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第183回 築40年の美しいマンションを見た!!



このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

 

今年も築40年を超えた古いマンションをいくつか見ましたが、そんな中で40年マンションとはとても思えない奇麗なマンションに遭遇した経験をお話ししようと思います。

 

横浜市栄区(※)のマンション。最寄り駅は大船でした。現地に向かい、あと100メートルくらいに来たとき、あれだなとすぐ分かりました。第一印象は白亜の宮殿でした。

※この部分が間違っておりましたので訂正させていただきました。ご指摘下さった読者に感謝します。ありがとうございました。

外観デザインは古めかしいものではありましたが、真っ白な外壁は昨年塗り替えたばかりとのことで、5階建て50戸ほどの中層マンションは美しく輝いていました。

 

オートロックになっていなかったので勝手にエントランスホールに足を踏み入れたところで管理人さんに呼び止められました。訳を言って見学させてもらいながら話を聞くと、このマンションには愛着を持って長く住んでいて、管理に並々ならない関心を持っている人が多いというのです。

 

関心を持っているのはどんなときに感じたかと尋ねると、「中庭の手入れにうるさいとか、細かい所も手抜きしないで小まめに修理を希望して来ることかな」と答えが返って来ました。

 

そして、見せてくれたのはメールボックスでした。5年くらい前に新品と交換したとかで、確かにデザイン性の高いスマートなタイプが並んでいました。各住戸の玄関ドアも新品に取り換えたそうで、2ロック式の最新型でした。

共用廊下の鉄製の手すりは奇麗に塗装され、床もカラー塗装でした。

 

一番印象に残ったのは、エントランスホールの床でした。大判のタイル張りでしたが、昨年の大規模修繕の際に張り替えたそうです。一部、天然石をあしらっており、高級マンションの趣きとまでは言えないものの、お洒落なデザイン張りで新築と見まがうほど美しいものだったのです。

 

同日の午前中に築40年余の別のマンションを都内で見たばかりだったので、筆者には余計に美しく感じたのかもしれませんが、新鮮に見えたのです。都内のマンションの床は黒ずんでいました。長い間に汚れは落としきれなくなるのでしょう。

 

同時に、このマンションは修繕積立金が潤沢なのだろうと想像したものです。

 

●金をかけるか否か

大規模修繕は、12年~15年に行うべしとされていますが、12年周期の指針(ガイドライン)が国土交通省から出たのは10年ほど前のことです。

それ以前の修理時期(周期)は10年であったり、20年であったり、物件ごとまちまちでした。築40年を超えるような古いマンションの中には、分譲時からこれと言った修繕をしないまま時が経過した例が多数あると言われています。

 

「長期修繕計画」すら存在しない(策定していない)マンションが30%もあると、国土交通省の調査結果に出ていますし、40年間一度も大規模改修をせずに来たマンションも現実にあるというから驚きます。

 

分譲マンションが世に出て以降、共用部の修繕に関して分譲業者も必要であることを承知していましたが、分譲が終われば手を離れてしまうので、深く関わることもあるまいと、売り手責任の姿勢が希薄でした。

筆者の調べでも、黎明期の修繕積立金は管理費の10%、すなわち1000円以下だったのです。最近は管理費の30%~50%に設定し、漸増方式にして築20年過ぎると管理費に並ぶか超える額に設定している例が増えて、大きく様変わりしています。

 

修繕積立金は、修繕箇所と修繕時期、及びその必要額を積算して徴収時期、徴収金額を定めます。そうして貯めた管理組合の財産を改修費として適正に支出し、かつ継続的に貯蓄して資金ショートしないように管理して行くのです。

 

しかし、支出を切り詰め過ぎるのも問題です。重要な修繕はするが、耐震性や耐久性に影響が少ないものは手を入れないということでは建物の見映えが悪くなって、資産価値が低下するからです。

 

重要な修繕とは、雨漏り対策や命の危険が及ぶエレベーターの交換、衛生面では排水管の詰まり予防、水道管の赤さび防止などです。

それ以外、例えば「みてくれ」だけの問題、人間でいうところの「しわやシミ、脱毛、たるみ」などは、手を付けないようにすれば貯金を食いつぶすこともありませんし、多額の貯金も必要としないのです。

 

逆に、貯金にゆとりがあれば命の危険がないような部分、つまり「みてくれ」だけの部分も手を付けようという気運が生まれても不思議ではありません。冒頭で取り上げた大船のマンションは、財政豊かなマンションなのだろうと推測した理由がお分かり頂けると思います。

 

筆者はわけあって、今は一戸建てに住んでいますが、家族みんなが大切に使ってくれているおかげで築年数の割には奇麗です。しかし、最近はさすがに外階段(二世帯住宅なので外からも2階住戸にアクセスできる設計)は錆びて塗装をしないと駄目だなと感じています。

玄関の三和土(たたき)も、掃除を小まめにしてはいるものの、落としきれない汚れが残っているように見えます。「掃除のプロに頼んだら奇麗になるかなあ」などと思案しています。

 

一戸建ては金が惜しいと思えば先送りするか、玄関の三和土なんかは放置しても問題はないはずです。一戸建ての改修は、自分(家族)だけの意思でやるかやらないかを決めればいいのです。

