スムログ(マンションブログ)

マンションコミュニティの皆々様方、ごきげんよう。不動産業界に身を置くDJあかいと申します。 この度、スムログという多くの人の目に触れる晴れの舞台をいただきましたので、普段のブログと一味違った学びのある記事を発信していきたいと思います。

運営ブログ
DJあかいのマンション総研

すべての記事を見る

お便り返し-2 Tatekae or not Tatekae, that is a question. 【DJあかい】



先にはるぶー御大がお答えになられた質問(⇒はるぶー先生の回答)ですが、私からも一言あるので書いてみることにしました。
重複するところもあるかと存じますがご寛恕ください。
ねこさんからの質問はこちらです。

メッセージ本文:
はじめまして、マンションの建て替えについて質問させて頂きます。現在、築40年ほどのマンションに住んでおり、建て替えの話がでてきています。買ったのは2年ほど前でリフォーム済みの部屋をローンで購入しております。買う時に建て替えの話を聞いたところ、議題にあがっていると聞いており将来的には建て替えになることを覚悟していましたが、実際住み始めてからは建て替えの進め方について疑問を抱いております。
まず、既にデベロッパーが決まっており(買ったときは知りませんでした)理事会との癒着を疑っています。通常は建て替え推進決議→事業協力者の募集→参加希望の会社からの提案書の提出→住民説明会→一次、二次審査を経て事業協力者の決定という流れではないでしょうか?友人の持っているマンションも建て替えになりましたが同じ戸数でも会社によって、還元率に大きな差があると聞いているため、最初から一社だけで進める場合条件が良くないのではと思ってしまいます。
また、うちが引っ越して来た後もリフォーム済みの住戸が何軒も売れており管理組合の方で何かしらの対策を練っていないのではと疑問に思います。
住民への説明も十分ではなく、何か疑問があれば決定しているデベロッパーの社員の方が質問に答える状態で(個人面談など)マンション内での疑問をぶつける場や議論する場がありません。引き返せないところまで、強引に進めている印象です。
建て替え賛成の理事達はローンはとっくに支払い済か相続でローンがない人たちばかりで、建て替えにかかる費用が苦じゃない人たちばかりです。うちも建て替えには大反対ではないものの、一社が強引に進めていくやり方にとても疑問を抱いており、このままでは反対に回らざるえません。今後、癒着を暴き、公平に進めてもらうにはどのような対策をしたら良いでしょうか?どうぞよろしくお願いいたします


それは本当に不正・癒着なのか?

ご質問を見ると、建て替えのデベロッパーが一社に決まっていることをもって疑問をお持ちになっていて癒着を疑っている、というところのようですが、実際上の手続きとしては一社に建て替えの費用や還元率を出してもらってそれをベースに説明会等々を進めていくのも珍しいことではありません。デリケートな問題なので多くの会社に出すのを嫌がるケースもありますし、結局のところ還元率がいくらになるかというのは工事費と建て替え後の床面積と保留床(工事費等に充当するために売却する部屋)の売却価格によるので多くの会社に出したところで還元率がそれほど大きく変わらないということも多いです。

むしろ会社よりは時期(マンション価格や工事費の上下)に左右される部分の方が大きいです。ねこさんのマンションが建て替えのどの段階なのか(建て替え推進決議が出される前段階なのか建て替え推進委員会の段階なのかなど)はわかりかねますが、議事録や推進委員会の議事録を見たり経緯を確認しないことには不正・癒着と断定することはできないでしょうし(第三者の私ですら賛同できないのですから利害が対立する理事を説得することは難しいでしょう)、今のご質問の材料で不正を追及しようとしても誰からも相手にされず、このマンションでの生活がしにくくなるだけでしょう。リノベで買ったから反対しているだけ、という目で見られる可能性は高いです。建て替えも阻止できず、マンションの中で四面楚歌になってはせっかく買ったマンションも台無しです。

四面楚歌のイメージ(横山光輝『項羽と劉邦』より)
四面楚歌のイメージ(横山光輝『項羽と劉邦』より)

