第151回 マンション探しで迷ったときの整理術

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このブログは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論を展開しております。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

東京圏の一部エリアでは、物件固有の条件によるとはいうものの、10年経っても値下がりしないどころか、値上がりしているマンションもあるのは確かですが、本来、建物は完成したときから老朽化が始まるのですから、経過年数によって価値が下がるのは当たり前と言えます。

 

同じ中古マンションでも、値上がりするマンションと値下がりするマンション。この差は、どこから来るものでしょうか?

 

それは、需要の多寡によって生まれる結果です。東京の人気住宅地では、マンション開発が難しく、新築マンションは滅多に販売されません。いきおい、そこに住みたい人は中古へ向かうしかないわけです。その結果、人気住宅地の中古マンションは値下がりしにくいという傾向が現われます。

 

首都圏でも10年で新築時の半分に下がってしまった極端な例が少なからずあります。これは、その地域における需要と供給の関係が大きいのですが、それだけでもありません。

その地域の中でも条件が特に良くない物件だからです。何がよくないかを一言でくくることはできませんが、物件固有の条件によることだけは確かです。

 

需要の少ないエリアでは中古価格は下がりやすく、需要の高いエリアであっても、固有の条件によっては、やはり下がります。

 

どのような地域にせよ、少しでも高く売れそうな物件を選びたいものです。

とはいえ、条件が全部揃うマンションは中々ないものです。従って、あちら立てればこちらが立たずと悩み・迷う買い手さんは少なくありません

 

そこで、優先順位を設けて後順位の枝葉末節部分は切り捨てるような選択態度が望まれます。それでも簡単ではない現実があるようです。次のようなご相談事例が最近ありました。

 

駅に近いことを優先するべきであることは分かるが、駅近物件には満足できるものがないと悩んでいる。そんなとき、駅から少々遠いこと(徒歩12分)を除けば満足度の高い物件を発見。駅近を優先順位のトップに掲げて探して来たが、それを捨てても購入したい。だが、20年くらい住んだら売却するか賃貸する予定なので判断に迷う。あまり高くは売れそうにないし、賃貸するにしても家賃は高く取れないと思う。環境も建物の内容もいいのだが、どうしたものか」と。

 

●将来の売却価格が下がること必至という場合の考え方

このような場合、次のように考えを整理してみることをお勧めしたいと思います。

一例としてご紹介します

 

◆売却や賃貸は、20年以上も先のこと。そこまで予想するのは本来難しいことである

◆住まいは何のためにあるのか?日々の暮らしを豊かに送るための基盤ではないのか。駅から遠いという問題はあっても、さほど苦にならない程度なら、そちらを選択すべきではないのか。

◆20年後に売却するとき、値下がりは間違いないだろう。でも、下がり方が極端でなければいい。その許容範囲は、どのくらいだろうか。単純に損得だけで判断してみよう。20年マンションの価格は今、いくらかを調べてみたら大まかな予想はできるかもしれない

◆20年後に購入価格の半分になったとする。しかし、住宅ローンは半分以上返済が進んでいるので、銀行の精算をしても手残りがある。少なくとも頭金以上の金額が残るはずだ。それなら損はない。仮に、売却せず賃貸したら、駅前物件ほど高くは貸せないが、ローン返済に充当できるくらいの額は取れそうだ。とすると、最終的にはローンなしの物件が残る。そのときに売れば、更に売り値が安くなっても手残りは大きいはず。

◆仮に4000万円の借り入れをした場合、20年後に残金はいくらになっているかの試算をしてみると、35年返済、固定金利1.2%の固定金利の場合、残債は1920万円と出た。頭金500万円で4500万円のマンションを購入した場合、20年後に半値の2250万円になってしまったら、これを精算すると手残りは僅か330万円だ。頭金500万円や初期投資の各種費用もあるので、半分も戻らない計算になる。つまらないなあ。ポイントは値下がり率の想定にありそうだ。

◆毎月の返済額11万6000円と管理費等を合計した金額は約15万円だから、これでは、賃貸マンションに住んだ場合と負担は変わらない。とするなら、賃貸マンションの方が良いかも。本当にそうなったら、きっと暗澹たる気持ちになることだろう。しかし、そのままローンが終わるまで保有したときは、半値をさらに下回るとしても1500万円くらいにはなりそうなことに希望が持てる。

◆それに、大家さんに気兼ねして住む借家とマイホームでは満足感はまるで違うではないか

 

●住まいはどうあるべきかの原点を整理しておきましょう。

人間には欲が付きものですから、居住性も高く、且つ将来の資産価値も高い物件を望みがちです。しかしながら、それには予算を大幅に上げなければならない場合も多いことでしょう。

可能な人は値下がりの小さい都心の人気エリアに求めればよいですが、簡単に行かない人はどうしたらよいのでしょうか

 

その場合、次のように方針(例)を決めて探すというのはいかがでしょうか?

