生マイホームは持てなくなるという強迫観念にとらわれた人たちが買い急いだのですが、やがて限界を超えました。

 

何故なら群馬県高崎市や静岡県三島市、栃木県宇都宮市などに行かなければ手の届くマンションはなくなっていたからです。こうなると、デベロッパーも開発を諦めるほかなくなり、通勤圏内の新築マンションは大きく減少しました。

1991年の供給戸数などは、年間25,000戸余に過ぎませんでした。

 

 

中古マンションも、「投機的行動」の対象となり、とても一般需要家が買える代物ではなくなってしまったのです。

 

こうしてマイホーム難民が大量発生しました。これが、価格の低下とともに2000年頃から顕在化し、先に紹介した2000年以降の大量供給の受け皿となったわけです。

 

しかし、やがて念願を果たした人たちが一巡すると、需要は平時に戻り、年間50,000戸になったのです。

 

ところが、冒頭で述べたように最近9年の供給戸数は40,000戸強に減ってしましました。潜在需要はあっても、価格高騰によって購入を断念した人もあるのでしょう。50,000戸はあるはずが、需要は減退したのです。

 

供給余力はあります。なぜなら、売り出しても棚ざらしになることを恐れる売り手は、売れそうな数しか発売しないからです。ご存知のように、1期、2期と分割して販売するマンション業者は、売れ行きを見ながら売り出し戸数を調整します。100戸のマンションも売れるものとして製造(すなわち工事)を一斉に行いますが、店頭に並べるのは30戸だけだったりします。70戸の供給余力はあるのです。

 

しかし、70戸がいずれ供給されるとしても、販売の遅れが第二の商品の製造着手をためらわせることでしょうし、第三の商品製造のための仕入れもストップがかかります。

 

こうして供給数は細ります。供給が減るのは価格の高騰に原因があるのです。2016年などは40,000戸を割り込んでしまいました。2017年上半期も14,730戸と低調です。このままでは2017年は30,000戸も割り込むことになりそうです。

 

利益調整して、またはグレードダウンしてコストカットを図りながら価格を下げる物件が発売されるかもしれませんが、大幅な下落にはならないはずです。

 

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ここまでを整理すると、「供給数は絞られ価格の低下も期待できない」状態が続くことになるのです。いつか来た道を再び歩こうとしています。この先、いったいどうなるのでしょうか?

安くなって(購買力とマッチした物件が)、2000年以降のように大量供給はされるでしょうか? 少なくとも、筆者が推定する50,000戸の潜在需要に見合う供給の回復はあるでしょうか?

 

用地難も実は原因なのですが、カギは価格ということになりそうです。優良な土地、マンション適地がそもそも少なくなってしまったこと、少ない適地を競い合うために用地費が高くなってしまうこと、さらには建築費の高騰が重なっていることがマンション価格高騰の最大の原因です。

 

価格が適正に戻らなければ、需要は回復しないでしょう。需要が回復しなければ供給も増えないはずです。

 

適正な価格に戻るでしょうか?答えはやはり「期待薄」です。建築費が落ち着いて来る、もしくは下がることは期待できても、地価も下がらないといけません。どちらも大幅な下げを見せることにはならないでしょう。歴史がそれを語っています。

 

予算に余裕のある人でも、供給数が大きく減った状態では、希望条件を満たす物件と出会う可能性は低いと考えざるを得ません。その点をしっかり刻んでマンション選びに当たることが大事です。

 

良いものに出会ったら、素早く決断することが多分必要になるのでしょう。中古マンションも同時並行で探すことも必須のはずです。

 

とはいえ、焦りは禁物です。言い換えましょう。焦らなくとも大丈夫です。高いだけに競争相手(買い手)も逡巡するに違いないからです。新築では、1期で30戸売り出しても、2期以降で70戸もあるのです。しかも値下げの可能性もあります。

 

まだまだ悩ましい時間が続きそうですが、適切な判断を祈念します。

 

・・・・今日はここまでです。ご高覧ありがとうございました。

 

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