第34回「駅から徒歩10分が許容できる条件」

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 マンションを資産性という観点から評価するとき、「立地条件」が最も比重が大きいのは言うまでもないのですが、「立地が良い」を具体的にいうと「駅から近い」や「環境が良い」、「都心に近い」などを挙げられます。

  このうち、抽象的な表現ではなく数値で示すことができるのは、「駅から近い」というときの絶対距離である「何m」または1分を80mで換算した「何分」です。

 筆者は、いつも「10分では遠い」、できれば「5分以内」、妥協しても「7分くらい」と主張することにしています。

 

 ただし、何事も例外はあるものです。広くて街路樹の綺麗な歩道が整備された道をまっすぐ歩いて到達できる10分のマンションと、幅が狭くて夜道が暗いアプローチの5分とでは、10分の方がマシな場合もありますし、駅から5分でも、ずっと線路沿いや幹線道路沿いの喧騒の中を歩かなくてはならないマンションでは問題があるでしょう。

  単身女性のマンションなら、例え5分でも曲がりくねった道で途中に街灯ののない暗い道があったら敬遠されましょう。

 

 では、駅から10分歩くマンションでも、これなら許容できる条件を挙げてみましょう。

  上述の「広くて街路樹の綺麗な歩道が整備された道が続くこと」をもう少し分解すると、「桜並木、イチョウ並木などが目に優しく、季節になると、その美しさにうっとりする、そんな綺麗な道を歩く心地よさ」ですし、「電柱の地下化が進んだ広く美しい歩道をベビーカーとともに歩くイメージが浮かぶ」、あるいは、「大きな公園の中や外周に沿って森林浴をしながら家路に着ける」とか、「邸宅の庭に咲く季節ごとの可憐な花や果樹などを眺められる道を歩く」などということになりましょうか?  

 

 いずれも駅からマンションまでのアプローチが美しく「綺麗な街だなあ。こんなところに住みたいなあ」などと、仮に初めて訪れた市外の人なら「ちょっとした感動」を味わうとき、10分の距離は問題でなくなるだけでなく、短所を補って余りある価値となるのです。

 

商店街通りを抜けると、ほどなく我が家に至る」などというのも遠さが気にならない条件と言えるでしょう。

 商店街には、イベントやセールなどの変化が毎日のようにあって中々楽しいものです。美味しそうな匂いに足が止まることもあるでしょうし、ウインドウに飾られた品につい見惚れてしまうこともあるでしょう。こうした楽しい空気を送って来る道なら10分の時間が消し飛んでしまうはずです。

  アーケード付の商店街であったら、傘も要らず、魅力はさらに増します。

 また、デマンドバスが走っていたら、これも10分のハンディを消してしまうことでしょう。

 

 

 蛇足ですが、10分の道中に何も魅力がない物件は価値がないのかというご指摘を頂きそうなので、補足しておきましょう。

  マンション選びの最優先順位は「立地条件」ですが、その立地条件の弱点を補って余りある価値が他にあれば、道中に何もなくても許容できるかもしれません。 ただ、立地のハンディを補ってお釣りが来るほどのものとなると多くはないのです。

  小説の「トンネルを抜けると、そこは雪国であった」ではありませんが、10分歩いて到達したマンションの目の前には感動的風景があった場合が該当します。

  例えば、「広大な空と海、あるいは河川の景色がバルコニー面に広がっている」とか、「まるで森の中のマンションといって過言ではないほどの自然林や公園に接する」といったものです。「近くにある」ではなく、「接する、最前列にある」ことです。

 「横浜の港の見える丘公園」、「皇居近くの千鳥ヶ淵公園」、「レインボウブリッジ」、「東京タワー」、「井の頭公園」、「芦花公園」、「六義園」、「神宮外苑」などが代表的です。

 

 感動的な景観が楽しめる超高層マンションなら駅から遠くてもいいのか、そんな意地悪な質問にも答えておきましょう。

  東京タワーが近くにはっきり見えるマンション、東京湾のオーシャンビューや隅田川に面するマンション。このようなマンションは多数あります。そして稀に最寄り駅が遠いマンションもあります。

  このような場合も、駅から10分と、到着したマンションの持つ景観の価値とを天秤にかけて判断されることとなります。足元が中小のビル・マンションなどの密集地域であったり、高速道路が際を走っていたりといった別のマイナス要因があれば、多分差し引きして眺望価値も半減してしまうかもしれません。

  反対に、足元が開放的で広くゆったりとした空間があり、かつ、その向こうが運河や川に沿って整備された遊歩道と緑園がある。このような場所であれば、住戸を内覧する手前で感動を呼び、かつ低層階でも得られる素晴らしいビューが駅10分のマイナスを消しさるはずです。

 

 駅前には、ありとあらゆる生活利便施設が揃っているものですが、東京には大規模なショッピングセンターのある街は少ないので、仮に駅から徒歩10分歩くマンションでも、隣に新たなショッピングセンターができたら、それも10分の距離のマイナスを払拭してくれそうです。

 「ららぽーと」や「イオンモール」併設の開発などは、駅から遠くても歓迎されるケースです。

  このような物件は少ないですが、たまに販売されます。バス便ではいけませんが、徒歩10分以内なら問題ない付加価値になっています。

  

 

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