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三井健太

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第56回 都合の悪いことは隠す=営業マンの習性

このブログは、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介しようというものです・・・原則として毎月5と10の日に投稿しています

 

そもそも売り手というものは、商品のメリットは強調してもデメリット・短所・欠点の類に関しては自ら口を開くことはしないものです。このことは、是非、頭の片隅に残しておきましょう。

 

今日は、営業マンの習性についてお伝えします。分かっていても陥りがちな罠を知っておくことは無駄にならないと考えるからです。

 

 

マンションの場合、広告に謳うのは「駅に近い」ですが、「線路の際なので騒音がひどい」とは決して謳いませんね。黙っているだけです。都心まで何分とは謳うが、電車の混雑は大変なものだ、とは謳わないものです。

 

嘘は罪になるが、沈黙は許される。だから、非難すべきことではありません。不動産広告には、規制の網がかかっており、重要なことはそもそも省けないから、しばしば小さな文字で書くということはあるにしても、よく見ればきちんと表示があります。

従って、何か重大な誤認によって被害に遭うということはなさそうです。

問題は、重要事項から除外されている項目です。そこには、注意を払うべきいくつかのポイントがあります。

 

騒音の心配がありそうな場合を例にとると、これは説明を受けなくても現地に行けば交通量や騒音の程度に直ぐ気付く問題です。そこで、「夜間はどうか」や、「平日はどうか(見学しているのは大体週末だから)」と、営業担当者に尋ねることになります。そこで初めて、説明がなされるわけです。

 

しかし、説明は曖昧なものです。というより、主観でしかありません。客観的データを測定して提示されることは稀にはあるものの、数字を聞いてもピンとくるわけではありません。

 

「眠れないほどのことはない」とか「慣れればどうということはないですよ」といった、極めて無責任な表現です。良心的な業者でも、「静かとは言えませんねえ」と、困ったような顔を見せるだけです。

 

商業地のマンションの場合、バルコニー面が新設の建物によって日照が遮られてしまうという危険がありますが、その場合においても、「将来、近隣に合法的建築物(高層建物を含む)が建設され、日照・眺望が阻害される恐れがあることを予めご承知おきください」と説明するのは、契約・調印の段階になってからです。

 

しかも、説明は営業担当者ではなく、契約担当の事務方からで、契約書類(重要事項説明書)の読み上げを始めてから知らされる形です。その段階まで来てしまうと、買い手の頭は新居での暮らしに飛んでいますから、購入を思い留まる人は少ないものです。それが営業担当者の狙いでもあるのです。

 

不動産には限りませんが、売り手というのは都合の悪いことは隠したがるもので、買い手はこのことを念頭に置いて買い物をしなければならないのです。自衛のためですね。

 

消費財なら金額はしれていますが、不動産の場合は被害も甚大になる怖れがあります。それでも、業者を訴えて損害を回復させることは困難な場合が多いのです。

 

不動産の場合は、たとえ売り手が老舗の有名企業で、一般的には信用できる業者であっても、すべてを任せてしまうことは避けなければならないと言えましょう。そうかといって、素人が自分で調査することも限界がありますね。

 

少しでも疑問や懸念があれば、どしどし担当者に質問をしましょう。それが次善の安全策ですから。聞けば答えてくれます。

 

●営業マンの習性

世間で「お客様」と呼ばれる人たちは、営業マンを多分に誤解している節があります。悪意はないのですが、営業マン=売り手という立場がそうさせるという問題です。

 

東京圏で非常に増えた超高層マンション。外壁がALC板という工場生産の軽量な材料を使用していることは、業界人なら誰でも知っています。ところが、これは下手すると継ぎ目から雨漏りする危険があります。まあ、滅多に起きないのですが。

とまれ、そのことを販売時、買い手に営業マンは説明するでしょうか。

 

また、戸境壁(隣の住戸との界壁のこと)がコンクリートではなく「特殊な石膏ボード壁」のマンションになったものが最近は多数見られます。超高層マンションでは例外なく使われていると断言してよいでしょう。そのくらい普及しました。

 

この壁の欠点はコンクリート壁のような頑丈さはないということです。別名「軽量耐火遮音壁」です。遮音性は大丈夫ですし、火事でも簡単に燃えることはありませんが、それこそ、鉄アレイでも投げつけたら穴が開いてしまうようなものです。

 

この壁に関してHPやパンフレットで図解してある物件もありますが、そこに「重い物をぶつけると穴が開くおそれがあります」と断ってある例を見たことがありません。

もっと重大な問題があります。それは次のようなことです。
「分譲マンションの売買契約において、転勤が理由の解約は、買い主の自己都合に当たり、返金はされません」。しかし、買い手から質問されない限りは、そのことをわざわざ説明する営業マンはいないのです。

 

「転勤が決まったので、ここには住めない。解約するから手付金を返してくれとおっしゃられても、それはできかねます」と説明したら、先ほどまで転勤のことが頭になかった買い手が、「そうか、転勤の可能性はゼロではないな。ちょっと待てよ」と、購入申し込みを急に止めると言い出しかねない。だから、その問題には触れたくないのですね。

 

もし、買い主がこれを要求してきたとしても、一方的で法外なものとして、マンション業者はきっぱりと断ることができます。説明を聞いていないと文句を言ったとしても、それはまさに難癖の類に過ぎません。

