第161回 「行き着く先は“先もの”物件」という青い鳥症候群

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このブログは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論を展開しております。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

良い物件はないかと毎日WEBサイトをチェックします。ヤフーだったり、SUUMOだったり、はたまたデベロッパーのHPだったり、駅のフリーペーパースタンドにある週間誌「SUUMO」に目を通したり、宅配新聞を購読している人は折り込みチラシを見たりします。

しかし、何度見ても同じ物件しかないと感じため息を漏らしたりします。

 

筆者の場合は、自分が買うわけではないので、別の目的ですが、週刊誌のSUUMOには毎週全ページ目を通します。そして、「今週も同じだ」と感じたり、ときどき「新しい物件」に気付き「良い場所だ・駅から遠いなあ」「規模が小さい・大きい」、「間取りがいい・悪い」、「高そうだ・安いが郊外ならこんなものか」などと一人ごとをつぶやきます。

しばらく見なかった物件に気付き「だ売れ残っていたか」とか記憶にない物件を発見して「こんな物件があったのか」などと思ったりもします。

全ページに目を通すと言っても、筆者の場合、広告として掲載された2ページ以上の見開き物件だけしか見ていませんが、分厚い時を知っているだけに、最近のSUUUMOの薄さにはなぜか寂しい気分にさせられます。

 

これに対し、買い手の皆さんは、通勤圏内の希望地域で良さそうな物件はないかと探すはずで、週刊誌よりWEBサイトが中心かと思いますが、WEBサイトでは物件数だけは多数ありそうに見えます。

ところが、詳細に踏み込むと予算オーバーであったり、間取りが悪かったりします。駅からの距離を見てダメの烙印を押したり、既に見学済み物件なので候補から外したりして行くと、残るのは「予告広告」で価格が不明の物件だけとなります。

 

それも、資料を取り寄せたり現地訪問したりして予定価格を知る段階に至ると、希望する部屋は買えないことが分かり、やがて候補から外れて行きます。

 

平行して別の候補を探す努力を続けます。しかし、何度見ても「いつも同じ」と感じます。そのうち、ポータルサイトから探すのに飽きて、デベロッパーのHPを覗くことにします。すると、「○○プロジェクト始動」とか「○○駅徒歩5分に用地取得済み」といったニュースに気付き、ブックマークします。さらに、友の会会員募集に応募して資料の到着を待ちます。期待に胸が膨らみます。

 

しかし、やがて候補物件にはならないと知って落胆します。候補に入れて良さそうな価格の物件とも出会いますが、モデルルームを見て期待外れの内装もさることながら、環境が良くないので検討外の結論がたちまち出てしまいます。

 

忘れた頃に、価格が高いので候補として外した物件の担当営業マンから「キャンペーン」の案内が届きました。「モデルルーム特別分譲」とあり、お得らしいと感じたので、予約を入れ再度の訪問となりました。案の定、今月中に契約してくれれば表示価格からさらに500万円値引きするというのです。しかし、売れ残りの1階住戸では魅力を覚えず、無駄足だったと落胆します。

 

新築マンションから中古マンションへ対象を移し、SUUMOやアットホーム、ホームズなどのポータルサイトで検索してみると、予算に合う物件は何百件と出て来る、条件を絞っても50件もある。間取りも良いし、大手分譲なので品質も期待できる、場所も大体だが悪くない感じがする。このような物件が二つ、三つと見つかります。

 

早速、連絡先にメールを送り「内見の希望」を伝え、次週の日曜に見学に行くこととなりました。見学の結果「管理状態も良いし、悪くはない物件だけど、古いなあ」と感じてがっかりし、営業マンから「こんな物件は滅多に出ませんよ」と勧められるが、もうひとつ気が乗らないので断ってしまいます。

 

次の物件は大規模で存在感があり、エントランスホールなどの共用部も豪華で一目惚れしました。対象住戸も眺望、間取り、設備とも悪くない。少しリフォームが必要になりそうに思ったが、担当者の説明では100万円もかからないというので、予算的にも大丈夫と思いました。

ところが、オフィスに連れて行かれ、住宅ローンの計算や登記料その他の諸経費を出してもらったところで、「問題なければ申し込みしてくれ」と言われて困惑します。

そんな急には結論が出せないと断ると、「中古マンションは先着順なので、早めに結論を下さい」の声だけが響きます。結局、他の客に取られたという連絡が来て話は流れてしまいました。

中古マンションは難しいなと感じます。新築マンションなら、担当営業マンが「1週間お待ちします。来週もう一度お越しいただいて課題を解決しましょう」などと言ってくれます。1週間の中で、購入を決断するための問題点を買い手なりに整理して次回の商談(訪問)に臨むことができます。

それに対し、中古マンションは複数の仲介業者が競って販売するので、「売れ違い御免」になるのです。売主が買い手を選ぶということもあるらしく、下手に指値を入れると売ってくれないとも聞きます。

 

新築マンションのモデルルームは常設の展示場のようなもので、何度も訪問できますが、中古は現品販売であり、売主が居住中ということもあって長い時間の見学は遠慮しがちです。何度も訪問することも難しい。これも壁になっている気がします。

 

このような経過で、意中のマンションに辿り着かないまま半年以上の時間が経過します。中には2年も経って見つからない、疲れたので休止中などという人も珍しくありません。

 

「中々ないなあ」と思いながら、今日もマンション探しの旅を続けている人が最後に辿り着くのは「先もの」情報です。各地で進む「再開発計画」は、早くからインターネットの複数のサイトに現れます。

 

例えば、「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業」や「春日・後楽園駅前地区第一種市街地再 開発事業」などは、業界紙・建設新聞のサイトやデベロッパーのHP、各種ブログに紹介されています。これらのサイトから場所や開発地域内のマンションの高さや戸数などが判明します。再開発は概ね駅に近い密集地を束ねて行われるので、利便性に関しては非常に魅力的です。

再開発によって街は整備され、景観は美しく便利で魅力的な街に変貌します。その結果、資産価値も高くなりそうだと期待が大きく膨らみます。

間取りや設備などの詳細は不明ですが、真っ先に知りたいのは発売時期です。2年先の着工で50階建てなどとあれば、入居できるのは5年後です。5年後ではダメだと候補から外す人も多いでしょうが、入居時期は問題だが魅力的なので、是非検討したいと思う人も多いのです。

 

しかし、ここで大事なことは、遠い道のりを歩いて来た揚げ句、ようやく理想のマンションに辿り着いたと思わないことです。何故なら、肝心の価格がとんでもないレベルになってしまう可能性が高いからです。

 

先物を追うのは、「青い鳥症候群」というべき危険な道を行くに等しい行動です。

「青い鳥症候群に罹患した人は、理想と現実とのギャップに不満を感じるあまり、理想を求めて次々に新しいものを手に入れようとすること」、「童話で、主人公のチルチルとミチルが幸せの象徴である青い鳥を探しに行くが、意外と幸せの青い鳥は身近にあることに気付かされる」という意味であることは広く知られていますが、マンション探しでも同様の状態(病気)に陥っている人は少なくありません。

 

もう一度、原点に帰って考えてみましょう。「理想を追い過ぎていないか・ないものねだりをしていないか」、「自分は何が足りないのか」と。

また、「買っている人たちはどのようにして見つけたのか」、「迷った点・悩んだ問題をどのようにして解決したのか」そんなことにも思いを馳せてみましょう。

 

そこから答えが見つかるかもしれません。

 

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

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