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マン点流!不都合な真実を解説(シニアマンション)



分譲型シニアマンションの特徴は、食堂と医療・介護サービスが付いていること。大浴場が付いている場合もある。

年を取って判断力が衰える前に、あるいはあなたの老親に適切に助言するために、シニアマンションの実態を理解しておいて損はない。

【もくじ】
「住宅すごろく」の上がりはシニアマンション?
食事や医療・介護サービスが継続されないリスク
十数年しか住めないシニアマンション
最初の入居者が出ていった後はどうなるのか?
あわせて読みたい
おまけ


「住宅すごろく」の上がりはシニアマンション?

単身のアパート暮らしから始まり、結婚後の賃貸マンションを経て、分譲マンションを購入。それを転売して最後には郊外に庭付き一戸建て住宅を得て上がりとなるのがこれまでの「住宅すごろく」。
でも最近は平均寿命が大きく伸びたため、そうもいかなくなってきた。

「75歳以上」の人口は、2013年の1,560万人から2025年の2,179万人、12年間で4割増加(619万人)。その後漸増し2055年で2,401万人に達する(次図)。

高齢化の推計と将来推計
団塊世代の「住宅すごろく」の上がり」より

戸建て住宅で「住宅すごろく」の上がりであったはずの団塊の世代の何人かは、潤沢な蓄えを切り崩して「65〜74歳」でシニアマンションに移り、さらに「75歳以上」になると老人ホームで最後を迎えることになるのであろうか。

食事や医療・介護サービスが継続されないリスク

シニアマンションは「賃貸型」と「分譲型」に大別される。
ファミリータイプの新築分譲マンションの販売が厳しい状況のなかで、裕福な団塊世代のフトコロを狙ったシニアマンションに商機を見出そうとする動きが観測される。

刺身や天ぷら、海鮮丼やすき焼きなど、美味しそうな写真が掲載されたシニアマンションの広告をご覧になったことはないだろうか(次図)。

シニアマンションの広告
分譲型のシニアマンションといえど、一般の分譲マンションと同様、管理組合が形成される。
管理業務の一部を委託するにせよ、全部を委託するにせよ、運営の主体はデベローッパーではなく、あくまでも管理組合だ。

食堂の運営は、管理会社に委託せず、管理組合が外部の食堂業者と直接委託契約を締結するのが一般的。

食堂業者は料理長や配膳掛などのスタッフの人件費と利益を居住者用に提供する食費(売上高)だけで賄うことは困難であることから、固定費と一定の利益は管理組合が支払う運営補助金で補助されなければ業務を受託できない状況にあるという(増永久仁郎ほか「分譲型シニアマンションの問題点と対応策 : マネジメント的考察」日本マンション学会誌177-184, 2014)。

また、デベロッパーが提供する資料に記載されている近隣の医療・介護施設との提携は、契約書や覚書は一般的に交わされていないことが多く、管理組合は提携自体の永続性を保証されていないという(同文献)。

このように分譲型のシニアマンションでは、食事や医療・介護サービスは継続されないリスクを抱えている。

十数年しか住めないシニアマンション

あるシニア向けの分譲マンション(1,410万円1K・33.24m2~4,290万円2LDK+DEN・82.23m2)では、分譲マンション購入費のほかに、会員制クラブハウスや会員専用のゴルフやテニスグラウンドなどを利用するためのコミュニティへの入会金50万円と施設利用権利金140万円を払わなければならない。

もちろん、月々の管理費や修繕積立金も必要だ。

ただ、裕福なシニアにとっては、大したカネではないのかもしれない。墓場には大金を持っていけないのだから、健康寿命が続くうちの散財はOKなのだろう。

裕福なシニアを相手にするシニアマンションの販売は、売主にとって、美味しいビジネスだ。

売れてしまえば、住人が介護支援を受けながら住み続けようが、介護施設に移ろうが、売主にとっては関係ないからだ。

購入者は「健康的に自立した生活を送ること」ができなくなると、介護施設に移らなければならない(「比較的重度の介護については、当面は提携先の施設への入所斡旋またはご希望の施設への入所サポートをいたします」と書かれている)。

日本人の健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)は、2013年段階で男性71.19年、女性74.21年(「健康寿命の指標化に関する研究(健康日本21(第二次)等の健康寿命の検討)」より)。

かりに65歳でシニアマンションに入居したとして、健康寿命が尽きるのは男性が約6年後、女性が約9年後。

だからせっかく購入しても、シニアマンションには十数年しか住めないのである。

最初の入居者が出ていった後はどうなるのか?

最初の入居者が出ていったあと(十数年後)、次の入居者はどのような人になるのか?

出て行った親の後に、その子供がシニアマンションに住むとも思えない(子供はすでにどこかに生活の拠点を持っているだろうし、シニアではないからだ)。

では子供が相続して、すぐに転売するのか?

だとすれば転売の都度、中古のシニアマンションの価格は下落していくことになるだろうから(ここは都心の一等地ではないのだ)、どんどんスラム化していくのではないのか。

あわせて読みたい

― 団塊世代の「住宅すごろく」の上がり
― 分譲型シニアマンションは買いか?

おまけ

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