第149回 自分目線だけではダメ。他人目線で検証しましょう

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★マンション購入で後悔したくない方へこのブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツ―をご紹介するものです★

居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論を展開しております。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

筆者がこのブログで主張し続けているのは「マンションは買い替えを前提にすべし」「マンションは住まいであり資産でもある。資産価値の高いマンションを選びましょう」です。

 

ただ、誤解のないようにお断りしておきたいことがあります。それは、住まい選びの基本は先ず「快適であるかどうか」です。

だからこそ、いつもレポートに次の決まり文句を沿えています。

マンションには「経済的価値」と「使用(利用)価値」の二つの側面があると考えられます。後者は、個人の価値観や家族の事情などによって幅があるもの、その大きさは他人には測り知れないものがありましょう

仮に「経済的な損失」を被ったとしても、使用価値が高いことで大きな「精神的利益」を得て余りあるという場合があります。つまり、場所を含めて物件を気に入り、快適な暮らしができそうなら、その選択は間違いではないのです

・・・・この文言を添えるのは、その前段に「資産価値が高くないマンションである」または「惚れ込むほどではありません」という評価がなされている場合が多いからです。

 

●筆者は他人目線の分析と評価をする立場

筆者は依頼者個人のプライバシーを深く知る立場にはありません。従って、第三者の立場で客観的に語る(評価する)のは資産価値という尺度からです。

資産価値とは、言い換えれば「リセールするときに他人はどう見るかという視点」にほかなりません。

 

あなたにとって好条件の良いマンションであっても多くの他人が評価しないマンションはリセール価格に期待は持てないのです。

 

例を挙げると、自分は「無駄な共用施設がないマンションだからいい」と考えても、他人は「付加価値が高いマンションがいい」と考えていますし、「内廊下で角部屋。通風・採光ともに優れている」と惚れても「ワンフロアに3戸しかないマンションは細身で貧相に見えるので素敵なマンションと思う人は少ない」のです。

 

他人がどう言おうと思おうと一向に構わない。そう思う人は筆者に評価依頼なぞして来ないはずなので、筆者は客観的な評価として良いものは良い、問題ある部分はここだとズバリと論評をしてレポートとしてお届けしています。

 

ご依頼者は、自分の好みとライフスタイル、家族構成、通勤の便などから選びたいマンション、無論、予算という問題もありますから、優先すべき点、妥協すべきことなどをわきまえて候補物件を絞っていくはずです。

しかしながら、そのとき「資産価値=リセール価格」という視点をうっかり忘れてしまう人は少なくありません。また、リセールを見落としているわけではないが、どの程度の価値になるのか、それが分からないという人も多いのです。

問題は前者です。自分の物差しだけで決めてしまう人の中には、自分の目線しか持たない人があると思うからです。

 

他人がどう思おうと自分が惚れて選択し、快適に暮らすマンション。それでいいではないか。そう反論する人もあります。確かに、マンションは売らなければ損も得もないのですから。

ところが、何らかの事情で売る必要が起こった場合、そこで初めて損得がはっきり出てしまいます。10年とか15年という時間が流れてから後悔したり、落胆したりすることは避けたいものです。そのためには、購入時に他人目線で購入マンションを眺めてみるとことが大事です。

 

筆者のレポートは見ようによっては「辛口批評」なのかもしれません。様々な感想をいただきますが、多くの人に落胆したと言われます。読み手(依頼者)にとって惚れたマンションだけに、けなされたり、貶められたりしているような印象になるのかもしれません。

 

このような感想をいただいたことがあります。簡略化して紹介します。

三井さま、Xです。丁寧なレポートありがとうございました。レポートを読んだときは、率直な感想のためドキッとしましたが、専門家の意見が聞けてよかったです

 しっかりコメントをもらうことで自分が購入したいという気持ちが強いということが再認識できました。RV(リセールバリュー)は期待できない分、年収をあげる努力をしたり、節約したりと生活努力でカバーしようと思います

 

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上記感想文は、筆者が目指す理想的な事例です。

なぜなら、誰が見ても最高の物件なら迷う人はいませんが、そのような物件がないからこそ筆者に評価を依頼して来たり、意見を求めて来たりするわけです。何かしら問題や懸念材料があるからこそ悩み・迷うのです。

筆者は当然、懸念点・問題点を無遠慮に指摘します。ゆえに、惚れて目がくらんでいる人は、気付いていない部分を指摘されてグサッと感じるのかもしれません。

 

しかし、それが筆者の使命だと信じています。「あなたは正しい決断をしようとしています」と言えば、きっと喜んでくださるでしょう。何故なら、大半の依頼者は背中を押して欲しいと考えているからです。でも、筆者は期待をいつも裏切っています。

 

資産価値の客観的な視点で懸念点・問題点に気付き、時には一定の覚悟を持って買うのと、気付かないまま買うのでは全く違う人生になるかもしれません。Xさんのレスポンスは、ほめられて喜んだわけではなく、むしろショックを受けたかもしれないのですが、それでも「このマンションは悪くない。購入後はこうしよう」と決断とその後の進むべき道を知ったと語っているのです。

