売主がモデルルームの撮影拒否をするわけ ②

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理由その①は、モデルルーム(MR)と実際の部屋が違っていることが多いからでした。売主さんが撮影を嫌がるもう一つの理由は、「家具の配置などで参考にしたいから写真を・・・」と言われるからではないかと。

実はMRは参考にならないことが多いというのが続編その②.

一応直前のその①はこちらから

https://www.sumu-log.com/archives/6438/

部屋面積を”広く表示”するには・・・

『家具配置などを参考にするためにMRを写真を撮られて』しまうと困る売主は多いのではないか。そのまま暮らせる”雰囲気”は作りこんでいますが、実際には暮らす上で必須のものが欠落しているというパターンが結構多いからです。

その昔TVがブラウン管だった時代には、モデルルームのリビングルームにTVってまず滅多においてありませんでした。場所を大きくくうから。でも家にTVが本当にないという人はめったにいないですよね。今は壁掛けされているのをよく見かけますが、代わりに収納などが消失していて、後から”変更後”の間取り図をよーくみると掃除機をしまう場所がどこにもないことがよくあります。

モデルルームは素のままで造ってあることは少なく、結構弄ってあるパターンが殆ど。床から天井まで全部を使っていない収納スペースは収納面積には勘定しないので、収納を潰して、ちょっと棚をつけてそこにTVをおいているバターンはよくみます。その面積がモデルルームのリビングに表記のあるリビングの”畳数”にさりげなく加算されているというのに気が付く人は少ない。

細かい技としては、キッチン天板をえいやっと拡張してあるパターン、天板の下の面積は・・・実はリビングの畳数に入ってます。さらにリビングの入り口のドアをちょっと廊下側に後退させると、そこから入ってくる扉の幅しかない実質廊下部分は全面積をリビング面積に参入可能。ここは何畳ありますか?という質問はMRの訪問者が訊く質問の定番ですから、必ず数字が大きくなる方向に弄ってあります。

無論設計変更であることは明記していますが、証拠写真とか撮られるのは嬉しくない可能性はある。



上のMR間取りは、リビングルームの”中”に、キッチン・トイレ・2つの居室への入り口・風呂&洗面室への入り口がある例。MRではリビング25畳とか言われたけど、どうみても17-18畳分くらいにしか感じられない…..で振り返ってみたら遥か彼方後方にリビング入り口があってあまりの遠さに霞んでよく見えなかった(嘘)多分住んでいる人もリビングから主寝室に直接入っているとは気がついていないのではないか。ついでにいうと主寝室もドアから中は通路みたいになってる部分も全部畳数に数えます(数えないで使える面積だけで表記するのはURくらい)

実際にこの通りに買ってしまうと案外暮らしにくいかもしれない・・・ですよね。

広く錯覚させる技がばれると

モデルルームは広く錯覚させるためにインテリアコーディネーターがいろいろ秘術を尽くしています。ダイニングテーブルなどが小さかったり、透明で向こうが透けてみえるのを利用するなどはまだよいでしょう。実際に同じにして暮らすことができるからです。

一方でいただけないなぁと思うのは、ベッドなど通常規定サイズのものの大きさを変えてあるものです。ベッドはシングルサイズで2m×1m 幅のほうはいろいろありますが、大人用のものの長さは普通200±5cm (ベッドボードの有無にもよるそれより短くすると足がつきだしてしまいます。

モデルルームにおいてあるベッドって大抵特注サイズです。ちゃんと2mの長さのあるほうが稀ってのは、実際に横になってみると分かります。モデルルームのベッドに実際に寝てみるとか嫌味なことをすると嫌われますから、これは特注の小さなやつだなと見てすぐわかるときには嫌味だからやらんほうがよろしいですが。案外1割弱程度まではあんまり気が付かれずに小さくできるもの。逆にいえば部屋を1割程度は大きく錯覚させることが可能なわけです。あれぇ・・・モデルルームの通りにベッドが置けないんだけど・・・となりやすいんですよね。

小さな特注ベッドをMRに置きたくなることが多いのが1000戸級など大型の内廊下タワー。きちんと採光できない部屋は、”居室”として3LDKとかで数える一人前のお部屋認定できないので、もともと内廊下は間取り設計が難しい。大抵、奥のほうにリビングから引き戸で入る、その引き戸を開けているとリビングと合わせ技で”採光できていることになる”部屋を作ってます。さらに特に大型のタワーになると、限られた外周部分を多くの部屋数で奪い合う(ざっくり面積は大きさの2乗ですが外周は1乗でしか増えないですからね)形になるために、どうしても細長い居室が作られがちになります。部屋の縦横比が2:1とかに近くなるととても使いにくい。家具がおけないというのは、間取りの図面集で”畳数”だけチェックしている購入検討者は案外気が付かないものです。

不動産表記の1畳ってのは1.62平米。これは、1.8m×0.9mの面積に相当するのですが、実際に畳の入っている日本家屋であれば6畳間の縦横比は4:3。短辺が2.7mということになります。実際には、部屋の面積は”壁芯”なので壁の厚み分損しているのですが、とりあえず無視して、4:3の縦横比の6畳間に2m×1mのベッドを2台置いたのが下の図の左側。まぁ無理なくおけて、ベッドの足元を人が通過可能です。(概念図ですが縮尺は正確に書いてあります)


これが内廊下メガタワーにありがちな2:1の縦横比のウナギの寝床状の6畳間になると、縦横の長さは4.4m×2.2m となります。そのまんまベッドを短辺方向に置くと・・・・足もとを人が通過することはできなくなるんですよね。じゃ・・・で長辺方向に置くと、今度は幅1mの通常サイズのシングルベッドを2台並べて入れることはできません。
少しだけベッドに小さくなってもらって・・・右の図では1割サイズ変更で、1.8m×0.9m と、不動産表記標準畳サイズに縮小してあります。これで、足もとも通過可能で無問題(?)になったし、案外小さくなったな・・・とは気が付かれずに済みます。
まぁ・・・実際に入居するまでに、中に暮らす人が1割身長を低くすればいいんですが、ごちゃごちゃいってないではるぶー減量しろぶーとか言うのとちがって、身長を縮めろは少しだけ難しい気もします。(嫌味を避けたマイルドな表現)

錯覚を起こさないために”自分を”使って採寸

このような錯覚に騙されないためには、MRでは疑問に思ったら実際に寸法を測ってみる必要があって、言えばメジャーは必ず常備されていますが、販売員さんにメジャーをだしてもらってベッドのサイズを測定しているというのも嫌味ですよね。

ということで、自分自身を使って長さを測る方法には習熟しておいたほうがベター。例えばほとんどの人は思いっきり両手を伸ばして指先ー指先の長さは身長と同じになっていますから、あるベッドに自分が寝てはみ出さないかどうかは、両手を開いてみるだけでわかります。



後は天井高さとかもMRでわざわざ質問する人が多いですが、普通の人でしたら、爪先立ちとかして背伸びして、思いっきり腕を上に延ばしてぎりぎりさわれる高さは身長の4/3倍になるので、私みたいに身長が180cmあれば、ぎりぎり触れないから245cmだなとか、その先の残り具合とかで私は天井高は260cmくらいまでは5cm刻みでわかるので訊いたりはしませんね。

ま・・・とりあえずMRのベッドは長さに注意ということで。正しい大きさのものをおいてあるのを見ることもあります。私は正直者だというデベの方には疑って申し訳なかったと。主寝室設定で、シングル2つを標準にしている売主などは良心的かなといってもよいかもしれませんね。

!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

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