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第170回 「あちら立てればこちらが立たぬ」の中で



このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

どんなマンションにも長所があれば短所もあるものです。枝葉末節の短所は無視していいのですが、無視してよい短所なのかどうか、何が優先すべき条件なのか、判断に悩むことも少なくないようです。

今日は、「無視できない短所と無視して良い短所」、そんなお話をしたいと思いますが、ケーススタディ式に進めます。筆者のご相談経験には数えきれないほど様々なケースがありましたが、その中から代表的なものをピックアップして解説しようと思います。

尚、物件を特定できないよう、場所を曖昧に、数字は加工してています。

 

*ケースA (世田谷区の閑静な住宅街にある中古マンション)

(長所):緑濃い静かな住宅街・ワイドスパンの良い間取り・しかも東南の角住戸・設備仕様は上級

(短所):小さな各駅停車の駅が最寄りで、駅周辺のショップは少ない・最寄り駅まで徒歩12分・規模が22戸と小さいので管理人がいない巡回方式・築20年のため、修繕積立金が高い

・・・・・価格次第でもあるのですが、これは見送った方がよい物件と思われます。基本的に、マンションの価値は立地条件でほぼ決まってしまうからです。徒歩12分なら妥協しても良い場合がありますが、駅から遠い代わりに環境が抜群であるとか、駅から遠い代わりにマンションの隣に大型スーパーがあるといった弱点を補う要素がない場合は、できるだけ避けた方が良いのです。

弱点を補う要素として抜群の環境とは、駅からの長いアプローチの大半が商店街ロードであるとか、幅広で街路樹が美しい歩道が続くとか、現地に着くと今度は感動的な眺望、例えば横浜の港の見える丘公園のような高台にあってオーシャンビューが圧巻であるとか、緑豊かな大公園の最前列に建ち「まるで森の中のマンションといって過言ではないほどの自然林や公園に接する」といった環境の良さが必須です。このくらいのインパクトある代替条件がなければ、駅近マンションに優ることはないのです。建物価値が格別な物件でも立地の弱さを補えることは稀にありますが、本物件は建物価値も普通以下ですから、見送るべきと考えます。

 

*ケースB (騒音問題のある立地)

(長所):新築・都心の駅から徒歩7分と近い・〇〇公園に面して眺望の良い最上階の14階住戸

(短所):西向きである。玄関側(東向き外廊下)は交通量の多い道に面する・間取りも良くない・価格も高い気がする

・・・・・エレベーターで10階に上がると「ごー」という音に驚きませんか?それを快適と感じる人はないでしょう。景色は5分見たら飽きると言います。売却時に見学者が騒音を気にしつつも眺望の良さに感動して買ってくれるかもしれませんが、微妙なところです。建物が完成してから実際の音を確認した方がいいでしょう。価格も高いので、きっと売れ残っているでしょうから、飛びつくことは避けた方がいいですね。駅に2~3分なら、そのプラスが騒音の弱点を消してくれるのですが。

 

*ケースC (都心の新築タワーマンション)

(長所):30階建て300戸のタワーマンションの27階・眺望がすばらしい・内廊下型でエントランスホールなどの共用部に高級感が見られる・駅から3分

(短所):建物完成まで約2年もの時間を要する・室内のスペックは物足りない・価格も高い気がする・高速道路に面しているので二重サッシの窓が気になる

・・・・・27階でも窓を開ければ道路騒音は聞こえてきますが、さほど大きくないはずです。普段は窓を閉めて暮らすでしょうし、不快感は全くないと思います。駅3分で、300戸のタワーマンション。価格が高いとは思いません。室内のスペックは確かにグレード感でもうひとつですが、ほぼフル装備なので、問題はないでしょう。欲を言えばキリはありません。

 

*ケースD (山手線の駅から徒歩5分の中古マンション)

(長所):山手線代々木駅から徒歩6分未満・大きな駅力・2LDKだが東南の角部屋で間取りが良い・価格が安くはない感じがするもののリノベーション済みの築28年・14階建て・管理人は午前中のみで週6日勤務

(短所):雑多な印象の街で派手な看板が目立つ飲食店ビルが多数見える・交通量の多い道路に面する・14階建てだがワンルーム混在のプラン構成・45戸と規模が小さい

・・・・・駅に近い物件は、環境が悪いこともよくあるのですが、道路騒音もある本物件は気持ちよく暮らせるかどうかが問題です。リノベーション物件は、内装に関しては新築と変わらないので、そこに目を奪われて他が見えなくなることに注意しなければなりません。マンション全体の印象はワンフロアに3~4戸のペンシルビルです。隣接のビルとマンションに挟まれて存在感が薄いですね。ズバリ、格好の良いマンションではありません。エントランスも狭く、高級そうにも見えません。賃貸住戸も多そうですし、価格も安くはないので、避けた方がよいでしょう。

 

*ケースE (ブランド地のひとつに建つ新築マンション)

(長所):目黒区の有名な高級住宅街・高台・スーパーも徒歩3分以内にある・重厚感のある5階建てマンション。24戸と少ない戸数が気に入った・準大手が売主・内廊下型・西南の角の3階で間取りが気に入った・売れ残った最後の1戸で5%の値引き提案があった

