「都心部・臨海地域地下鉄・TX延伸」はできるのか?ちょっと考えてみた

のらえもんのファンっぽい名前のお方からお題をいただきました。

差出人: 妖精マニア

メッセージ本文:
いつも楽しく拝見させていただいております。
昨年、築地の築浅の中古マンションを購入し、ようやく落ち着いたところです。
のらえもんさんの得意分野の湾岸から微妙な位置ですが、築地エリアの市場売却後の展望や、いわゆる晴海フラッグに通じる鉄道整備について、予想いただきたいな、と。
近所にダイワハウスの新築マンションが築地エリアに出来ますが、きっと高いんだろうね、と予想しておりました。

まずは、マンション購入おめでとうございます、築地、素晴らしいところですね!

さて東京都は築地を売却せずに定借で貸すことにしたので「市場売却後の展望」はさておき、築地のマーケットについてはよくわからないので割愛させていただきます。
ご質問の「鉄道整備」について情報をまとめた上に私の予想を考えてみます。

先般、「築地まちづくり方針」の素案が発表されまして、この資料のゾーニング導入の中に「地下鉄の駅前空間」が入っていることから、最近音沙汰がなかった「都心部・臨海地域地下鉄・TX延伸」計画が一気に進むんじゃないかと、いう空気が醸成されています。


築地まちづくり方針(素案)の概要編より

実際、築地再開発は地下鉄とセットだ、みたいな観測気球記事も日経新聞から出されてきています。

築地と豊洲が動かす鉄道「新線」構想
2019/2/8 3:18日本経済新聞
首都圏の鉄道新線構想がにわかに動き出した。横浜市営地下鉄の延伸に続くのはどこか。東京都内では豊洲―住吉(江東区)を結ぶ東京メトロ有楽町線の延伸や羽田空港と都心を結ぶ羽田空港アクセス線で具体的な検討が進む。さらに豊洲へ移転した築地市場の跡地に都心と臨海部を結ぶ新線構想も浮上する。くしくも新旧2つの市場が新線構想を動かしている。
(中略)
「築地再開発は地下鉄の新駅ができて完成形だ」。都幹部は強調する。タワーマンションが林立し、東京五輪の選手村のマンションも建設中の臨海部。人口が急増する半面、ネックは交通網だ。都はバス高速輸送システム(BRT)を計画しているが、膨れ上がる需要を賄うには荷が重い。


(中略)

都は今年度、新線の財源となる基金をまず620億円で設けた。今後は都が半分弱を持つ東京メトロ株の配当金を毎年積み立てる。6つの新線はこの基金を奪い合う関係にあるといえるが、都幹部は「1つだけ先に決めると他との関係が持たない」と頭を悩ませる。

都内の新線レースを勝ち抜くのは有楽町線か羽田空港アクセス線か、それとも別の路線か。「我田引鉄」の駆け引きは事実上の期限となった春に向けて激しさを増す。

おおお、すごい記事。いまにも決まりそう。

結局の所、築地市場跡23へクラールの土地は、現状、鉄道利便性が良いとは言い難い場所にあるんですよね。「築地市場駅」が一番近いものの大江戸線。若干歩いた場所に日比谷線「築地駅」や日比谷線・都営浅草線「東銀座駅」があるもののJRはなし。MICEや高級ホテルなどの外国人相手を入れるとするなら、現状でも都営浅草線東銀座~羽田空港直通ルートはありますが、徒歩10分以上かかることから羽田とのアクセス強化は必要です。

東京駅と羽田空港へアクセスが容易な場所となるなら、築地市場跡地全体も価値が跳ね上がるはず、それが一挙両得の「都心部・臨海地域地下鉄・TX延伸」構想なわけです。5000億円かかっても築地市場跡地が2000億くらい価値が跳ね上がるんなら、やる価値はあります。

それは、わかるのですが・・・上記日経記事を見て分かる通り、都心部・臨海地域地下鉄は先般交通政策審議会が出した6路線の中に入っておらず、更に東京都はどれに肩入れすることもできないので先行きは不透明という結論の記事でした。

そもそも、「晴海フラッグ」とこの新線は全く別のお話なんですよね。舛添前知事は「晴海選手村は交通不便だから地下鉄作らないと」って言ってた記憶ありますけど、駅がそもそもはなれているんですわ。
中央区の「地下鉄新線の整備に向けた検討調査」でも旧選手村へのアクセスについても結構冷淡なんですよ。これはルート選定の関係上致し方なしのところもあります。



新駅は勝どきと晴海の間部分に作ることになっていて、出入り口としては黎明橋公園あたりです。この状態では勝どき駅よりは近いものの依然として「どこの駅からも遠い」という状態で、BRTが本線になりそうな気がします。

もし晴海フラッグのなるべく近くに駅を作ろうとすると大カーブが必要になるんですが、築地再開発地と豊洲市場前のちょうどいい場所にそれぞれ駅を置こうとすると、勝どき・晴海エリアにおける場所って限られてきちゃうんですね。

しかも、TXの秋葉原~東京延伸とつなげるとなると、必然的に大深度地下(40m以上)かその近傍くらいの深度になって結構普段遣いしにくい路線となる可能性も。駅距離+地下への上下移動を考えると、速度が遅くてもBRT使ったほうがぜんぜんマシって話な気がします。

この新路線がもしできるとしたら、最大限の恩恵をうけるのは築地と晴海既存タワマン、そして有明(豊洲市場もだけどここは住民いないし、SKYZ・BAYZから離れすぎてる)で、晴海フラッグの方々にとってはもちろんあったらいいけど、なくてもさほど現実はかわらない、って感じでしょうか。

最後に、僕はこの新線、できると思ってます。でも最速で2040年くらいじゃないですか、日本の開発スピードっていらいらするほど物事が進まないし、築地再開発もなぜかそれくらい時間かけることになってるので総仕上げとしてはありそう。いまこのあたりに住んでいる40歳の人はできた頃には全員退職してそうだけど。

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1 個のコメント

  • 再開発 より:

    りんかい線がJRになる、と言う話もどうなったのでしょうね。

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