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第67回 「値下がりが始まる。待って買う」は正解か?



このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月510の日に投稿しています

 

「今後は価格が下がる。今買うべきではない」といった意見がネット上に溢れているらしいです。ご相談者のメール文の行間から伝わって来る、この購買姿勢について筆者の考えをお話ししたいと思います。

 

●新築マンションの価格構成要素を先ず知りましょう

 新築マンションは土地代+建築費+販売経費+利益で構成されています。比率は大雑把に、30%+50%+10%+10%となっています。地価の高い都心のマンションでは、40%+40%+10%+10%です。

 

 マンション開発は土地を取得してから早いもので1年、大型物件では3年の時間を要します。つまり、今販売を始めたマンションの土地原価は1~3年前に確定しています。

 土地を買収するときには、建築費を想定して販売予定価格を試算し、その価格で販売が可能かを検討します。つまり、市場調査に基づいて採算が取れるかどうかを検証するのです。 販売可能価格から逆算式に土地の買収額を決めるというわけです。 

 ところが、希望額で土地が買えるわけではありません。環境も悪くない、交通便も良い、そして一定の広さのあるマンション適地は、勢いよく湧いて出て来るものではありません。むしろ、滅多にないと言った方が適切かもしれません。

  そんな中で「マシ」な土地が売りに出されると、デベロッパー各社は入札方式で奪い合います。つまり、一番高い価格で競り落とした企業に土地は渡ります。競り落としたデベロッパーは、高値でも商品の企画やブランド力によって販売可能と考えるのでしょう。競り落とせなかったデベロッパーは歯ぎしりする思いになるわけです。

  入札に参加するのはマンション業者だけとは限りません。最近、目立つのはホテル業者なのだとも聞きます。

 

  強気で買った土地が、3年経て販売を始める段階に近づいてきました。建築費は3年前に立てた予算内にうまく収まってくれるでしょうか?

 

 2011年の大地震以降、復旧・復興工事によって人手不足に陥った建設業界は請負金額を上げました。 

 2012年以降のアベノミクスが公共工事を景気浮揚策として増やして来ました。 

 2016年以降は五輪関連工事が本格化し始めています。五輪関連は、民間のホテル建設を含むと考えていいでしょう。また五輪に直接の関連がない「東京大改造計画」が多数進んでいます。

 

 マンション工事は繊細な工事でクレームも多い「儲からない」仕事と昔から言われて来ました。建設業界は、関係の深いマンションデベロッパーには義理もあるので、見積もりには参画しても、前向きに受注を狙おうとしません。

 今は、そんなときです。人手不足による建築費の上昇は、大手ゼネコンから中堅・中小ゼネコンにまで広がってしまいました。

 

 高く買わざるを得なかった土地に予算を超える建築費でマンション価格の80%は  占められているだけに、新築マンションは2013年以降、急激な値上がりトレンドを見せるに至りました。

  底値安定期の2012年を100としたとき、2016年の価格は首都圏平均(単価)でも20%を越えました。23区の場合は26%弱の上昇となりました。

 価格が上がり過ぎれば、売れ行きの悪化につながります。既に多くの物件が販売不振状況に陥っていますが、その状況を売り手はひた隠しにしています。できるだけ「おかげさまで好調に推移位しています」と言いたいのです。

 販売不振状況が知れると、買い手に余計な不信感を持たれ、購買決定に時間がかかってしまい、ますます売れないという悪循環を招くからです。

  しかし、いくら隠しても、やがて買い手の知るところとなります。好調と言いながら、中々完売に至らない、モデルルームが長い間公開中であるとか、本体が竣工したので、夜に行ってみると灯りが点いていない部屋がたくさんあるなどといった状況から「売れていない」と知るのです。

 

 売れなければ価格を下げればいいではないか。そんなふうに考える人もあるかもしれません。どんな商品でも、最後は在庫処分のためには利益を度外視して「バーゲンセール」に賭けます。ところが、新築マンションの場合は簡単ではありません。値下げがしにくいのです。

 初期に5000万円で購入した部屋のオーナーから見たら、同じ面積・間取りの1階上の部屋が4500万円で販売すると聞いて黙っている人はありません。

 分譲主に、「うちも同じだけ値引きしてくれ」などと騒ぎ立てます。法的には何ら問題はありませんが、売主はトラブルを表沙汰にはしたくありません。

 既に入居している買い手も売れない物件=価値のない物件を買ったとは信じたくない心理が働くもので、そこから「早く完売して」と願い、少しくらいの販売促進策、例えばモデルルームとして6か月使用していましたといった大義名分による値引き販売には目をつぶるのです。

 

 「分割販売」という形を採っている多くのマンションでは、未発売住戸の売り出しに当たって、契約済み顧客から苦情が来ない程度の値下げに踏み切るケースもあるでしょう。しかし、目ざとい顧客もあるので、値下げ幅は微々たるものに留めざるを得ないのです。

  また、まだ売り出していないマンションは、経費や利益を削って、もっと言えば、着工直前で仕様の見直し、早く言えばグレードダウンに踏み切ってでも価格を調整して来ることがあります。

  それでも、下げ幅は大きくありません。大きく下げることは価格の構成上そもそも難しいのです。

 

●今後の新築価格の見通し

 価格は天井感が高くなりました。今後は値下がりトレンドに向かうかもしれません。しかし、新築マンションの下がり幅は小さく、買い手が期待するような価格にはなりません。ここまでの説明でお分かり頂けたことと思います。