(短所):駅から徒歩12分・管理費がとても高いのが気になる・ブランド価値はどうなのか

・・・・・坂道を12分も歩くことに抵抗はなかったでしょうか?しかし、最寄りの駅ではなく、隣の駅からマンションの裏手1分の所を通るバスがあるはずですから、これを利用するのが現実的な暮らし方になるでしょう。この駅、このアドレスにはマンションが昔から少なく、古い物件でも結構な価格で取引が成立しています。小ぶりなマンションですが、建物デザインに高級感と品の良さを感じる印象です。問題は価格だけです。〇〇〇万円の値引きをしてくれるということですが、最後の1戸というなら、あと〇〇〇万円の上積みを要求してみましょう。

管理費が高いのは戸数が少ないので仕方ない部分ですが、管理費を抑えるために巡回管理にする策を採らなかったのは好感を持てますね。毎月の単価は首都圏平均より130円/㎡高なので、77㎡住戸は毎月1万円の負担増と言えます。年間12万円、10年で120万円です。リセールバリューに期待できる物件であれば、このくらいは問題になりません。このクラスの物件を選択する階層にとって負担感は大きないので、管理費がネックで売りづらいこともないのです。

 

*ケースF (人気の吉祥寺駅の徒歩圏マンション)

(長所)住みたい街のトップ常連の吉祥寺駅圏の徒歩圏マンション・14階建てで80戸の堂々たる外観・南向き・築18年。売りに出るのを待っていた物件

(短所)徒歩圏とはいえ8分かかる・2階なので前面の一戸建てが気になる・ハウスクリーニングをしてあるとはいえ、設備は汚れが目立つ

・・・・・吉祥寺の徒歩圏マンションは確かに値打ちがあります。売り物も少なく、たまに出てもビルとビルの谷間のような物件か、コンパクトタイプで間取りが悪い、古過ぎるといったものばかりと言って過言ではありません。吉祥寺駅なら8分は贅沢な部類といって良いでしょう。希少価値がなにしろ高いのです。前面の一戸建ては景観的に良いとは言えませんが、その離隔距離なら許容範囲、つまり妥協してもいいのではないかと思います。

 

*ケースG (山手線「田町駅」から徒歩10分の中古)

(長所)港区海岸アドレス。徒歩11分のタワーマンション・築4年と比較的新しい・1LDKの単身者用マンション・大手業者の分譲・エントランスが豪華・内廊下

(短所)眺望が良くない3階住戸・前面道路も交通量が多い「旧・海岸通り」・築浅のためか高い感じがする

・・・・・タワーマンションに住んでみたい人もあるので、買い手がつかないことはありませんが、3階で海岸通りに面するということはトラックを眺めて暮らすようなものです。また、玄関周りは立派ですが、ラウンジがあるだけで他に共用施設はなく、付加価値は少ないですね。何より、駅から徒歩11分はネックになるでしょう。山手線の駅なら徒歩11分でも問題ないものですが、本物件は交通騒音が足を引っ張る格好です。10階以上なら眺望も良く弱点は緩和されるのですが、3階は辞めた方がよさそうです。

 

*ケースH (子育て世帯に向きそうな1階の売れ残りマンション:新築)

(長所)1階住戸。7800万円の新築マンションを7000万円まで下げてくれる。間取りは変形の寝室もあるが2LDK60㎡強あるので満足している・設備仕様も上級。天井も2600ミリと高い・テラスが広いので子供が安全に過ごせる

(短所)半地下住戸である・10か月前に竣工して売れ残っているのが気になる・20戸台の小規模マンション・売主が無名

・・・・・これはパスした方が良いマンションの代表です。10%も下げるという決断は、それだけ割高と悟ったからです。室内のスペックがいくら良くても、マンションの価値を決するのは立地条件、次にマンション全体の格です。そこが優先されなければなりません。

立地は「普通」ですが、建物全体の価値、例えば外観デザインやエントランス周りの見映えや質感などですが、この売主には経験不足から室内の設備を高級にするくらいしか工夫がなかったのでしょう。どう見ても、平均7500万円のマンションではありません。子供が元気で階下の住人に迷惑をかける心配から1階を選ぶつもりかもしれませんが、半地下住戸を好む人はいません。豪雨のとき冠水の心配はないかとか、防犯は大丈夫かといった懸念から敬遠する人が多いのです。

尚、別のマンションを検討するときも、できるだけ1階は避けた方がいいでしょう。子供は成長が早いので、一時期は迷惑をかけるかもしれませんが、じきに収まってしまうのです。必ず聞き分けがよくなります。入居と同時に上下、両隣に挨拶をしておくことがトラブル予防策です。

 

*ケースK (浦和駅徒歩圏の新築マンション)

(長所)駅に6分と近い。大手ブランドマンション・90戸14階建て。間取りは一般的な田の字型だが悪くない・設備もレベルは高い・学校区が良い点に強く惹かれる

(短所)周囲に同タイプ・同規模のマンションが密集しているので眺望が良くない

・・・・・類似のマンションが多いので、「競争力」という観点で比較対照してみましょう。新築だけでなく、築年数で5年くらいまでがリセールの際にすべてライバルになると考えましょう。ブランド、デザイン、規模など似たような物件が多いので、あとは角住戸であるとか、間取りが傑出しているとか、眺望が良い階の住戸だとか、はたまた駅に最も近い物件、線路沿いでない物件といった細部の比較が大事です。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞhttp://www.syuppanservice.com

 

 

 

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