第24回 良い物件を探す簡単な方法なぞ、ないものだ

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   このブログは、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・原則として毎月5と10の日に投稿しています

 

 筆者は、無料・有料を問わず11件のマンションを机上で、または現地調査をして「評価」レポートとしてお届けする仕事をメーンに続けていますが、1年前からご依頼件数が減ったことを実感しています。

 

 市場に品数が少ないので、買いたいが買えない状態に陥った人が増えているためと思っています。

 

 おかげで徹夜作業も減って少しは楽になったのですが、反面、「あの方はどうしただろう。ご希望の条件を満たす物件に辿り着いただろうか?」などと以前のご依頼者・ご相談者に思いをいたすことが多くなりました。

 

 「良い物件があったら教えてください」とおっしゃる方もありますが、筆者は個別に物件の紹介や推奨はしない主義なので、評価レポートをお届けすれば御縁はそこで終わってしまいます。ご丁寧に「契約しました」とお知らせ下さる方も何割かはあるのですが、その後のことは定かではない方が多いのです。

 

 さて、ご依頼者と濃密な関係ができにくい筆者の仕事ですが、それでも数多くのご依頼・ご相談をお引き受けしていると、何回かのやり取りの結果、感動させてくれる方に遭遇することがあります。

 

 今日は、その中から「成功談」をお送りしたいと思います。

 

●探し疲れの果てに

 ご相談者の中から、「探し疲れ」を感じるときが多い昨今です。何件も何十件も候補物件を見つけ、ひとつずつ潰して行くという作業を続けてきたが、中々良い物件に当たらない。新築志向だったが、候補地には売り出しの気配がないので、中古も探し、内覧まで進んだ物件もあった。しかし、どれも「帯に短し、タスキに長し」で思いとどまり現在に至る。

 

と、このような人は少なくないはずです。ご相談者のX夫人も、そんなお一人でした。

 

  X夫人は、1年ほど前に一度新築マンションを契約し、その後キャンセルした経験をお持ちでした。

 

 そのときの状況を代わって分析すると、「あばたもえくぼ」というと適切ではないかもしれませんが、少なくとも欠点に気付かずに「初めてのモデルルーム見学で一目惚れし、契約まで一気に進んでしまった」のでした。

 

 手付金は捨ててしまったそうです。なぜ止めたかを具体的に書くことはできませんが、冷静になって考えてみると、自分たちにとってふさわしい物件ではないと気付いたということでした。

  その後は、「失敗したくない」の思いが強かったためか、いつまで経っても意中の物件に巡り会えないまま時間ばかりが経過。疲れたので、しばらく休憩しようと考えていたときにご友人から筆者のことを聞いて連絡をくださったという経緯でした。

 お会いしてご希望条件を整理して行くと、夫婦間で望むものが違うことに前に進まない原因でした。

 

 筆者が、夫婦ともに満たさなければならない条件、どちらかが妥協しなければならない条件などを紙に書きながら、筆者なりの助言を伝えて一度目はお別れしたのですが、そこからのX夫人の活躍ぶりは見事でした。

 

 方針が定まったためか、鬼気迫る(X夫人のお言葉)取り組みをしたそうです。つまり、明けても暮れてもパソコンの前に座り、中古物件の探索をしたそうです。

 

 中古マンションは新築と違って、数だけなら余りあるほどあります。無論、これもダメあれもダメとなるわけですが、10日か2週間か、多分そんな程度の短い期間で、二人にとって希望条件を8割くらいは満たす物件を見つけ出したのです。それまでは全く対象外のエリアでした。

  X夫人は、興奮気味に連絡して来られ、筆者の「物件評価サービス」を申し込んだのですが、その後それを契約し、今そこに住まわれています。

  X夫人は仕事を持っているので、暇はさほどなかったはずです。探し疲れもあったわけですが、ご自分を奮い立たせて検索と業者との連絡に当たったに違いありません。しかし、一定の方針のもとに取り組むことができたので、今度はさほど苦にならなかったと後日談の中で感想を述べていらっしゃったのが印象的でした。

  

●衝動買いも非難はできない

 ところで、X夫人のように、一目ぼれして契約してしまったという人は結構あるものです。つい先日も、「完売した物件にたまたまキャンセルが出た、早い者勝ちです」の誘いについ乗って深く考えずに契約してしまったが心配だというご相談者がありました。

 

 こうした衝動買いは、時期によっても変動すると筆者は思っています。今は、皆さん慎重になっているときで少ないのかもしれません。

 

 それはともかく、筆者は衝動買いも悪くないと思っています。勿論、悪質な営業の罠にはまったり、欠陥だらけのマンションでなければという但し書きは付きますが。

 

 衝動買いのメリットはこうです。

①「思い立ったが吉日」の格言どおりの行為は、あまり悩まずにすむので苦労が小さい

②タイミングのよい買物をする結果になりやすい

③早く買えば、それだけ早く幸せ気分に浸れる

 

 ついでに、じっくり考えて買う熟慮型の方はどうでしょうか?