ねこさんはいわば文化祭の2週間前にやってきた転校生のような立場です。文化祭のやり方に異を唱えてもその議論はずっと前にやっていると一蹴されるのがオチです。自分の意見を通すとか追及するための材料を集めるならはるぶー先生の言うように敵陣に乗り込むしかありません。ねこさんの今の主張は客観的な批判に耐えられる証拠が弱く、関ヶ原の戦いに丸腰で挑むようなものです。宮本武蔵のような名人なら手柄を上げられるかもしれませんが、普通の人がそんなことをすればどういう結果になるかは言うまでもありません。

還元率は高くならない

仕事柄マンションの建て替え検討資料を目にすることも多いのですが、そもそも建て替えた際の還元率は都心の一等地であってもそれほどは高くならず、悪ければ30-40%、よくて50-60%といったところです。なぜ還元率が高くならないかというと、もともと容積率いっぱいで建てているケースがほとんどなのと、絶対高さ規制や日影規制の導入、前面道路幅員による容積率の制限(住居系の掛け率が6/10から4/10に変わった)などで同規模の建物が建たなくなっている(つまり既存不適格)などのためです。

それに加えて昨今の工事費高騰で保留床に回さなければいけない面積を増やさざるを得ない、という状況があります。用途指定が変わった、容積率が上がった、国家戦略特区指定を受けた、などの幸運な(そしてわずかな)例を除けば、ほとんどのマンションで面積が減少するか工事費を負担するか(保留床を買うという形をとります)を受け入れざるを得ない状況です。もっとひどい立地のマンション(建て替えた後に買い手がつかないような)であればそもそも建て替えに参画してくれる事業者もいないでしょう。


建て替えるべきか、建て替えないべきか、それが問題だ

ねこさんにとっての不満は「1.自分(含む新参)の意見が取り入れられていないし満足いく説明もない」「2.リフォーム済みを買ったばかりなのにすぐ建て替えされては困る」という2点なのかなと思います。その気持ち、不満が強いために不正や癒着といった強い言葉となって表れているのかなと。

愛染にたしなめられそうです(久保帯人「BLEACH」より)
愛染にたしなめられそうです(久保帯人「BLEACH」より)

1について言うなら、理事会は今までのステップステップで(その場にねこさんがいたかいなかったかは別にして)説明責任や手続きを果たしてきているはずです。でなければ他の組合員から反対の声が出て滞りが出ているでしょうから。なのでそれを問題視するのは難しい、少なくとも現状の材料だけでは勝負は目に見えています。かといって反対運動を続けたとしても得るものは少ないでしょう。外から石を投げてもねこさんの意見は永久に取り入れられることはありません。正論を言って不正をただせば皆改心してくれるのはドラマの中だけです。人の数だけ正義があります。そして管理組合においては多数を得た意見しか通りません。

「どっちも、自分が正しいと思ってるよ。戦争なんてそんなもんだよ。」(藤子・F・不二雄「ドラえもん」より)
「どっちも、自分が正しいと思ってるよ。戦争なんてそんなもんだよ。」(藤子・F・不二雄「ドラえもん」より)

多数派工作で勝つためには証拠もそうですし人的なつながりなど必要なものは数多くあります。そういったものを手に入れるために理事会に潜入するのも一つの策でしょう。

2について言うなら、新築に生まれ変わるわけなので資産価値上がるよ、修繕積立金下がるよという点にも注目してはどうでしょうか。終の棲家として買ったところで建て替えとなるのは忸怩たる思いがあるでしょうが、それを承知で買われたわけですから、そういう状況の中でどう振る舞うかを考えたほうが有意義なのかなと思います。

多少厳しい言い方に聞こえてしまったかもしれませんが、ねこさんが今の状況を認識したうえで、一番良いと思われるやり方で動いてもらうきっかけになれば幸いです。

補足
建て替えに関する法律(マンション建て替え円滑化法)によって全区分所有者の同意から区分所有者及び議決権4/5の同意に変わり、平成26年の改正では耐震性不足の診断を受けた場合敷地売却の方法もとれるようになりました。(決議の要件は建て替えと同じ)政府の方向性としては区分所有権を一部制限してでも古いマンション、耐震性不足のマンションの建て替えおよび除却を進めたいというところで、たとえ1/5以上の反対派を集めて建て替えを阻止したとしても、今後法改正があれば4/5以下の賛成でも建て替えになってしまう可能性があります。

合わせて読みたい
DJあかいのマンション傑作選その3「コープ・オリンピア」後編
あの有名マンションの建て替え顛末記です。建て替えガリンペイロという言葉は一世を風靡しました。