 

買い主には不利な、こうした問題でも、説明をしないのが普通です。寝た子を起こすようなものだからです。

 

この他にも、営業マンが説明に消極的なものはいくつもあります。

 

1階住戸は寒い。大梁が洋室の真ん中を横断していて、天井からの圧迫感が強いケース。拭くことができない窓。壁に押し付けないと入らない(一方からしか乗れない)ベッド。

同時に開けるとぶつかるドア位置。トイレのペーパーホルダーが右側についているため右利きには使いづらい。奥行きが狭くて布団が入りにくい押し入れなど。

 

まだまだありますが、これらに気付いていても営業マンは自分から説明はしません。

 

以上の例にあるような、「都合の悪いことは言わない」。これは、営業マンの習性のようなものと言えます。これは、どの業界でも同じではないかと思います。

 

「このスーツが低価格なのは、東南アジアの安い人件費で製造したからですが、実はそれだけが理由ではないのです。製造工程を大幅に簡略化しているためです。従いまして、半年も着続けますと、型崩れが起きます。それを承知のうえでお買い下さい」。このような説明を、わざわざしながら販売する洋品店の売り子さんがいるとは思えませんね。

●「契約寸前まで説明しない容認事項」に注意!

「説明したら藪蛇になるかもしれない。嘘はいけないが、ダンマリは許されるはずだ。知らん顔しておこう」。そう考えている営業マンも多いのです。

 

しかし、重要な問題は黙っていると後のクレームになりがちです。だから、重要事項説明書には書いておこうと業者は考えます。契約書には必ず「容認事項」という条項があります。同じことが契約書の捺印前に行われる重要事項説明の段階で交付される説明書に明記されます。

 

例えば、洪水被害の危険です。

 

「ゲリラ豪雨」という言葉をよく耳にすることと思います。今から7~8年ほど前でしたか、集中豪雨が東京各地で同時発生し、浸水被害が出たことがありました。これによって、マンションの地下は勿論、1階エントランスが水浸しになったのです。幸いに、1階に住宅がなかったので、大きな被害にはならなかったものの、今度いつどこで同じような自然災害が発生するか分かりません。

都内には、大雨で冠水・浸水する危険のある地域が「洪水ハザードマップ」に記されています。

その危険区域に建設中のマンションでは、重要事項に記される場合もあります。例えば、こうです。

 

本物件を含め周辺は、地形的に低地となっているため、局地的な集中豪雨の際は、道路等が冠水し敷地内に流入する可能性があります。

(別紙、「洪水ハザードマップ」(○○市)をご参照下さい)

 

 

「本物件の周囲には、将来合法的な高層建築物が建てられる可能性があります」や「周辺の環境をよくお確かめの上でお買い求めください」、極め付きは「パンフレット・図面集をよくお確かめの上でご契約下さい」です。

 

入居後のある日、隣の5階建てビルが解体され10階建ての高層マンションになるため、7階の角住戸を買った人から「一方の窓からの採光が全くなくなってしまった。どうしてくれるんだ。君は高いマンションは建たないと言ったじゃないか」とクレームをつけても無理難題を言って来たくらいにしか受け取りません。「ここは商業地ですから、覚悟していお買い上げ下さいと契約のときに申し上げたはずです」と、取り合ってくれないのです。

 

「こんな大きな梁が天井から下がっているとは知らなかった」と嘆いても、図面には点線とCH=1950の文字が入っています。CHとはシーリング(ceiling=天井)の高さ(height)を意味しますが、これを天井の高さと瞬間的に理解できる人はどれくらいいるでしょうか? とまれ、明記してある以上、文句のつけようがありません。

 

不動産業界は、クレーム産業などと揶揄された時代が長く続いた経験を持ちます。誇大広告によるトラブルも多かったようです。今もたびたび発生していると聞きます。しかし、関係官庁からの指導や業界の自主規制のおかげもあって、紛争に発展するケースは大幅に減少しました。

 

特に、大手業者が売り主のマンションの場合、営業マンの教育が行き届いているせいか、トラブルは殆どないと言ってよいほどです。

 

下手すれば、インターネットの掲示板に書き込まれて、業者の評判は地に落ちるということにもなりかねません。今は、業者もそんなリスクを冒さない時代になったのでしょう。

 

しかし、営業マンの説明が、部分においては不親切と言われかねない対応は、今後も続くと見なければなりません。どんなに信頼できそうな業者であっても、です。これは、立場の違いであり、人間心理の問題なのです。

 
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以上のことを理解したうえで営業マンと接することが、買い手に求められるのではないでしょうか。

 

・・・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。

 

 

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  1. 勉強になりました。ありがとうございます。
    以前、結局購入しなかったマンションですが、「転勤の可能性があるのですが、契約破棄できますか?」と営業マンに聞いたら、「転勤なら手付け返金で解約できると思います」と言われました。

    結局そのマンションは購入を見送ったので実際の契約書がどうなってるかはわかりませんが、「・・・と思います。」という絶妙な言葉のニュアンスが罪だな、って今振り替えると思います。営業マンの気持ちもわからないことはないのですが、営業マンとのつきあい方、考えさせられます。

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