 

マンションは、そういうわけに行きません。合意形成が必須ですし、その前に積立金という財政が問題です。修理の都度、臨時徴収をされるのでは生活設計が狂います。集金ができず、計画は頓挫してしまうことでしょう。

 

管理組合の総会でスムーズに賛成多数の結果を得るには、財政が豊かであることが前提になるはずです。

 

●50歳になっても奇麗でいたい

寿命が延びて、いずれ百歳まで生きる時代が来そうです。50歳で何回目かの買い替え購入に至ったとして、そこから40年くらい住み続けると仮定したとき、新築マンションなら死ぬまで心配は要らないかもしれません。

 

しかし、50歳で築40年の中古マンションを買った場合は、90歳時点で築80年なので、その手前の築60年あたりから住み心地が悪くなり、ストレスの溜まる不快な住まいになってしまうかもしれません。

晩年は、できるだけトラブルに巻き込まれず、気持ちよく平和に暮らしたいものです。

 

だったら、新築マンションか、築浅の中古マンションに住めばいいではないか。そのような考えも浮かんで来ます。しかし、都合よく新築や築浅のマンションが希望地域に見つかるでしょうか?

 

新築の供給は人口減少に伴って減るでしょうから、築浅の中古も対象にしないと見つからない時代が来ることでしょう。そうなったら、みんな「築浅」を狙うので期待する中古マンションも見つからないかもしれません。

 

このようなことに思いを致すと、何年ものの中古を買うにしても、長く快適に住んで行くことができるマンションかどうかに関心を持つことがこれからは避けて通れない気がします。

 

買ったマンションが50歳になり、60歳になっても奇麗であることは気持ちの良いものです。たとえ雨漏りや結露の不快感がなく、安全で機能的な設備機器を装備したマンションであっても、薄汚れた共用部の床・壁・天井、植栽などを見て気持ち良いと感じる人はないでしょう。

 

●奇麗なマンションは売りやすい

長く住むためには、必要最小限の修繕だけでなく、「みてくれ」も大事にしたいものです。そのことは、事情があって売ることになったという場合も好結果を生み出します。

長く住む・永住するつもりだったという人でも、売却の必要が発生するものです。そのとき、二束三文でいいと考える人はいないはずで、手許にできるだけ多くのキャッシュを残したいに違いありません。

 

いくら室内を奇麗に使っても、またリフォームしてもそれだけでは足りません。買い手は、いやでも最初に見るのは外観であり、エントランス周り、次にエレベーター、そして共用廊下なのです。

 

マンション全体も住戸内も、ともに奇麗なマンションは買い手に好印象を与え、購買意欲を高めることに役立ちます。当然、複数の買い手が同時に手を挙げるので、売却価格にも有利に働きます。

 

●奇麗に保ってくれるのは誰?

室内を奇麗にしておくのは、所有者個人の意思・裁量で可能ですが、共用部はそういうわけに行きません。管理組合の構成員の過半数が同じ思いでなければならないのです。

管理会社に任せておけばいいという誤った考えを持っている人もいますが、マンションの価値を守るのは、ほかならぬ所有者一人一人の姿勢・思いです。

 

そうは言っても金のかかることには抵抗が生まれるものです。だからこそ修繕費の積立貯金が潤沢であることが重要なのです。財布から新たに出せと言われると、できない人もありますし、心理的に抵抗感を持つ人もあってスムーズに行かないものですが、組合の貯蓄から余裕で支出できると言われれば話はまとまりやすいと考えます。

 

もちろん、無駄な出費をして良いということではありません。管理会社の言いなりになるのも褒められません。客観的第三者と言われる「管理のコンサルタント」も管理組合を食い物にするということもあるらしいので、外部の専門家と相談する場合も、よくよく見定める必要があるのです。

自分の家は自分で守るしかありません。

 

管理会社をリプレース(交替)して管理費等が安くなったと喜んでいる管理組合もありますが、それが正しいことだったかどうかは分かりません。費用を節約することばかりを考えていると、マンションの資産価値がいつの間にか下落してしまったということは避けたいものです。

 
マンションの管理は、管理会社にまかせっきりにするのではなく、オーナー個人個人が主体的に関わることが重要だと思うのです。
管理に関する専門家の多くが「組合の理事を早く経験した方が良い」と勧めます。

 

大船の40年マンションは、年数の割には高い価格で売り出していました。調査の依頼者は、価格が妥当かを知りたいと言いました。筆者は、「単純には相場の10%高ですが、耐震性の問題を別にすれば妥当と判定できる」と伝えました。

 
マンションを買ったら、「共用部も我が家」と思って強い関心を持ちましょう。管理組合の活動が活発でないマンションは建て物の劣化も早く進むと思いましょう。積極的に組合活動に関わりましょう。
 
うまく行かないマンションには見切りをつけた方が良い場合もあると思いましょう。そして、どこかで売り抜けを考えましょう。
 

質問太郎 様

間違いのご指摘を有難うございました。港南区はあり得ませんね。
筆者のケアレスミスです。気をつけたいと思います。引き続きご愛読を賜りますようお願い申し上げます。
 

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。(http://www.syuppanservice.com

 

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