 

 値下がりに転じるのはいつで、どのくらい下がるのか、いつまで待ったらいいのか、待つことにどれだけのメリットがあるのか、こうし観点で検討して行くと、待つ意味は薄いのです。

 

 「今、買い時ですか?」とよく問われます。そのときは「間違いなく買い時ではない」と答えざるを得ませんが、下落に転じても、下落幅は小さく、また急落することもありません。既述のように、新築マンションに価格は下げにくいからです。

 

 地価は下落局面にあるでしょうか?ご存知のように、むしろ上昇局面にあります。建築費は下がるでしょうか?先に少し触れましたが、建設業界は多忙なときです。今ようやく頭打ちになったと言われますが、人手不足は相変わらずと新聞では伝えています。

 

 仮に今、安い土地を買えたとしても商品として登場するまで2年程度はかかるのです。2年後に建築費は下がっているでしょうか?

 

 土地代も建築費も下がらないとしたら、利益を削るか、建物のグレードを下げるしか下げ余地はありません。既に下げられる所は下げています。これ以上グレードダウンすれば買い手はついて来ないでしょう。売り手は、最低限のグレードを確保しつつ価格も下げるという難解なパズルに取り組んでいますが、答えは出ていません。

  筆者の読みでは、下がっても 5%、しかも「ゆっくりと」です。

 

●歴史に学ぶ

 歴史は繰り返すという金言があります。将来を読み解くに際して絶対的なものではありませんが、有効な方法です。

  新築マンションの下落率はどのくらいになるでしょうか?ここで過去を振り返ってみます。

 

 首都圏平均で新築マンションはこの4年間に20%も上昇しました。とりわけ23区の上昇率は大きく、リーマンショック後の底値圏だった2012年の坪単価は264万円でしたが、4年後の2016年には同332万円と、25.7%も上昇したのです。

 70㎡(21.1坪)換算では5590万円から7000万円と1410万円の上昇でした。

 

 株取引の世界では、「山高ければ谷深し」という格言がありますが、不動産の市場でも近いものがあります。 株の世界ほどではないのですが、数字を追ってみます。

 

 バブル経済崩壊後の下落が止まった2002年から2004年(3年間)は価格の底で、かつ安定期にありましたが、この頃の23区の新築マンションの平均坪単価は約220万円でした。

  翌年2005年から2008年(4年間)にかけては、毎年上昇して2008年には280万円を超えたのです。2002年からの上昇率は27%強です。

  2009年には@263万円と急落し、20092012年の4年間は平均で@265万円となりました。2008年比で5%下落となったのです。

 

 そして2013年から2016年にかけては、先に述べたとおりで、2016年は2012年比で26%弱上昇の@332万円となったのでした。

(以上の元データは不動産経済研究所調べ)

 

もう一度、時系列で整理します。

20022004年 底値安定期】:@220万円

2005年~2008年 上昇期】:@280万円(+27%)

2009年~2012年 下落期】:@265万円(▲5%)

2013年~2016年 上昇期】:@332万円(+26%)

 

 2004年をスタートとして見ると、3年か4年のタームで上昇、下落、上昇という推移ですが、上昇幅は27%と26%、下落幅は僅か5%であることが分かります。

  つまり、一旦上がると調整局面が来ても、下落幅は元に戻るほどのものではないのです。

  言い換えましょう。バブル期のような極端な上昇が起こると、崩壊後の下落局面では元に戻るほどの下落を見せる可能性がありますが、上がり方が3~4年で20%台なら、戻っても5%程度なのです。基調としては右肩上がりが続くというわけです

 

●買い時はいつ来るの?

 値下がりするのは確実として、その幅が最大10%、歴史は5%だよと教えています。しかし、5%でも大きいですね。5000万円が4750万円になるのですから。

  その時期はいつでしょうか?市場全体が平均的に5%の値下がりになるのは2年以上かかることでしょう。それらは、先述のように利益の圧縮という方法によるものです。

  その後、さらに下がるのはいつ頃でしょうか?10%程度まで下がることがあるかもしれません。その実現には、地価が下がりづらいとするなら建築費の下落を待つほかないので、五輪後の2020年以降です。地震(東日本・熊本)災害の復興工事が峠を越えているでしょうし、ゼネコン業界も受注量が減るかもしれません。

  ただ、東京は品川駅のリニア新幹線駅の建設、その前に山手線・新田町駅の建設を筆頭に各地で再開発が盛んに行われるでしょう。また、景気の失速を避けるための政策として公共工事も一定量はキープされるに違いありません。

 

 こうしたことに頭を巡らせていくと、建築費が急落することはないと考えざるを得ないのです。としたら、下がっても5%程度で、かつそこに至るのは2022年頃と予想しています。

 利益圧縮分と建築費下げ分との合計で10%の価格ダウンが簡単に実効されることはないはずですが、業界にとっての下限が10%とするなら、最後はそうなるでしょうが、その覚悟を決めるまでには時間もかかるはずです。

 

 価格は「大きく下がることはない」、「下がるとしても、ゆっくりと下がる。多分2022年以降」だとして、そんなに待てない人も多いはずです。待ってみたが、期待外れとなる公算も高いとするなら、安くなったら買おうという計画は砕かれる可能性が高いのです。

 

 現実的な次善の策はあるでしょうか? 答えは、販売不振マンションの中から、条件を満たしてくれる物件を見つけることです。売れ残りマンションの全てが不良物件ではないのですから。

 

・・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございます

 

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