お便り返し-2 オール電化のデメリット

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地方都市在住様

質問内容本文

小規模マンションと大規模マンションを両天秤で検討しています。それぞれに良い点があるので悩んでいます。メリットは説明を受けるので良いのですがデメリットを知りたいです。

・一般的に大規模マンションに住むデメリットはどういう点が挙げられますでしょうか?

・オール電化マンションのデメリットは何でしょうか?

・地権者がいるマンションで起こりうる問題で、考えておくべきものは何でしょうか?

2つめの質問へのお答え:

オール電化のメリット

特にタワーマンションなどでは、今はオール電化になっているほうが多数派ではないでしょうか。いざ地震が来たりした場合の復帰は、ガスよりも電気のほうがはるかに早いというのはよく言われることで特にタワー物件のように地震に対する対応が特に重要な場合にはこれは大きなメリットだと思います。

私は、メリット面のほうが大きいかなと思いますが、デメリットもいくつかは考えられます:

料金制度の長期安定性への危惧

もともと電力会社がオール電化を特に積極的に進めていたのには、急に発電量を変化させにくい原発による電力割合を大きく確保するために、深夜電力でお湯を沸かせば安いという深夜電力を非常に安価に設定して深夜に電力消費をシフトしようとする動機が大きかったですね。

オール電化で利用する料金体系は、昼間は通常の契約より割高であることが多いため、深夜分が圧倒的に格安でなければメリットは薄れます。もともと原発によらない電気は、時間で値段が変わるという性格のものではないだけに、オール電化を積極的に推進しないといけない理由が今は乏しくなっている気がします。今後の原発の再稼働などの推移次第では、料金制度的なうまみが薄れる危惧があるのではないでしょうか。

大きな初期投資、案外多発する故障

オール電化にすると、エコキュートシステムやIHクッキングなどを導入しなければなりませんが、これらはいずれもガス併用型のマンションと比較して値段を押し上げる要素になります。検討しているマンションのお値段に、その初期投資は反映されることになりますが、オール電化にしたからといって圧倒的に光熱費が安くなるというものではありません。

確かに深夜電力を使用して、ヒートポンプを利用して給湯するコストは安くなりますが、一方で熱を発電で電気に変えたのを、ヒートポンプを利用しないでそのまま熱に戻すことになるIHクッキングによる調理のエネルギーコストは、そのまんま燃やすガスにはかなり劣ります。発電はそのかなりの部分をガスを燃やして電気にしていますから、一度電気に変えて送電してまた熱に戻すという”電気をそのまま熱に戻す”方式は、電熱線の床暖房などとおなじで、コスト的にはガスには敵いません。IHは複数個所を全力運転すると6kW程度になっているので使い切るには今の部屋の電気の契約アンペア数を+60Aしないといけませんから、この基本料金も無視できないですし。

エコキュートは、お湯を一気に沸かすには効率よく設計されていますが、追い炊き的利用では熱効率はかなり悪化します。マンション用の貯湯ユニットは戸建てで多用される460Lのものよりもかなり小型になる370L程度が採用されることが多く、家族でお風呂に入る程度ならよいのですが、床暖房をそのお湯でやろうと思うと真冬には心もとないことがあります。無論切れたりはしませんが、夜中に貯めておいたお湯だけでは足りなくなることがあるという意味です。

エコキュートは複雑なシステムになるため案外故障率が高いことも知られています。知り合いのタワーマンションの住人の人からまだ新築気分の7-8年で故障、かなり高額の出費になったという話を案外よく耳にします。専有部扱いなので故障した場合は本人の自腹での支払いになります。

専有部内に設置される場合には、貴重な専有面積を消化する

エコキュートの貯湯ユニットのタンクはかなり場所を食うのですが、昔はバルコニーなどに設置されることが多かったのです。それが最近はその家の専有部のまんなかに設置されているのをよく見かけるようになりました。湾岸などだと、塩害とかの影響があったのかな? 昔は湾岸タワーでも460Lのをどんとバルコニーに置いているのをよく見たのですが、最近はモデルルームで、部屋うちで、このドアはなんじゃ?とかで開けると巨大なタンクが鎮座している経験も多い。

今はタワーマンションなどのお値段も上がってきていて、湾岸とかでも1平米100万円とかなっていることも珍しくないので、うーむこのタンクの面積も100万円かぁとか思わないでもないわけです。

今日 Twitter でもやりとりしていて、のらえもんさんもすかさず指摘していました。

どうも、10年ほど前から建物の容積率計算で割りましを受けられるようになった?ので安全に部屋うちにって流れなのかもしれませんが、もともと最近はマンション価格の高騰で専有面積は圧縮される傾向ですから、この面積案外無視できない気もしますね。


Twitter には詳しい人が沢山いるなぁ。。。で、この”マンションを考えるヒント”の高橋さんからのコメントを、ご本人の了解を得て転載します。高橋さん自身も確かではないかも・・・と断られている部分があり、信じて転載させていただく文責は私がおうべきものです。

「容積緩和」にもいろいろあって、ご存じの通り、バルコニーはエコキュートを置いても置かなくても奥行2mまで全体容積に「不算入」になります。
一方、容積算入部分にエコキュート(タンク)を置くと、その設置スペース分は「容積不算入扱」ではなく「容積を上乗せ」してもらえます。(許容容積の割増し)
「容積の上乗せ」は「≒分譲床面積の増加」を意味します。勿論それは使える面積ではなく、単純にパンフレットへの表示面積としての話ですが。
先ほどの話は、デべ側にとってこのようなメリットがあるのかも、、、という話でした。

まあ、大規模マンションは総合設計も多いので、これだけで一概に何とも言えませんし、いまだ設置位置の主流はバルコニーなのでは、とも思いますけどね。

他に室内設置する理由を探すと、バルコニー側避難が蹴破隔て板方式なのか、下階へのハッチ梯子式かによっても違うと思います(バルコニーにエコキュートを置くと避難路が確保できない場合がある)
また、近年主流の軽快なデザインでマンションを作ろうとしたときに、エコキュートタンクと吊式のエコキュート室外機がバルコニーに並ぶことを意匠的に嫌ったり、単に貯湯槽の保温を考えてのことなのかもしれません。
スラブ過重的な面でキャンチで伸ばしたバルコニーに500kgのエコキュートを設置することを避けてのことかもしれませんし。

私は、エコキュートの設置面積は室内に置いた場合でも「容積率不算入」なのかと思っていましたが、実は「許容面積の割り増し」のようですね。

そうだとするとデベ側から見ると売ることのできる坪数が増えることになりますから、同じ値段で仕入れた土地から販売可能な面積を少しだけですが大きく確保できることになりますね。

特に高額のタワーでは実際には使えない面積でもちょっと専有面積を広く見せかけて”坪単価”はちょっとだけ安くなるとかうまみがある?(住友なんかがよくどうみても共用部でしょうっていきわかれの遠くに設置されたトランクルームや、サイクルポートを専有部分扱いして面積水増ししていますよね)

最後の質問は“地権者あり”のマンションのデメリットでしたね。これはまた次回に。(質問1つでブログ3回分にするとは引っ張りますねぇ)

何も写真がないのもなんですので、最近訪問した新豊洲のBAYZってタワーの豪華共用部からのお写真です。

!! 重要 !!

本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

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ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

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