筆者が最も嬉しく感じた感想文でした。

 

●個人的価値観だけで選択する意義

良さを測るモノサシが見つけにくい品物が世の中にはたくさんあるようです。例えば、500万円もするクロコダイルのハンドバッグ。1品生産で、注文してから半年もかかるのだそうです。

男の持ち物でもあります。1着100万円もするオーダースーツや50万円のビジネス鞄などが代表的です。男女差がない物では、自転車。1台30万円もする高級ブランド自転車があります。時計などは天井知らず、1000万円を超えるようなダイヤ巻きの宝飾時計があります。

貴重なダイヤモンドを散りばめているからだろうと、少しは理解できるものもありますが、多くの場合、どうしてこんなに高いのか、門外漢には全く理解に苦しむ値段の品もたくさんあります。

 

TV番組に「何とか鑑定団」というのがありますが、ここへ持ち込まれる様々なお宝は、専門家による鑑定によって所有者もびっくりするような値段が出てきたり、その反対に落胆が隠せない低額であったりと、物の価値はいろいろで、素人には分からないことが多いと、視聴するたびに感じます。

 

●マンションの価値を決める要素は?

マンションの価格も随分幅があります。ファミリータイプで比較すると、3000万円を切る低額なものから数億円もする高額なマンションまでと、ご存知のとおりです。

この差は、広さの違いでしょうか?設備の差でしょうか?それとも仕上げ材の差でしょうか?構造の違い?ブランドの差?それらも確かに存在します。

しかし、それだけでは数千万円もの差にはならないのです。そうです、土地代の差ですね。郊外の土地は安く、都心の一等地や高級住宅街の土地は高いからです。

 

では、地価はなぜ大きな差になってしまうのでしょうか?答えを簡単に言えば、需要量の差です。言うまでもなく、土地は工場で再生産できるものではありません。「その場所」は唯一無二なのです。銀座4丁目の角の土地は、4箇所しかありません。

 

マンションの価値を大きく左右する立地条件、「その場所」が貴重な所であればあるほど用地費は高くなります。 駅に近ければ、高層ビルのオフィスや商業施設で埋め尽くされており、住宅に向くような緑多い環境の土地はありません。

 

駅に近くて便利、それで環境も良い、そのような場所に売り地があれば、マンションデベロッパ―は競って買収に動くでしょう。 もし、入札方式で買い手を決める場合なら相場を大きく吊り上げる結果で取引されるでしょう。

そのようにして取得した土地に建てられたマンションの分譲価格が、飛び抜けて高くなっても不思議ではありません。

 

人気があって稀少な土地にマンションを建てるとき、計画する建物もハイグレードなものとなるのが普通です。なぜなら、得難い場所のマンションにはお金を出し惜しみしない富裕層が集まって来るからです。つまり、富裕層の志向・ニーズに合わせてプランニングする結果、建物の中身も差別化され、優越感をくすぐる内容、高級で個性的で高額になるのです。

 

場所も良い、建物も良いと評価されるマンションの販売は、売主の思惑どおり高額でも成功裡に終わるものです。

 

●価値を認める人、認めない人

誰が見ても稀少価値あるマンションの話はさておき、よくあるタイプの立地条件、例えば駅から10分歩くとか、駅近ではあるがビルに囲まれた場所など、平凡な場所のマンションが多い中、その価値の見方は様々です。

 

高いと感じて購入を止める人、ちょっと高いけれど買いたいと瞬間的に感じて舞い上がる人、高いマンションだからこそ買ったのだと内心で優越感に浸る人、反対に、少し不便だが環境がいいし広い住戸が手に入るからと立地で弱い物件の購入を決断した人などなど、例を挙げればキリがないほどあります。

 

これらは、人の価値観の差から生まれる行動とも言えます。つまり、マンションの価値を客観的に計測する道具はないとも言えます。本人が良いと思えば、それは価値ある買い物になり、相対的には安くてお得な買い物となるのです

 

筆者は、購入検討者の応援を様々な方法で実施しています。検討物件の評価サービスも、そのひとつですが、これまで手掛けた数多くの評価事例の中には、明らかに割高とレポートしたケースが少なくありません。しかし、それても最終的に購入されたご相談者が何人もありました。

 

高くても、つまり第三者の見方で価値に見合わない価格でも、「ここに住みたい」という感覚や願望が消えなかったのです。親や兄弟が反対した物件を、押し切って購入した人もありました。

 

筆者がお手伝いできたこと、その過半は、「思い立ったが吉日」の格言通りに行動することの意義だったと思いますし、もうひとつは、売主のマンション業者から「おまけ」を引き出す方策の提供でした。

 

マンション選びのポイントは、資産価値だけが条件ではないこと、完璧な物件はないこと、住み手が快適さや満足感を得られるなら他人が何を言おうと関係ないことです。

言い換えれば、自分が満足と思う物件なら、その選択が間違いとは言いきれないのではないのです。 まして、そこに辿りつく過程で無知な判断をしたわけではなく、他人目線で欠点もリスクも認識したうえで判断した場合、そこに「後悔」はないはず、そう筆者は信じます。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

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