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マン点

マンションアナリスト。11年間で5,000枚のマンション・チラシを“読破”したマンション・チラシ研究家。一級建築士。

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マン点流!不都合な真実を解説(住宅ローン)



日本では全世帯の4割近くが住宅ローンを抱えている。

米国などの先進国では担保を差し出せば借金がチャラになるノンリコース型(借主責任限定型)が主流なのに、日本では担保を処分しても借金が残るリコース型(借主責任遡及型)。

だから無理してローンを組んだ人の行き着く先は自己破産。

住宅ローンの実態と背景を解説しよう。

【もくじ】
全世帯の4割近くが住宅ローンを抱えている
家計に占める住宅ローンの負担割合は約2割
「借りられるから買う」人が増えている
自己破産のうち住宅ローン破産は16%(2014年)
日本の住宅ローンはリコース型(借主責任遡及型)
民主党はマニフェストに「ノンリコース型ローンの普及」を掲げていたのだが

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全世帯の4割近くが住宅ローンを抱えている

総務省の「家計調査」に、全国・二人以上の世帯のうち勤労者世帯で住宅ローンを支払っている世帯の割合が掲載されている。

過去16年間のデータをひも解いて、グラフ化してみた(次図)。
2015年の平均値は37.2%。つまり、全国で4割近い世帯が住宅ローンを抱えているのである。
低収入階層(Ⅰ)が住宅ローンを組んでいる割合は約2割と低い。それ以外の階層は4割前後といったところ。
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※Ⅰ~Ⅴは、年収の低い順番に並べ、5等分してグルーピングした階層。Ⅰが最も年収が低い階層。

家計に占める住宅ローンの負担割合は約2割

「家計調査」には、全国・二人以上の世帯のうち勤労者世帯で住宅ローンを支払っている世帯の「土地家屋借金返済」と「可処分所得」のデータも公開されている。

家計に占める住宅ローンの負担割合(=土地家屋借金返済÷可処分所得)もグラフ化してみた(次図)。

家計に占める住宅ローンの負担割合が2割近辺に張り付いていることがよく分かる。

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気になるのは、ⅠやⅡといった低収入階層ほど住宅ローンの負担割合が高いこと。
背伸びしてローンを組んでいるということはないだろうかーー。

「借りられるから買う」人が増えている

住宅ローンを組む時に、自己資金をいくらぐらい用意しているのか?

リクルート住まいカンパニーが2015年3月22日に発表した「2015年首都圏新築マンション契約者動向調査」のなかに、ローン借入者がどれくらいの自己資金を用意したのかを示す経年データが掲載されているので可視化してみた(次図)。

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2007年以降、自己資金「200万円未満」の割合が2割を超えている。

2015年で自己資金「200万円未満」は21.4%。およそ5人に1人。

史上最低の住宅ローン金利で「借りられるから買う」という人が増えているのである。

自己破産のうち住宅ローン破産は16%(2014年)

住宅ローン破産の実態はどうなっているのか?
残念ながらその数字が分かる統計データは、なかなか見当たらない。
全国銀行協会(全銀協)あたりが各行のデータを集約すれば簡単にまとめられると思うのだが――。

「住宅ローンは現代の小作農だ」というジャーナリストの金子哲雄氏(「持たない」ビジネス 儲けのカラクリ )。

政府も銀行も、小作を惑わすような住宅ローン破産データなど開示したくないということなのであろうか。

やや古いが、日本弁護士連合会のホームページに、「2014年破産事件及び個人再生事件記録調査」(PDF:6.6MB)の結果が掲載されている。
2014年の破産事件1,240件のうち、破産理由(複数回答)を見ると、「生活苦・低所得」が約6割(人数比)で圧倒的に多い。
「住宅購入」による破産は16%。

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日本の住宅ローンはリコース型(借主責任遡及型)

米国などの先進国は担保を差し出せば借金がチャラになるノンリコース型(借主責任限定型)が主流なのに、日本の住宅ローンは担保を処分しても借金が残るリコース型(借主責任遡及型)。

米区では、1930年代の大恐慌下、担保物件競売後の不足額の請求を制限・阻止する「アンチ・ディフィシェンシー・ロー(anti-deficiency law)」が施行され、各州でノンリコース型が実現していった。

日本の場合は、戦後の住宅不足を解決するためには担保価値を考えることよりも建設を促進したい、そのために長期低利の資金を融通すると同時に国民のタンス貯金も動員したのである。

先進国標準のノンリコース型(借主責任限定型)が日本に定着していないことについては、山岡 淳一郎著「狙われるマンション 」(絶版)の「戦後を引きずる『建設金融』」頁121~に詳述されている。

民主党はマニフェストに「ノンリコース型ローンの普及」を掲げていたのだが

2009年の「政権交代選挙」で、民主党のマニフェストには、「環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進する」ための具体策のひとつとして、「ノンリコース型ローンの普及」が掲げられていた。

定期借家制度の普及を推進する。ノンリコース(不遡及)型ローンの普及を促進する。土地の価値のみでなされているリバースモーゲージ(住宅担保賃付)を利用しやすくする。

詳しくは、「民主党マニフェスト、「環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進」」をご参照。

2014年の衆議院選挙で圧勝した自民党が掲げていたのは、「住宅金融支援機構の金利引下げや住宅に関するエコポイント制度の創設等により、良質な住宅取得や住宅投資の活性化」。

2016年の参議院選挙でも自民党は公約に「住宅投資の活性化」を掲げていた(参院選2016、「住」政策に係る各党の公約)。

居住環境を整備するための「住宅金融」というよりも、建設を促進したいがための「建設金融」政策が今も行われているのである。

詳しくは、「住宅ローン 先進国標準のノンリーコース型は日本に定着していない」をご参照。

おまけ

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  1. とはいえ結局、金融機関のリスクを回避するため
    掛け目が下がるor金利が高くなるのは目に見えてる。
    破綻リスクを低く見積もれる「多数派の」消費者にとっては
    借りやすくて低金利のメリットは大きいのでは?

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