第148回 「郊外マンション人気」報道はウソ

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5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

2018年6月6日の日本経済新聞の「真相・深層」というコラムにこんな記事がありました。

見出しは「郊外マンションの逆襲」、副題は「都心高騰で割安感、発売急回復」です。

 

おやっと思い直ちに目を通しました。かいつまんで内容を紹介します。

・都心の物件は価格が高騰して一般の会社員には手が届きづらくなっている。

・諦めて郊外のマンションや戸建てえを検討している人もいる。

・消費者に響くキーワードがあれば都心物件より勢いは強い(三菱地所レジデンスのモデルルーム所長)。相模原市で売り出したマンション(駅3分。伊勢丹相模原店まで1分)は、第1期69戸に66戸の申し込みがあった。中心価格は6千万円台と高額だが、医師など高所得層に人気だ

・郊外マンションの発売戸数は前年同期(1~3月)比で+14%となった。とくに人気だったのが、「タワー・駅近・再開発」などの物件

・横浜市中心部の三井不動産レジデンシャルの「タワー」は第1期の730戸が即日完売した。三菱地所レジデンスが4月に発売した船橋市のマンションも主要駅から離れているが人気を呼んだ。

・一方、郊外全体に目を向けると光景は異なる。藤沢市で坪単価が@270万円超と周辺相場を上回る物件は駅から5分圏内だが売れ行きが鈍い。大手が再開発で手掛けるタワーマンションとは対照的だ。

・郊外へマンションの人気の分散が進むことは、都心一極集中は引き起きしてきた様々な弊害の解消に向けてプラスと言えよう。

 

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この記事が与えそうな誤解について解説しようと思います。

 

●郊外マンションの販売は不調

その昔、都心のマンションの値上がりが急なとき、購買力が追い付かず販売不振に陥った業者は、開発エリアを郊外にシフトしました。といっても、土地を買って建築許可を得るまでにはどんなに短いケースでも半年は要するもので、大型マンションになると2年もの時間がかかるのです。

したがって、売れないから郊外マンションを作れといったところで急にはできません。売れないマンションは販売強化策をいろいろ駆使して販売を進めながら安い物件の準備ができるのを待つということになります。

 

そうして、都心より買いやすい手頃な価格の物件(商品)が登場します。買い手もデベロッパーの歩調に合わせるかのように都心のマンションを諦めて郊外物件を検討するように動きます。

 

もともと郊外に住み、郊外(地元)マンションを検討していた需要層に都心諦め派が加わるので、郊外マンションも非常によく売れます。この実効成果に気を良くしたデベロッパーは、続けて郊外マンションの開発(商品化(に精を出しました。

 

この経過は、トコロテン式に「都心から郊外に売り手も買い手も押し出された」と表現されました。

 

その後、この図式は反転し、都心の地価下落と開発条件の緩和策などから「都心マンションは息を吹き返し」、「都心回帰現象」と呼ばれる状況を創り出しました。住宅ローンの金利低下も手伝い、高値の都心マンションも良く売れるようになったのです。

そして今、いつか見た現象、すなわち都心マンションの価格上昇と需要後退という現象を見せています。2016年初頭から先月まで「月間契約率」の統計指標は、くっきりと販売不振状況を映し出しています。

 

ところが、こうなっても、以前のように売り手・買い手とも郊外に押し出される格好にはなっていません。売主も、こぞって郊外に向かっているようではありません。新聞発表の前年比14%増というデータも短期間のことであり、前年が少な過ぎたことによるのです。

 

郊外マンションが好調というのも、特定の好条件の物件のことです。新聞にも記載があったように、不振マンションは郊外にも多数あるのです。

 

都心が高いから諦めた。郊外の戸建てと郊外のマンションを検討する人もいないことはないでしょうが、昔のように押し出されるという現象は見られないのです。

 

郊外で好調だった物件は、そのエリアの一等地(駅前などの)の大規模タワーマンションのように、ランドマーク的な物件です。その買い手の一部に都心から押し出された人がなかったとは言いませんが、大半は地元需要です。つまり、元々あった地元需要を物件の魅力で捕まえたということなのです。

 

もちろん、例外もあります。新聞に出ていた横浜の730戸が即日完売したマンションは、東京都在住者も多数買いに向かっていますから、これは別の見方が必要です。何人かの購入者の声を拾うと、「横浜に住んでみたかった」「投資目的。安いから儲かりそうだ」「横浜で一番のマンションだと思うし、地下鉄の駅直結で50階以上の大型タワーは価値がある。東京なら2倍までは行かないが、それに近い値段だと思うから、魅力的な価格だ」などです。