(メリット)

①残り物に福ということもある

②よく考えた結果だから……と、失敗しても後悔しないかも

 

(デメリット)

①あれこれ迷って、結局はよい物を手に入れられない

 ②「下手の考え休むに似たり」の格言どおりの無駄な行為になることもある

③タイミングの悪い買い物をしてしまうことも

(価格や金利が上がってしまい、去年の内に買っておけばよかったなどと後悔する)

④半年前のあの物件が良かったと言っても後の祭り

 

●情報収集をひたすらコツコツ続けるほかない

 マイホームに百点満点はありません。「あちら立てればこちらが立たぬ」が普通のことです。それは分かっていると語る人が大半です。

  しかし、決して理想を求め過ぎていないにも関わらず、決断に至るには妥協の度が大き過ぎるため「多数の物件を前に検討しては止め、考えては止め」を繰り返してしまう人の方がはるかに多いはずです。

 

 マンション探しの道は長い坂のようです。「重い荷物を背負って千里の道を歩むがごとし」の人生訓を持ち出すと大げさ過ぎるかもしれませんが、そのくらいの心の負担に苦しんでしまう買い手は少なくないのです。

 

 ご相談者の経緯をお聞きするたびに、マンション探しは疲れるものと同情を禁じ得ません。

 

 値上がりが急だからでしょうか?いいえ、値上がりが急で早く手を打たないと一生マンションは持てないと感じるくらいなら、むしろ「何でもいいから買ってしまえ」のような心境になるはずです。

 

 理由は、そこではないのです。インターネット」が普及し、簡単に物件を見つけられる時代になったのに、なぜ「疲れ果てる」ほどのエネルギーを要するのでしょうか?

 

 筆者は、インターネットで簡単に情報収集ができてしまうことに原因があるように思います。

  インターネットの時代になる前から、「情報過多」は「情報洪水」となって混乱を招くと言われて来ました。有用な情報とそうでない情報を取捨選択する、あるいは見分ける技能が新たに必要になったのです。

 

 インターネットは、一方で情報の取捨選択を容易にしてくれる反面、使い方を誤ると洪水に飲み込まれてしまう諸刃の剣です。

 

 インターネットは、深いことは分からないが、簡単なことなら短時間で調べられる、実に便利なツールです。しかし、情報は玉石混淆。気を付けないと誤った知識や情報に振り回される人もあるだろうと他人事ながら心配になります。

 

 無論、正しい情報もたくさんあるわけですから、利用しない手はないのですが、それらを整理統合することが苦手な人や、本来は苦手ではないのに、何かが邪魔して整理できないままの人が混乱の渦に巻き込まれるのでしょう。

 

 「気になる物件をインターネットや一般広告で見つけるたびにモデルルーム訪問や内覧に動き、そして最後は止める」の繰り返し。

 

 言わずもがな、物件の公式サイトには「ここが悪い。ここが欠点」とは記載されていません。広告の性格上、都合の悪いことは公表しないからです。面積や駅から何分などという事実は誇張なく告げなければなりませんが、新築マンションの販売においては、「予告広告」と断れば価格を隠して広告することも合法です。

 「良くない物件だけど、見学に来て下さい」という広告はないのです。

  だから、結果的に無駄な時間と労力を、つまりエネルギーを消費させられるというわけです。価格だけではありません。早くから予告広告を流し、期待感を募りながら情報を小出しにして行くという新築マンションの販売の仕方は業界の常道です。

 

「正しい情報とそうでない情報を見分けながら先へ進む」――「言うは易いが行うは難し」です。そうであれば、ひたすらコツコツ情報を集めるほかはありません。また、情報の取捨選択のスキルを磨くために、筆者の提供する「無料・マンション評価」サービスをご利用になるのも一手です。

 

・・・・・・・・今日はここまでです。マンション購入のお悩み・疑問にお答えするサイト・三井健太のマンション相談室では、人気一番の「住んで気づくダメ間取りと名作間取り50選」を進呈中です。

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 筆者は、ご検討中マンションの価値を客観的に評価し、適正価格かどうかの判定を含めてレポートにしてお届けしています。

 

※ご検討住戸の階・間取りタイプ名・専有面積・価格・管理費をお知らせ下さい。中古物件の場合は、物件の掲載WEBサイトのURLをご記入いただくだけで結構です。

 

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