モモレジのちょっと得するマンション選び(第8回)

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「ちょっと得するマンション選び」第8回です。

過去3回に渡り、「専有面積と部屋数の適度な関係」について述べたので、いよいよ今回からは「各●LDKごとの適度な面積」を意識しつつ新築分譲時に価格の歪みを感じる方法、ちょっとお得な部屋を見つける方法について言及して行こうと思います。

⇒ モモレジのちょっと得するマンション選び第5回「専有面積と部屋数の適度な関係①」
⇒ モモレジのちょっと得するマンション選び第6回「専有面積と部屋数の適度な関係②」
⇒ モモレジのちょっと得するマンション選び第7回「専有面積と部屋数の適度な関係③」

IMG_7651[1] ※画像に意味はありません。画像がないと寂しいので入れております。
7月下旬に竣工予定のベイズです。入居しちゃうとカーテンを閉めちゃう人がいるのでいち早く写真をとって参りました(笑)
どうです、この圧巻のハイサッシ!
名作マンション新豊洲界隈もいずれ掲載するのでその際にもっと詳しくリポートしますが、ベイズタワー&ガーデンの約2.45mのハイサッシ、これはまさに芸術ですね。

⇒ 【スイングセーバーによる順梁2.45mのサッシ高】ベイズタワー&ガーデン

さてさて、今回は、「専有面積の差により発生する歪み」を以下のケースで説明します。

以下の2つのケースを比べて見て下さい。

【Aマンション】
A1タイプ72㎡5,040万円
A2タイプ70㎡4,900万円

【Bマンション】
B1タイプ74㎡5,180万円
B2タイプ68㎡4,980万円

※全て「同階の3LDK中住戸」、AマンションとBマンションも大差のない立地条件と仮定しています。現実的にはマンションは言うまでもなく「一物一価」ですので同じ階・同じ向きの中住戸とは言え全く同じ条件とは言えないのですが、簡略化するために全く同じ条件とお考え下さい。

さて、過去3回で述べてきた点を加味すると、単純に面積的に適度なB2以外の3部屋が「手堅い」という評価になるわけですが、それに「専有面積の違いによる価格の歪み」の視点を加えることでさらに深い価格分析が可能になります。

マンションを単価で見るクセがついている方は一瞬で分かっているのではないかと思いますが、B2以外は全て坪単価231万円であるのに対して、B2だけは坪単価242万円です。同階の同じ向きの中住戸と仮定しているのになんで10万円以上も差があるの???と思う方もいらっしゃるかと思いますが、こういった歪んだ価格設定がなされている物件は世の中には腐るほどあります。

やはり簡略化のためにAマンションとBマンションには上で挙げた2プランずつしかないと仮定した上で議論しますが、同階でも坪単価にバラツキが生じる原因は「専有面積の差」、つまりは、「価格のグロス差」に他なりません。

AマンションはA1タイプとA2タイプの面積差がBマンションに比べ小さいので、A1タイプとA2タイプの「単価」に差を設けてしまうと広さと価格の逆転減少が起こりえるのですが(A2タイプ70平米をB2と同じ坪単価242万円にすると価格は5,120万円になり、より広い72平米のA1タイプよりも高くなってしまうのでA2タイプを欲しいと思う人は99.99%いません)、その一方で、BマンションのB1タイプとB2タイプは見ての通りB2の方が単価が高いにもかかわらず200万円ものグロス差があり、かつ、予算上限として考慮されることの多い5,000万円以上か以下とに分かれているため、「使い勝手は大して変わらないのに価格が安いB2の方がいいかも」「B2しか予算的に買えない」という人が一定数出てくるのでデベにとってはつけやすい価格設定ということなんですね。