 

◆そもそも家を買うのは何のため? 老後のことを考えたら賃貸マンションで良いわけがない。それに家賃が勿体ない。だから家は買う。この考えをしっかり固めておく。

◆マイホームは、日常生活がしやすいこと、快適な暮らしが基本である。通勤・通学の便が良いこと、小さな子供のいる我が家では子育てがしやすい環境にあることが大事である。

◆住宅ローンに追われるようなストレスはない方がよい。つまり、無理な資金計画のもとに買ってはいけない。

◆駅近で、かつ広い住戸を求めて無理と分かったら、広さを我慢して駅近を選択する。我慢の範囲は、現状の住まいにプラス10㎡(例)などと定め、欲張らない・高望しないこととする。

◆我慢できる広さの物件がないときは、駅からの距離を少しだけ妥協するが、バス便だけは避け、徒歩10分以内を許容範囲と定めよう。適当な物件がないときは、中古物件を探すことにしよう。立地条件を優先する。これは、将来の売却価格が下がり過ぎないことを考慮した選択である。

◆売却の時期は10年以内を目安とし、その間の暮らしに支障がない広さでいい、次にランクアップすればいいと割り切る

 

以上のように整理してみてはいかがでしょうか?

 

●マンション探しで迷走している人の整理術

新築が高いので、中古に方向を転換したが、良い物件に出会えないまま1年が経った。振り返ると、いいなと思った物件もあったが、一足違いで買えなかったり、良さそうに思った物件は内見に出かけてみると、目の前に隣のマンションが壁のように立ちはだかっていたりと縁がない

ときどき新築に戻ったりもしたが、どれも高過ぎると思った。しかし、中古も新築に比べると設備は古いし、わくわくする気持ちが起こらない。リノベーション中古も見たが、新築のモデルルームのような感動を味わったものの、築年数が35年と聞いて怖いと思った

 

このような人は、次のように整理してはいかがでしょうか?

 

◆中古で良さそうな物件を見つけたら、リフォームを前提とする。つまり、室内に関しては鼻から期待しない。ただし、全面的なリフォームではなく、間仕切りは壁紙を貼りかえる程度に抑え、一部の設備を交換するだけと割り切り、総予算は300万円、500万円などと決めておく。

◆中古物件の候補地は複数決めておくが、駅から徒歩5分以内を厳守する

◆建物はブランドにはこだわらないが、少なくとも100戸以上の規模があり、外観デザインに優れたものとする。

◆築年数は新しい方が良いが、20年くらいまでは良しとしよう。

◆前面の建物まで30メートル以上の距離があること、もっと近くてもいいが、その代わり屋根を飛び越えて遠くを望めることを条件にする。

◆見学に行っては裏切られることの繰り返しだった。今後は、物件紹介サイトに眺望写真が載っているもの、若しくはグーグルマップで隣接マンションとの距離感をチェックをして問題なさそうなものだけを見学する。眺望写真が乗っていないものは眺望に問題があるはずだから。

◆場合によっては3階以下の物件は候補から除外する

◆新築も諦めないが、竣工時期が1年以上先になる物件や、価格未発表の物件は候補から外す

 

●マンション探しの方針整理術その3

候補にしている具体的な物件が決まっている。●●地区のAマンションとBマンション、または◎◎地区のCマンション、Dマンションである。それらのマンションから売り物が出たら教えてと仲介業者に登録しているが、滅多に来ない。たまに届くが、向きが悪かったり、階数が2階だったりと、条件が合わない

ときどき、自分でポータルサイトでチェックしており、良さそうなものを見つけて仲介業者に連絡してみたら、申し込みが既に入っているので見学はできないと言われた

1戸だけの中古と違って新築は販売戸数も多いし、申し込み受付日まではなくなってしまうことのない安心感がある。その点、中古マンション探しはいつも先着順なので難しい。それに、中古の情報はインターネット上では不備なものが多いので、内見しないと分からないことだらけ。それでも急いで決めてくれと言われる。急いで検討しようにも資料がなさ過ぎる

 

このような人は、次のように考えを整理しましょう。

(これは、あるご相談者のメールからご本人の了解を得て転載するものです。三井が加筆修正)

 

◆仲介業者の情報提供を待っていたのではダメだ。市場に出回る前に知らせてくれる期待は持たない方がいい。情報は自分から取りに行くに限る。暇さえあれば、ポータルサイトを検索しよう

◆良さそうな物件が見つかったら三井健太さんに「評価レポート」を特急でお願いする。見学前なので詳しい調査は要らない。見学する価値があるかないかだけをお願いしよう

◆三井さんから「気になる点・問題点」を指摘してもらえばいい。そのレポート(ショートレポート)の中から見学したいと思うものが出たときだけ出かければ効率的だ

◆三井健太さんの説明では、1回当たりの物件数は5つまで。それを何度か繰り返せばいい。それで契約まで進んだ人が多数生まれているらしい。利用してみよう。

 

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・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

 

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