 

やはり、理由は特殊です。また、このマンションを郊外マンションに分別するのはどうかとも思います。

 

郊外マンションは全体として見ると少しも好調ではないのです。東京都下でも苦労している大型マンションが結構見られます。郊外マンションは安くても売れない。何故でしょうか?その答えは次項で。

 

●郊外マンションの販売不振。その理由

郊外の人口が減ったわけではありません。住宅購入の適齢期に当たる世帯の数が減っているのでしょうか?どちらも違うようです。郊外は郊外なりに価格が上昇し、郊外住民の購買力との乖離が起こっている―――これがひとつ目の理由です。郊外のマンション需要は一般に都心需要より予算が少ないので、安いとされる郊外マンションであっても値上がり急の場合、価格と予算のミスマッチ状態が発生します。

 

昔、それでも郊外マンションが売れたのは、郊外マンションの安さに魅力を感じて都心需要が郊外に移動し、買ったからです。今は、その動きが少ないために売れない――これが二つ目の理由です。

 

なぜ移動しないのでしょうか?答えは「共働き世帯の増加」にあります。かつて、お父さんたちは家族のために「通勤が痛勤であってもいい」と犠牲を払って郊外にマンション・戸建てを買いました。

今は夫婦とも痛勤になる郊外に買うということはできない。昔は、妻の仕事はパートタイムなので買った先で仕事を探せばいいと考えたが、今は妻も正規職員なので転職ができない。よって、都心または通勤便の良い準都心エリアで買いたいと考えるためです。

 

しかも、二人の稼ぎを合わせると購買力は結構高く、価格が高騰していながら届いてしまうカップルは少なくないのです。販売に苦労はあるものの、マンション業者は我慢の時期と考えているようです。

 

●郊外の格安中古マンションの運命

閑話休題。安いという理由だけで郊外マンションを検討する(できる)人は、中古に目を向けてみましょう。とんでもなく安い中古マンションがたくさん流通市場に並んでいます。

立地条件によりますが、首都圏郊外には、まだ数十年は住めそうな物件が1000万円~2000万円で買えそうです。

何故こんなに安いのか。考えるまでもありません。需要がないからです。

都心から買い手が移動しなくても地元に需要はあるのでは?そうも思いますが、地元の買い手さえも選ばないのです。売りたい人が100あって、買いたい人が50しかないとき、選ばれない物件が50生まれます。その50は、トコトン安くなってしまうわけです。

郊外マンションで高い価値を維持し続けるのはごく少数に絞られることになりました。郊外でも新築は結構高いのが実態です。ならば、条件の良い中古を探してみる手もあります。案外拾いものが見つかるかもしれません。

 

●今後も郊外マンションの販売不調は続く

長期的に見て、人口が減ることは間違いないようです。東京都も例外ではなく、推計では2025年がピークとしています。東京郊外はもっと早い段階で人口減少へ向かっていきます。いえ、既にそのトレンドを見せている自治体もあります。

 

短期的にはともかく、郊外はマンション需要が増える見込みがないと思った方が正しいでしょう。新築マンションは売れない。中古マンションも厳しい。郊外は、そんな時代になってしまったのかもしれません。

 

ただ、誤解していただきたくないのですが、郊外とはどこからかという定義の問題を無視して述べてきましたので、反論もあろうかと思います。具体的な都市名や駅名をここで言うのは憚りますので、「この街・この駅はどうか?」あるいは、「検討中のこのマンションはどうか?」と個別のご依頼(筆者の展開するマンション評価サービス)をいただくしかありません。

 

●慌てなくていい。都心マンションは値引き交渉して買うに限る

最後に、郊外に目を向けるべきかと悩んでいる諸氏のために一言。

都心マンションがこれ以上高くなったら、買い手はますます少なくなって販売不振マンションが増えることでしょう。既に、竣工後の売れ残りマンションはそこかしこに多数見られます。売り手は、いろいろな策を講じて販売促進に懸命になっているようです。早い話が、値引き販売です

 

強気な業者も一部を除いて必ず値引きに踏み切るときが来ます。高いから見送った人も、タイミング次第で同じ物件が安く購入できるチャンスが来ます。

売り手からセールスメールやDMが届くのを待つのもいいですが、もし意中の物件があるのなら、ときどき値引きを打診にモデルルームを訪問するのもいいでしょう。

実は、このようにして美味しい果実を拾った人は既に多数あると筆者は実感しています。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

 

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