スポンサードリンク


  1. はじめまして、こんにちは。
    「マンションコミュニティ」を、愛読しており、大変お世話になっております。

    質問者さんと同じマンションか?と、思うような投稿にビックリしております。
    我がマンションも、建替え検討中です。

    実家近くで、昔から知っていたマンションです。
    敷地が広々としており、四季の花々が咲く、手入れの行き届いたマンション。
    都の城西地区で、徒歩10分以内に、メトロと都営の駅があり、通勤通学には便利な立地です。

    契約前時(重説)には、不動屋さんから、建替案が出ているが、建替え決議はまだできない状態と聞いていました。
    その後すぐ、売主からおおまかな資料を頂きました。
    (コンサルタントもデべロッパーも決まっていました。)
    入居すぐに、個人面談がありました。

    リフォーム済の住居を購入したので、ちょっと割高に買ってしまったかなとは思いましたが、しばらく住んで建替えになるのなら、それも良いかなと思うようになりました。

    還元率は80%以下で75%以上で、同じ面積の部屋に居住したい場合は、負担金が掛かります。
    それと、退去から再建まで約3年。2度の転居費用と家賃等住居費が掛かります。

    コンサル担当者にお聞きしたところ、建替えにあたり6社に問い合わせたところ、応じたのは1社だけだったそうです。
    還元率が80%以上だと建替え賛成者が多くなるようです。
    うちのマンションの場合は、80%いかないので、微妙な感じかもしれません。

    コンサルもデべも、複数の建替えを手掛けた実績があります。
    管理組合の役員の方々が、建替えの勉強会に参加し、勉強会を行いながら、実績あるコンサルに相談し、デべも決まったようです。
    私は、後に住んだ者ですが、業者との癒着など疑ったこともありません。

    うちは建替えは賛成します。

    建替えが決定したら、ケンプラッツのニュースになると思います。

    1. こんにちは。
      なるほど状況はよく似ていますね。
      還元率はなかなかですね。桜上水ガーデンズのように元々がゆとりある設計だったんでしょうね。
      状況・経緯、情報をちゃんと得ているところが質問者さんとのスタンスの違いにつながっているのかもしれませんね。
      ケンプラッツのニュースを注視してみます。

  2. DJあかいさんへ
    敷地は広く、緑が多くとても良い感じです。
    うちのマンションは、築古なんですが
    エレベーターもありますし、水系配管工事も、マンション全体と各戸は行っています。
    ただ、耐震に問題があるので、耐震工事&大規模修繕工事か?建替えか?です。

    桜上水はエレベーターも無く、水系の工事も行っていなかったと聞いています。
    高齢になりますとエレベータが欲しくなるんです。
    そういう住居の悪条件も「5分の4」の賛成を得られた要因ではないかと思います。

    その点、うちのマンションは快適なので、賛同者がどれほどいるのか?
    5分の4の賛成はかなり大変だとは思います。

    コープオリンピアも1階の某店の反対で建替え可決されませんでした。
    確か還元率は80%位だったと思います。(古い情報化かも?)
    渋谷区が高さ制限条例(神宮前30M)を発令する前に、建替えをまとめられなかったのは残念な気がします。

    渋谷区は、神宮前は30M、山手通りは40M等厳しく制限しました。(総合設計等除外)
    だから、タワーマンションは建たず、マンション価格は維持できるのでしょうかね?
    ただ、築古の建替えは難しいんでしょうね。
    DJあかいさん、新宿区や渋谷区の高さ制限条例、どう思われますか?

    1. ありがとうございます。
      このままでもなんとかやれるくらいの状況だとかえって意見がまとまりにくく、これ以上住めないような状況だと建て替えがうまくいく、というのはおもしろいですね。
      絶対高さ制限条例/地区計画については渋谷区・港区等多くのマンションの建て替えに影響あるトピックで、私自身思うところがありますのでどこかのタイミングで記事にできればと思っています。

  3. 良く、様々な漫画の画像を転用されているようですが、出典を記載しても著作権法違反なのではないでしょうか?

コメントを書く

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。
コメントは承認制となっており、許可されたコメントが表示されます。



スムログメンバーへの質問やお便り 詳しくはこちら
スポンサードリンク
最近の記事(DJあかい)
同じカテゴリのオススメ記事