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第174回 建物は朽ちても土地は腐らない



このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

中古になっても値下がりしにくいマンションはどのようなものかを考えたとき、「立地条件かな」と思う読者は多いことでしょう。

このブログでも折に触れて「マンションの価値は立地で決まる」ことをお伝えして来ましたから、立地条件が大事と理解している人は多いと思います。

 

建物は老朽化しますが、土地は何年経とうと腐るわけではないので、良い土地の上に建つマンションを買えば、その価値は長く高値を維持し続けます。

今日は立地条件の持つ意味を、切り口を変えてお話ししようと思います。

 

●新築を上回る中古マンションは立地が違う

高く売れる中古マンションの条件の第一は、周辺の新築物件にない特長や利点があって、中古であることのマイナスを補って余りある物件です。

例えば、小型物件の多いエリアにおいて、所有マンションが大規模で様々な付加価値を有する物件であれば、その差別感や存在感が新築・中古を問わず特別なものと認定され、高い価格を付けるのです。

 

駅直結マンションであるとか、駅に近い立地は便利なものの雑多な環境である場合が多いですが、例外的に緑多い住宅街の入口にあるとか、或いは隣が大型スーパーである、大規模公園に接している、遮るものがない一面オーシャンビュー、といった格別な立地条件の物件も同様です。

 

これらは、物件固有の条件が周辺の物件と比べて優れていれば、将来価値(リセールバリュー)が高いことを指しています。その固有の条件をもう少し分解して説明しましょう。

 

将来価値を決定する要素は、立地条件利便性と環境。マクロ的な人気度)、②スケール(存在感)、③外観・玄関・空間デザイン、④建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、ブランド、⑥管理体制です。

 

この中で一番比重が高いのは①の立地条件なのです。立地さえ良ければ建物は何でもいいという単純なものではないのですが、大きな要素であることは確かです。逆に、どんなに素晴らしい建物でも立地条件の悪さを補うことはできません

 

また、当該エリアで新築の供給が殆んどないとか、あっても比較対象にならない物件ばかりという場合は、期待以上の価格になることがあります。

例えば、80㎡以上の広さを求めても、新築に70㎡台までの売り物しかないという場合や、駅近の物件を探したが、徒歩10分以上の売り物しかないというとき、80㎡以上の物件所有者、あるいは徒歩5分の物件所有者には有利に働きます。

これらを一言で表すと、「希少価値」ということになります。

 

中古マンションの価格は需給関係で決まります。新築の供給が少なければ、中古が取引の中心になり、上質な中古物件は新築並みの価格になるものです。人気の高い街や駅周辺では、新築の供給が何年も途絶えていたりすると、過去の新築相場を超えてしまう高値の中古マンション取引が生まれます。

また、ある面積帯の物件が稀少という場合、上述のように、その面積帯だけが高い価値をつけることもあります。

 

●立地条件的に希少価値あること

マンションの価値は、立地+建物ですが、建物価値は経年劣化によって価値が低下しなすが、立地において並ぶものがないとき、その価値は何年経ても変わらないと言って過言ではありません。

正確には、建物の劣化分だけが低下するのですが、相場が上がれば、建物劣化分を消してしまいます。つまり、築年数を重ねても値上がりするのです。

 

普通の立地のマンションが経年劣化によって、築20年くらいになれば、その価値を新築と比較すると、東京では平均して70%相当に評価されますが、希少価値の高い立地にあれば80%なり90%なりの評価を受けるわけです。

このようなマンションの中には築30年を超えているにも関わらず、信じられない高値で取り引きされているものがあります。それらはヴィンテージマンションとして「古いけれど価値あるもの」と市場で評価されています。古いだけではヴィンテージと言いませんが、東京の港区、渋谷区、千代田区などに多数存在します。

 

新築との比較と言いましたが、希少価値のある立地条件にあるということは「新築」にはない立地を意味するのです。新築対比80%、90%ではなく、立地で劣る新築と比べれば100%、110%ということもあり得るのです。

建物が劣化した分が低下すると言いましたが、立地で劣る物件より土地の価値が高い分、トータルでは新築より高くなっているというわけです。

 

言葉を換えて、もう一度言いましょう。希少な立地のマンション、その近所、分かりやすく言えば隣地に新築が30年ぶりに供給されることがあれば、その新築は立地条件の良さから高い分譲価格となることでしょうから、その対比で見れば30年中古は60%の価格かもしれません。

 

しかし、そっくり同じような建物ができることはないので、あとからできるマンションより規模や高さで圧倒していれば、その差は接近し、新築対比80%なり90%となって行くのです。

 

新築より高い中古、それはその場所の希少価値そのものです

希少な立地条件にあれば、近辺で誕生する希少と言い難い立地の新築マンションとの価値の差は何年経っても開かないのです。

 

●都心のマンションを調査して気付くこと

青山、麻布、広尾の3エリアで最近調査して分かったことを参考に記します。
①地域内の価格差が2倍くらいある
これらの地域では新築マンションが坪単価で@700万円も@800万円もするが、その物件価値は価格ほどのものでない(筆者の判定)。