当然ながら、デベは土地を仕入れる際や設計図を描く際にも販売想定価格や主要住戸の面積帯を考慮しますが、販売開始までには1~2年を要するのが普通ですし、上で挙げたような5,000万円を越えるか否か、8,000万円を越えるか否かなどの点が想定通りにいくケースは多いとは言えず、結果的に不本意にも大台を跨がざるを得ないケースも少なくないのです。今のような価格が高止まりの市況からするとBマンションのような価格設定で売りたかったけど、Aマンションのように「同条件の中住戸に面積差をあまり設けていなかった」ケースではAマンションのような価格設定でしか売れないわけで、結果、A2タイプのようなプランが最も手堅い買い物となる可能性が高いということが言えるわけです(物件内で比較的専有面積の狭い価格帯のプランはBマンションのように単価高の価格設定となっていてもおかしくなかったからです)。

これはあくまで一例ではあるのですが、こういったケースはかなり頻繁に見られ、3LDKの中住戸は「70~75平米が手堅い」という前回までの主眼に加え価格面(資産価値)を考慮した場合にはなおさら70平米台前半を選択することが望ましく感じるマンションが少なくありません。
※むろん絶対ではありません。60平米台の3LDKでも70平米超と単価が同じとなっていることも普通にありますし、逆に安くなっていることだってゼロではありません。大切なのはこのような一般的なその時代ごとの傾向を学ぶことでその物件自体の価格設定との特徴をつかむことですね。
そのマンションの立地やパフォーマンス自体に「大きな売り」があるケースなどでは狭小よりのプランでも十分な引き合いがあり、むしろそちらの方がグロスが嵩まない分、リセール上有利になることさえありますし、経験が何よりも重要なのは言うまでもありませんが、これまで述べたような視点でマンションを見ていかないとたくさんのマンションを見ても正しい相場感は養いづらいのかなと。

結局のところ、今回の記事で私が最も伝えたい点を一言で言うならば、「●LDKに適切な専有面積」と「価格設定(坪単価設定)」を吟味しながら経験を積んでいくとちょっとお得なものに出会いやすいですよ、ということになるでしょうか。
「」でくくった2つの要素のうちどちらかだけを考慮するのはとても簡単なのですが、それだけだと結果が裏目に出てしまうこともあるので(いわゆる安かろう悪かろうのようなケース)、ぜひその「2つの要素のバランス」を見つつ物件を吟味していただきたいと思いますね。

前述のように「Aマンション」には「Bマンション」のような単価設定が不可能なわけで、デベは全体を満遍なく売ることができるような価格設定を目指すため、存在するプランや専有面積によって「価格の歪み」と言うべきものが生じることを回避することはほぼ不可能なのです。
そもそもデベの目指すところは「価格の歪み」を排除することでなく「全戸完売、物件全体での目標利益の達成」なのですから。

そして最後になりますが、第4回で書いた通りその歪みは中古市場で大方是正されてしまいます。
新築分譲時には「マンション内で好きな住戸が選びたい放題」、さらに付け加えるならば「全体が満遍なく売れる価格設定となっている」のに対して、中古リセール時には同じマンションにおいては「多くとも数戸の売出物件しかなく」、上のケースで言うとBマンションのケースはAマンションの中古とも比較されることとなるので、B2の坪単価高のような小細工は通用しないことが多いのです。
また、新築検討者に比べ中古検討者の方が経験豊富な方が多いというのも価格が是正されやすい1つの理由となるでしょうか。

さて、今回は「専有面積による価格の歪み」について述べましたが、次回は「部屋数による価格の歪み」をやはり事例を出しつつ説明して行きたいと思います。

こちらもど~ぞ。

物件属性による価格の傾向や価格の歪みを毎日分析し、累計1,850棟4,100室超達成。
相場感を養うために最適(?)な本ブログです(笑)

マンションの間取りや価格を言いたい放題!

ABOUTこの記事をかいた人

「マンションの間取りや価格を言いたい放題!」管理人。利害関係のない第三者的な視点を徹底し、間取りや価格等について毎日記事を更新。これまでに扱った部屋数は6,300室を超える。 不動産業界の人間ではないものの、自己居住用及び投資用としてのマンション購入件数は10室を超えるプチ投資家という顔を持ち、猫とマンションをこよなく愛する。

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