同単価の中古を見ると、築20年を超えていたりするのですが、物件価値は新築をはるかに上回っています。スケール、共用部の広さや豪華さ、仕上げ材の高級感などで凌駕しているのです。

特に、敷地が広い中古物件の場合はランドスケープ(配棟計画)がまるで違います。建物は維持管理が良く、豊富な植栽の手入れも行き届いているらしく、それが建物を包み込むように生い茂っています。目に優しいだけでなく、少しくらい外壁が汚れていても気にならないレベルにあります

築30年も経っているのに、@500万円、@600万円、ときに@800万円を超える取引事例にも遭遇します。

 

反対に、評価が低い物件は青山、麻布、広尾アドレスであっても、立地条件が良いとは言えないのです。最寄り駅から遠いだけでなく、首都高速の際であったり、窪地(谷地・低地)であったりします

価格は築10年か15年なのに、@400万円、@500万円、ときに@300万円台も出ています。

 

ここで具体の物件名を出すわけには行きませんが、同じ青山アドレスでも、あるいは同じ外苑前を最寄りとする物件でも、こんなに差がつくのかと驚くほどです。

 

大抵、低評価の物件は新築時のプランニングからして良くないものです。デベロッパーの企画者は「立地の良し悪し」が売れ行きに大きく影響することを経験値として持っていて、価格を安くしようとします。そのために、そのアドレスにふさわしくないレベルの低い「普通」か「普通以下」のマンションが誕生しています。安ければ、建物が少し低級でも、場所が高速道路沿いでも谷でも売れると踏んでいるからです。

 

結果的に、安ければ何とか売れてしまいます。青山・麻布・広尾アドレスが欲しい買い手は少なくないからです。

 

●超高級地以外の場合は価格差が小さい

東京の中には、港区や渋谷区、千代田区以外にも人気のエリアが多数あります。一般勤労者の手が届く街の話です。区別で言えば、文京区、中央区、目黒区、世田谷区、品川区、杉並区などの一角です。先の3区の中でも、比較的安いエリアは存在します。

 

上記の区域で調べていると、駅別に見たとき、価格差が2倍も開かないことが分かります。物件固有の条件は、階数や方位、間取の良し悪し、付加価値の差などが挙げられますが、これらの差異によって当然価格差ができるのですが、同年数の中古マンションの価格は坪単価で@300万円から高くても@400万円と、その差は@100万円に過ぎません。

最寄り駅までの差は、1分から13分くらいまでの幅がありますが、環境は似たり寄ったりで、駅から遠い方が高値のこともあります。遠い物件でも、最上階の角部屋であったり、眺望が良かったりで、駅5分以内の2階住戸で前面に隣接ビルの壁が見えたりする物件よりトータル価値で上回るからです。

つまり、駅から近いことはアドバンテージに違いないけれども、その他の条件が悪ければ足を引っ張ることもあるということが分かります。

 

都心は、交通が発達しており、多少駅から遠くても、絶対距離でオフィス街に近いこと、バス路線も豊富で利用価値が高いことなどから苦にならないと考える人も多いようです。

 
「立地条件が良い」という意味は、駅に近いだけを指しているわけではなく、環境と眺望価値が加わるのです。
 

●立地条件の良し悪しを測る基準

立地条件が良いとか悪いとかは、どのような基準によるのかをもう一度整理しておきましょう。

 

ひとつは、居住者の生活圏(通勤や通学)によって立地条件の良し悪しが判定されるという「個人的な尺度」があると考えられます。通勤・通学の他では、「実家が近い」が典型的な個人差です。

二つ目は、普遍的な意味、言い換えれば「大多数の人が考える基準」があります。大多数の人が良い立地と見るマンションは、言い換えれば人気の場所ということになり、需要ボリュームも多いことを意味します。

交通便、買い物等の生活便、環境の良し悪し、治安など「居住快適性」と、豪雨や地震・津波など「自然災害への抵抗力」などを含めて人気の高い街とそうでもない街というランクが存在します。

恵比寿、吉祥寺、三鷹、横浜、自由が丘、武蔵小杉、二子玉川、広尾、中目黒、代官山、神楽坂といった街は、新聞・雑誌によく登場する「住みたい街ランキング」で上位に来る街として知られています。

 

人気がある街はマンション需要が多いことを意味し、需要が多ければ価格も上がる。ごく自然なことです。人気の高さを分析すると、以下のようになると考えられます。

<マクロ的に>

①郊外よりは都心の街・駅が望ましい。 郊外でも横浜、大宮、八王子、立川、千葉といった比較的人口・経済規模の大きな都市も地元ニーズの多さに支えられ、比較的高い評価につながる。

 

②都心へ直結の幹線鉄道が望ましい:都心へ直接アクセスできる鉄道のこと。中央線・総武線などJR各線、新宿・渋谷などを起点とする私鉄の各線が良いのです。枝分れする路線・支線は避けたいもの。

 

③各駅停車より急行停車駅が望ましい:移動時間が短く便利である方を好む人は多い。

 

④駅力(えきりょく)の高い駅・街が望ましい:駅を中心に買い物施設、エンターテイメント施設、個性的で多種多様なレストランやお洒落なカフェなどが豊富に出店していて、賑わいのある街、ただし風俗店はないことが望ましい。住みたい街・住んでみたい街ランキングに登場するような人気の街が該当する

 

<ミクロでは>

①駅からの距離は徒歩5分以内が目安。傘なしで玄関まで到達できる駅直結が最上位。ただし、駅に近い場合、電車騒音、高層ビルの密集による開放感の欠如、日当たりの悪さなどがマイナス評価となることもあるので注意を要する。

現状は問題なくても、隣地が比較的規模の大きな駐車場であったりすると、近い将来高層建物が建つ可能性がある。その可能性が一目で分かるような立地は評価ダウンとなる。

②駅から徒歩10分は超えないことが重要であるが、稀に10分超でも許容できるとしたら、遠さを補って余りある長所を有する場合です。

例えば、アプローチが(理想はアーケード付きの)活気ある商店通りであることや、街路樹が整備された美しいシンボル的な通りであること、または到着したマンションの前が樹木の生い茂る大規模な公園になっているとかオーシャンビュー・リバービューが圧巻である、大規模なショッピングモールに隣接するといった場合に限られます。

緑豊かで閑静な住宅街の中という立地条件にあれば、言うまでもなく利点・長所となる。駅からの近さ閑静な住宅街とは両立しないことが多いが、上記のような圧巻のアプローチや眺望条件などを持たない場合、「優先されるのは駅近」の方になるのです。

③アプローチ道路は、車道より一段高くなった歩道付きが望ましいが、次がガードレール付き。白線のみの歩道は評価ダウンとなる。

④買い物便・・・大型スーパー、ホームセンターなどのほか、専門店が揃っていることが望ましい

➄学校・・・小学校までの距離が近いこと、通学路に危険な道がないかどうかがキーポイントになる。郊外のマンションによく見られるのは、小学校まで子供の足で30分もかかるという物件。広告表示は大人の足で〇〇分とあるので注意したい。

➅高台か低地かも重要な評価要素・・・言うまでもなく高台が高評価となるが、その代わり坂道を上り下りしなければならないので、程度問題ではある。

 

●理想的な物件はないのでマンション選びは難しい

マンションの価値は立地で決まると言いながら、他の要素も無視はできない。筆者は、そう述べて来ました。

駅に近いだけでもダメだが、10分は遠い。たとえ付加価値の高い大型マンションでも遠いのはダメな場合もある。

駅に近くないが、環境が抜群の街、富裕層が多数住む街ゆえに高いリセールバリューを維持している街がある。

小規模で共用部も広くて豪華とは言い難い建物だが、駅に近くて目の前が小公園であるうえ、最上階の住戸で間取りがとても良いため、安くはなかったが買い手がたちまち決まったという事例もある。

 
こうした例を挙げるとキリがないのですが、駅に近くて建物も立派な物件を100とするなら、駅にやや遠くて建物が立派な物件は80、駅に遠くて建物もありきたりなら70、駅に遠いが眺望抜群で建物も立派なら85、建物は普通だが駅に近い物件は90などと評点は付くのです。
しかし、「立派」とか「環境抜群」といった抽象表現にはもうひとつ分かりにくさがあります。
ここに住戸価値、眺望価値、建物全体のグレード感、ブランド価値などが絡むので、連立方程式を解くより難しいのです。

マンション選びは何と難しいのでしょう。そう感じる人は多いかもしれません。

 

●立地条件は永遠の価値

建物は経年劣化します。維持管理が素晴らしいとしても、何十年も経過すれば人間と同じでシワやシミを隠すことはできません。

新築時から高経年を感じさせない設計は可能ですが、そのためにはそれなりの材料を用いることが必要になります。普通のマンションはやがて陳腐化するのです。それを40年、50年と長く価値を維持することはできますが、その先には限界が来ます。

 

そんな中、東京が縮小し荒廃しない限り、土地の価値は永遠なので、建物のバリューダウンを補って余りあることになります。
立地条件の格別な物件は購入時に高いとしても、長い目で見たとき、バリューダウンが少ないので、結局お得になるのです。
 

●現実の検討マンションは?

立地条件はとても重要だということは分かっているが、予算があってのマンション選びなので、広さや日当たりや、個人的事情に鑑みながら選んだマンションが、トータル評価でいかほどのものか、それが10年先20年先のリセールバリューとしてどうなのかを考えてみたとき、その答えはとても出しにくいというのが買い手の本音のように思います。

よく勉強している人でも、判断を惑わすのは、インターネットの評判であり、担当営業マンの強い主張なのかもしれません。ときには、買い手自身の目にバイアスがかかっていたり、前のめりになり過ぎて「痘痕もえくぼ」状態になっているからかもしれません。

 

ともあれ、連立方程式を解くのが難しいときは筆者を大いに活用していただきたい、そう思っています。時間的な制約はあるものの、可能な限りお役に立ちたいと年中無休の作業に勤しんでいます。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。(http://www.syuppanservice.com

 


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